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しかし、しばらくして大翔は目を覚ました。目の前に背中を向けた佳奈多の小さな体がある。大翔は自分の体に絶望した。
大翔は勃起していた。
たくさん傷ついて疲弊している佳奈多を、大翔は守って大事に大切にしてあげたい。佳奈多を傷つける全てから守ってあげたい。もう佳奈多が泣かなくてに済むように。
それなのに、大翔は佳奈多に対して性的に興奮してしまう。ただ目の前にいるだけで、ほんのり香る佳奈多の匂いで、大翔は勃起してしまう。浅ましい体に吐き気がした。
佳奈多は眠っている。
「ごめんね、かなちゃん、ごめんね」
大翔は小さな声で囁いた。深く傷ついた佳奈多のそばで自慰をするのは気が引ける。しかし体は言うことを聞かない。
今この場で、抜きたい。いっそ佳奈多にぶちまけたい。佳奈多の体臭が、息遣いが、存在そのものが、大翔の脳を甘く溶かしていく。
大翔は自身を扱きながら、もう耐えられなくなってしまった。
「かなちゃ、ん、…かなちゃん。好き、好きだ、かなちゃん…」
自覚してみてわかったこと。大翔は佳奈多が好きで好きで、愛している。守ってあげたい。幼い頃から変わらない無垢な心を、傷つけるものから守りたい。この部屋に囲って、外敵を寄せ付けないように、誰の目にも触れないようにしてしまいたい。佳奈多には大翔だけしか見れないように。佳奈多を大翔だけのものにしたい。
「好き、好きだよ、かなちゃん、かなちゃん、っ、」
願望が白い液体となって吹き出た。佳奈多が欲しい。好きで好きで、汚して守ってあげたい。幼い頃のままふにゃりと笑う佳奈多の笑顔を、誰にも壊されたくない。これ以上、佳奈多に傷ついて苦しんで欲しくない。
大翔は佳奈多の顔を覗き込んだ。白い頬が見える。柔らかなそこに口づける。大翔は佳奈多の涙の跡の残る頬を舐め上げた。
好きなのに。大好きで愛しているのに守れなかった。
「かなちゃん、好き、愛してる、かなちゃん」
守ってあげるから。盾になってあげるから、もう泣かないで。
大翔は佳奈多の背中に祈った。
それから佳奈多は何度か泊まりに来てくれた。家に帰らないよう、大翔は佳奈多に頼み込んだ。さすかに毎日とはいかなかったが、目の前に佳奈多がいる。少なくともこの家にいる間は佳奈多が傷つくことはない。大翔は安堵した。
安心して気が緩んだのか。また欲が出てきてしまう。
佳奈多をもっと近くで感じたい。佳奈多を守って、大翔なしではいられないようにしたい。佳奈多の全てを大翔の手でしてあげたい。
いつも夕食では、テーブルにタブレットを置いて佳奈多の好きな動画を流している。ゲームの配信動画だったり、動物の赤ちゃんの動画が好きなようだ。集中する佳奈多はポロポロと食べ物をこぼしていた。熱中している姿はとても可愛いが、このままではほとんどの食べ物が佳奈多の口に入らずに終わってしまう。
「かなちゃん、食べさせてあげるよ」
「え?え、い、いいよ!あ、でも、ご、ごめんね、汚しちゃってる、ごめん、なさい」
「大丈夫だよ。ほら、かなちゃんは口を開けてればいいから」
佳奈多の皿を大翔そばによせて佳奈多を膝に乗せる。佳奈多はびっくりしていたが、そのまま膝の上にいてくれた。
「はい、あーん」
「う…ぅ…」
佳奈多は何度も迷って、最後は口を開けてくれた。佳奈多の小さな口の中に料理が消えていく。もくもくと動く口元が目の前で見られる。最初は恥ずかしがっていたが、少しづつ慣れて佳奈多は口を開けて待ってくれるようになった。しばらく続けると、こくりと飲み込んだあとは薄く口を開けて動画に夢中になってしまう。料理で唇を叩くと思い出したように口を開けて懸命に食事を取る様は本当に愛らしい。まるでさっきまで動画で見ていた、鳥の雛のようだ。
