馬鹿犬は高嶺の花を諦めない

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犬牙、犬吠、その身に喰らえ

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 自分の服をさっさと脱ぎ捨てる俺を、師匠がじっと眺めている。碧の視線が自分だけに向かっているのが嬉しくて、師匠の服に手を掛けるのももどかしく唇を重ねた。受け入れてくれるけど、師匠がちょっと笑っているのはわかる。たぶん、俺ががっついてるせいだ。

「クライヴ……クライヴ……」
「……落ちつけ、っ、ん……着た、まんまじゃ……っ、は、出来ねぇ、だろ」

 わかってる。けど、ほしくてほしくて、気が急いて師匠の首に噛み付いた。

「いッ、て、噛むな!」
「ごめ、なさ」

 だめだ。本当に餓えてる。どうしていいかわからない。
 唸って師匠に頭を擦り付けて、息が上がった時みたいに胸のところがどくどくするのを感じる。師匠がため息を吐くのが聞こえて体が固まったけど、ゆっくり背中を撫でられたから顔を上げた。

「噛んだら痛ぇだろうが」
「う……」

 噛んじゃいけなくて、わかってるのに師匠に噛み付いて痕を残したくて、自分が上手く押さえ込めない。師匠が痛いのはだめだって、ちゃんと思ってる、はずなのに。
 師匠に引き寄せられて、ぎゅってされて背中をぽんぽんされる。

「怒ってるわけじゃねぇ。落ちつけ。ちゃんと抱かせてやる」

 これじゃ、子供みたいだ。
 けど師匠にぽんぽんしてもらったら、痛いのとか、苦しいのとか、嫌なやつが大丈夫になる。頭を擦り寄せて、撫でてもらうと安心する。やっぱり、すべすべだったり柔らかかったりしなくても、師匠の手が一番いい。

「……服、脱がせてもいい?」
「ん」

 師匠の手が緩んだから、体を起こして上衣に手を掛ける。好きにさせてくれるのは、嬉しい。袖から腕を抜くのを手伝ってくれたり、体を浮かせて取り去りやすくしてくれたりしながら、師匠が俺を落ちつかせるように、ずっと撫でてくれる。
 師匠に触ってもらうのは、俺も好き。
 上だけ脱がせて胸に吸い付いたら、師匠が小さく詰めた声を漏らした。目線だけやったら、赤ん坊みたいにちゅうちゅうしゃぶる俺を、笑って撫でてくれる。

「んなに、吸っても、出ねぇけど?」

 思わず噛みそうになった。慌てて口を離して、でもまだ弄りたくて舌で舐る。

「っん、ん」

 魔物の領域で見つけたばかりの頃は、そんなに気持ち良くなさそうだったけど、今はちゃんと声を漏らしてくれる。寂しそうな方をくりくりと捏ね回したら、俺を撫でる手が止まった。

「……撫でて、ほしい」
「ッ、の、わがまま……っ」

 軽く耳を引っ張られて痛かったけど、師匠の手がまた緩く撫でてくれるようになったから、安心してまたしゃぶりつく。師匠が撫でてくれたら、噛まないでいられる。
 甘やかしてもらいながら下衣に手を掛けて、ゆっくりと脱がせていく。ちゃんと師匠が腰を浮かせて、手伝ってくれる。優しい。ちゃんとさせてくれる。時々びくって手が止まって、それでもまた撫でてくれるのが嬉しい。

「クライヴ」

 伸び上がってキスをねだって、師匠が応えてくれるのに安心する。魔力も注いでくれて、ぽかぽかして気持ちいい。気持ち良くて、腰を擦り付けてたら師匠が舌を軽く噛んできて、ちょっとびっくりした。面白そうに笑ってる。からかわれたみたいだ。

「噛んだら、痛ぇだろ」
「……うん」

 口の中に指を突っ込まれて、尖ったところを師匠の指が弄ぶ。口を閉じられないから、すごく間抜けな顔をしていそうだ。ちょっと眉を寄せて師匠を見るけど、口角を上げてくれているのは嬉しくて、大人しく待つ。

「ちゃんと待て出来るじゃねぇか」

 いい子、と指を抜いて頬を撫でられた。撫でられるのも褒められるのも嬉しいけど、子供扱いみたいなのは嬉しくない。
 ちゃんと大人だから、主張したくて、緩く勃ち上がっているモノを押し付ける。師匠のに添わせて腰をゆっくり動かしたら、また笑われて師匠に撫でられた。
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