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第四章 最悪の再会と衝撃の宣言

六十四話

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 唇が離れた後、俺達はぎこちなく笑った。


「……ふ、ヘヘ、キス、しちゃったね」

「……しちゃったな」

「俺、しゅん兄ちゃんとキスしちゃったんだ……」


 麗音は頬に手を触れながら頭を振る。

「初めてのキスがしゅん兄ちゃんで嬉しい……」

「ぅえ!?麗音、お前、ファーストキス……」

「うん、そうだよ。しゅん兄ちゃんの為に取っておけて良かった……」


 俺も顔が熱くなり、頬を押さえる。


「しゅん兄ちゃんは?もしかして、しゅん兄ちゃんも初めて?」

「あ、いや、その……」


 俺はもごもごと口を動かしながら考えた。

 雄介のことを言わず、このまま麗音に合わせた方がいいのか。

 それとも、全部を打ち明けるべきか。

 麗音の為を思うなら、どっちがいいのか。

 ……俺は腹を括った。


「……俺は、初めてじゃ、ない」

「そっか、そうだよね……大人だもんね」


 麗音がしょんぼりとする。


「俺、最近まで十二年付き合ってたやつがいるんだ」

「最近まで……?」

「ああ、振られたんだ」

「その……彼女さん、に?」


 彼女、という言葉にどくん、と心臓が音を立てる。

 苦しい。

 でも、言わなきゃいけないんだ。

 麗音に、もう隠し事はしたくないから。


「いや……俺が付き合ってたのは、男だ」

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