馬鹿犬は高嶺の花を諦めない

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仔犬、負け犬、いつまで経っても

6-1

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 ゆっくり、師匠のナカに俺が入っていくのが見えて、それだけでもすごかった。目で見た情報だけでイくのは俺もないと思ったから、必死で耐えた。けどあまりにも視界の暴力が激しかったから、挿れきって息をついた師匠を有無を言わさず抱き寄せて、それも良くなかった。

「ン、っは……ァ、ッに、すんだよ……」

 師匠の声が色っぽすぎる。耳元でこんなの聞こえたらぐらぐらする。ナカはあったかくて気持ち良くてえっちだし声は少し掠れて艶めいててえっちだしやっぱり明日俺死ぬ。だって師匠が頭撫でてくれてる。

「馬鹿犬、テメェが対面座位でヤりてぇっつったんだろうが」

 これじゃ動けねぇ、とどこまでも協力してくれる姿勢の師匠を、もっと強く抱きしめる。
 すごい。ご褒美に対面座位選んだ俺最高に賢かったのはともかく、師匠からのご褒美すごすぎる。クリティカル率が致命的。

「……イきそう」
「ハァ?」
「……挿れただけでイきそうだから、ちょっと待ってほしい……」

 情けないけど正直に言ったら、耳元でくつくつと笑う声がした。師匠が声を上げて笑ってる。珍しい、けど、師匠の体が揺れると、ナカ、気持ちいい、うわ、待って。

「ちょっ、ししょ、動かないでって……!」
「い、れただけっ、で、っふは……っ」

 笑わないでほしい。いろんな意味で。声を出して笑ってる師匠は珍しいから、そこは嬉しいけど。

 もうダメだ、イきそう。

 耐えるのは諦めて、まだ笑っている師匠の体を抱えて突き上げる。息を詰めるような声がすぐ近くで聞こえて、縋るように腕を回されて、満足感が上がった。俺より強くて格好いい人が、俺にしがみ付いてくれるとぞくぞくしてくる。少しだけ動きを止めて首筋に口付けて、またナカを穿っていく。奥の奥の方まで、師匠の体を暴きたい。
 けど、ちょっと、今は無理だ。

「師匠、受け止めて」

 返事も聞かずに師匠の体を押さえ付けて、うねって締め付けてくる胎内に吐き出した。師匠の体が震えたから、ぐりぐりと鈴口を弄って出させてあげる。イく時も俺にぎゅっと抱き付いてくれたから、空いている手で背中を支えた。きゅうきゅうとナカも絡み付くように蠢いて、気持ち良すぎて全然萎えない。

「たぃ、めんざ、い、で、ヤりてぇって、動けって意味じゃ、ねぇのかよ……」
「イきそうだったから、我慢出来なかった」

 ちょっとぐったりしている師匠の背中を撫でて、手を滑らせて入っている周りも撫でる。さっきの俺のを飲み込んでいくところを思い出して、自分でもデカくなったのがわかった。師匠の体が一瞬震えて、半眼で睨み付けられる。

「テメェ」
「師匠、今度こそちゃんとしよ?」

 ぐい、と腰を揺らして、師匠の無防備な胸を撫でる。ふっくらとした乳輪をなぞって、突起の先を触れるか触れないかくらいの感覚で弄ると、熱っぽい吐息が聞こえた。内壁が緩やかに動いて俺を締め付けてるから、師匠も気持ちいいんだってわかる。今度はちゃんと師匠にも気持ち良くなってもらいたい。

「調子、乗んなよ、馬鹿犬……」

 いきなりぐって締め付けられて、手が止まる。お返しに強く摘まみ上げたら、きゅうっと強くナカが動いた。眉を顰めるように目を閉じた師匠が綺麗で、腕の中に閉じ込めてお願いする。

「だめ?」

 師匠は背中にはあんまり傷跡がない。その少ない傷跡を一つ一つ触って、小さく漏れる声に合わせて体を揺する。

「……だめって、言わせる気、ねぇだろ」
「あんまり」

 抱かせてもらえる時の幸せがすごいから、毎回出来る限り味わい尽くそうとがっついてしまう。何度そうやって貪っても、全然気持ちが静まらない。むしろ師匠を壊さないか心配になるくらいだし、師匠が俺より強くて良かった。本気でやったらきっと師匠は俺なんて跳ね除けられるのに、挿れさせてくれる。
 だから、甘えて、ねだって、さらけ出す。

「もっとしたい」

 師匠の喉に口付けて、ちょっとだけ舐めた。ため息のような声が聞こえて、師匠の頭が俺の肩に乗る。

「……ひと段落ついたし……いいか……」

 ひと段落って、何。
 聞く前に師匠が顔を上げて、目の前の体がずるりと上がっていく。

「っ、う」
「テメェが欲しがったご褒美、味わえよ?」
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