馬鹿犬は高嶺の花を諦めない

phyr

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仔犬、負け犬、いつまで経っても

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 これも知らなかったことだけど、魔力持ちの体液、つまり血液とか唾液とか精液とか、そういうのにも僅かながら魔力が含まれているらしい。さらに俺の魔力が多いから、その体液に含まれている魔力も多いだろうとか何とかで、ウィルマさんに狙われた。怪我したら傷の周りを押されて血を採られた。あくびして涙が出たら試験管を添えられた。汗をかいたから洗濯しようと思っていた服が見当たらなくて、探したらウィルマさんが持っていたのはさすがに怖かった。そんなところで自慰して出したら、研究のためとはいえあれを採取されかねない。いくら何でも嫌だ。
 師匠も苦い顔をしているということは、たぶん、そのことを知ってるんだろう。
 それに遺跡では調査をしなきゃいけないからそんなことしてる暇はないし、当分出してない。これじゃ、師匠の中に挿れた瞬間イきそうだ。

「……師匠」
「……ご褒美だからな。フェラでも手コキでも足コキでも、やってやるよ」

 やべぇ鼻血出るかと思った。明日死ぬのか俺。違うか、もう天国か。
 固まった俺に、師匠がきょとんとした顔をする。何だその顔今まで見た中で一番可愛い永久保存したいむり。

「しぬ」
「落ちつけ馬鹿犬」

 ベッドに突っ伏したら蹴られた。無理だ落ちつけない。急にこんな、俺に都合良すぎる、何だ、罠か、やっぱり俺死ぬのか。
 いや、死ぬんだったら最後まで致してから死にたい。
 師匠ににじり寄って抱き付いて、肩に口付ける。

「……脱がせて」
「腕緩めろ」

 間髪入れずに言われたから、抱きしめていた腕で輪を作って、師匠の腰に手を置く。瞳に滲んでいる金色はまだ心配するほどじゃないけど、煌めくそれが綺麗なだけじゃないと知ったから、憂いを払いたくて唇を寄せる。

「師匠、魔力ちょうだい」
「……今、別に空じゃねぇだろ」

 やっぱりそのままじゃ渡してくれそうにない。普通は拒絶反応が起きてすごく体調が悪くなるらしいし、それも師匠が俺を心配してくれてるんだと思うと、ただ嬉しいだけだけど。
 仕方がないから師匠のきゅっとした尻を撫でて、勝手に魔術を掛ける。

「な、に、しやがった、今」

 誰でも普段から防御のために気を張っているわけじゃない、とウィルマさんに聞いておいて良かった。俺でも師匠に魔術を掛けられた。すぐバレたけど。

「ウィルマさんに教えてもらった、浄化ってやつ。えーっと、師匠の中綺麗にした」

 さっき湯浴みをして、師匠が体の準備をしてくれていたのは知ってる。けど、俺の魔力が減ってない状態じゃ魔力譲渡してくれなさそうだったから、魔力を消費するためだけにやった。
 本当は何か、澱みを正常にしていく魔術らしいけど、人に使うと汚れとか老廃物とか、体にとって不要なものを消してくれるらしい。だから今度から、師匠が体に負担掛けて準備しなくても、俺が魔術で綺麗にしてあげられる。いいものを教えてもらった。

「何だその都合のいい魔術……」
「セックスに使えそうなやつは特にたくさん教えてもらった」
「あんの女……ッ」

 俺の服を脱がせる途中で止まった師匠の手を取って、手のひらに口付ける。

「今ので魔力消費したから、ちょうだい」

 大した量は使ってないけど、師匠にはそこまでわからない、はず。尻をむにむにと揉んで、顔を近付けて鼻先をくっつけ合う。ある意味実験ではあるけど、ダメになるのは俺の体の方だし、上手くいくという確信めいたものがあるから、たぶん大丈夫。
 戯れるように甘えてたら、師匠が諦めたように目を閉じて、俺の頬を両手で包んで、口付けてくれた。舌が触れ合うと、やっぱりぽかぽかして気持ちいい。気持ち良くて、もっと触れ合いたくて舌を擦り合わせたら、下がますます窮屈になってきた。キスってもしかしてそっちも気持ち良くなれるのか。これ、しないのもったいないな。
 もったいないけど唇を外して、師匠にお願いする。着たまま出すのは嫌だ。

「師匠、脱がせて」
「……ワガママすぎんだろ……」

 呆れたのか、ちょっと乱暴な手付きで上の服を脱がされて、下衣と下穿きをひとまとめに引っ張ったところで、師匠の手が止まった。出てきた俺のモノに驚いたみたいだ。うん、俺もここまでバキバキなの出てきたら驚くと思う。

「……脱いでキスしただけだよな?」
「……だってずっとシてない……」
「……あー、そーだな」

 師匠が俺の服をひとまとめに床に放り投げて、腰を寄せてきてくれる。師匠はまだ半勃ちみたいだ。
 いや、待て、勃ててくれてる。師匠もキスして気持ち良かったって、思ってもいいだろうか。

「兜合わせでいいか」
「キスも」

 馬鹿犬、と鼻を軽く噛まれたけど、師匠はちゃんとキスもさせてくれた。
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