次の日も、膝に乗せようとすると佳奈多は少し迷っているようだった。
大翔は勃起していた。
たくさん傷ついて疲弊している佳奈多を、大翔は守って大事に大切にしてあげたい。佳奈多を傷つける全てから守ってあげたい。もう佳奈多が泣かなくてに済むように。
それなのに、大翔は佳奈多に対して性的に興奮してしまう。ただ目の前にいるだけで、ほんのり香る佳奈多の匂いで、大翔は勃起してしまう。浅ましい体に吐き気がした。
佳奈多は眠っている。
「ごめんね、かなちゃん、ごめんね」
大翔は小さな声で囁いた。深く傷ついた佳奈多のそばで自慰をするのは気が引ける。しかし体は言うことを聞かない。
今この場で、抜きたい。いっそ佳奈多にぶちまけたい。佳奈多の体臭が、息遣いが、存在そのものが、大翔の脳を甘く溶かしていく。
大翔は自身を扱きながら、もう耐えられなくなってしまった。
「かなちゃ、ん、…かなちゃん。好き、好きだ、かなちゃん…」
自覚してみてわかったこと。大翔は佳奈多が好きで好きで、愛している。守ってあげたい。幼い頃から変わらない無垢な心を、傷つけるものから守りたい。この部屋に囲って、外敵を寄せ付けないように、誰の目にも触れないようにしてしまいたい。佳奈多には大翔だけしか見れないように。佳奈多を大翔だけのものにしたい。
「好き、好きだよ、かなちゃん、かなちゃん、っ、」
願望が白い液体となって吹き出た。佳奈多が欲しい。好きで好きで、汚して守ってあげたい。幼い頃のままふにゃりと笑う佳奈多の笑顔を、誰にも壊されたくない。これ以上、佳奈多に傷ついて苦しんで欲しくない。
大翔は佳奈多の顔を覗き込んだ。白い頬が見える。柔らかなそこに口づける。大翔は佳奈多の涙の跡の残る頬を舐め上げた。
好きなのに。大好きで愛しているのに守れなかった。
「かなちゃん、好き、愛してる、かなちゃん」
守ってあげるから。盾になってあげるから、もう泣かないで。
大翔は佳奈多の背中に祈った。
それから佳奈多は何度か泊まりに来てくれた。家に帰らないよう、大翔は佳奈多に頼み込んだ。さすかに毎日とはいかなかったが、目の前に佳奈多がいる。少なくともこの家にいる間は佳奈多が傷つくことはない。大翔は安堵した。
安心して気が緩んだのか。また欲が出てきてしまう。
佳奈多をもっと近くで感じたい。佳奈多を守って、大翔なしではいられないようにしたい。佳奈多の全てを大翔の手でしてあげたい。
いつも夕食では、テーブルにタブレットを置いて佳奈多の好きな動画を流している。ゲームの配信動画だったり、動物の赤ちゃんの動画が好きなようだ。集中する佳奈多はポロポロと食べ物をこぼしていた。熱中している姿はとても可愛いが、このままではほとんどの食べ物が佳奈多の口に入らずに終わってしまう。
「かなちゃん、食べさせてあげるよ」
「え?え、い、いいよ!あ、でも、ご、ごめんね、汚しちゃってる、ごめん、なさい」
「大丈夫だよ。ほら、かなちゃんは口を開けてればいいから」
佳奈多の皿を大翔そばによせて佳奈多を膝に乗せる。佳奈多はびっくりしていたが、そのまま膝の上にいてくれた。
「はい、あーん」
「う…ぅ…」
佳奈多は何度も迷って、最後は口を開けてくれた。佳奈多の小さな口の中に料理が消えていく。もくもくと動く口元が目の前で見られる。最初は恥ずかしがっていたが、少しづつ慣れて佳奈多は口を開けて待ってくれるようになった。しばらく続けると、こくりと飲み込んだあとは薄く口を開けて動画に夢中になってしまう。料理で唇を叩くと思い出したように口を開けて懸命に食事を取る様は本当に愛らしい。まるでさっきまで動画で見ていた、鳥の雛のようだ。
次の日も、膝に乗せようとすると佳奈多は少し迷っているようだった。
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