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第三章 同居開始で溺愛されてます

四十四話

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 俺は大丈夫だと言っても麗音が心配するので、午前だけ休みを取ることにした。

 麗音は「俺がいない間にしゅん兄ちゃんが悪化したら嫌だから!」と一緒に午前休を取ってしまった。


「しゅん兄ちゃん、お熱は?」

「三十六度、平熱も平熱だよ」


 麗音は俺をベッドに寝かせ、熱が無いというのに冷却シートを額に貼った。

 枕元にはミネラルウォーターのペットボトルが置かれている。

 全く、この調子だと本当の風邪ひいたら勝手に手術でもされるんじゃねえか。


「というか麗音、俺が風邪ならお前に移しちまうぞ」

「俺はしゅん兄ちゃんの風邪ならいくらでももらえるよ!」


 満面の笑みの麗音。

 そういうことじゃないんだよ。


「いいか麗音、お前はそうでも、移したら俺が悲しくなるからな、だから俺を一人にするか、居るなら一応マスクをしろ」

「分かった!」


 これで出ていってくれるだろ、と思ったが、麗音はマスクを着けて戻ってきた。

 そういうことじゃないんだよ……


「しゅん兄ちゃん、困った事があったら何でも言ってね!俺何でもするからさ!」


 両手を胸の前で構える仕草をする麗音。

 全く、情けねえな、俺。

 彼氏の事は忘れらんねえし、年下には気遣われて、いい格好なんて見せられなくて……


「……しゅん兄ちゃん、どうしたの?どっか痛いの?」


 気がつくと、俺は涙を零していた。



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