Crystal Asiro【クリスタルアシロ】

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第3章 国際首脳会議

晩餐会二次会

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 ライルートとレフィールは、ルーグの部下からの伝令を聞き、晩餐会の後『いつもの部屋』にやって来る。ノックをすれば、「入ってくれ」と声が聞こえる。そして入ると、

「いらっしゃーい。」
「お疲れ様、ライトとレフト。何か飲むか?」

 先ほどの威厳は何処へやら、既に寝間着姿のクリスタルとルーグがいた。クリスタルに至っては既にワインを飲んでいる。

「お疲れ様ー! いやぁ、久しぶりだね! 旅してたんでしょ? どうだった?」
「パジャマでパーティースルの楽シソうだかラ、アタシ達もパジャマ着ちゃった!」

 『レフト』と言われたレフィールは、ルーグの言っている通り寝巻である。隣にいる『ライト』と言われたライルートも同じ格好である。『友人として』いつも通り挨拶をし、ソファに座る。

「ルーグ、僕にもワインお願い!」

「アタシにもお願い!」

「はいはい。ちょっと待ってな。」

 ルーグはクリスタルのワインセラーから持って来た、年代物のワインをグラスに注ぐ。芳醇な香りがふわりと漂う。香りだけでも先ほどの晩餐会の時に振舞われた酒より、かなり良い品物だとわかる。それをライトとレフトの前に出し、自身の分も用意する。

「全員グラス持ったな? 今日は飲むぞ!」

 クリスタルがワインのグラスを空け、それを皮切りに三人もワインを飲む。熟成されたブドウの味わいにアルコールの味。それらが合わさり、何とも言えぬ上品な味わいがする。

「あー美味しい! クリスタルの持ってるワイン、本当に美味しいよね!」

「わかル! いいモノ持ってルわよね~!」

「俺もクリスタルも管理に気を付けているからな。」

「せっかくだから、旨い状態で飲みたいだろ?」

 先ほどの『代表として』ではなく、『親しい友人として』四人は楽しく過ごす。酒も話も進んでいく。

「ソういえば、この前行っていた二人旅はどうだった?」

「いやぁ、今回もなかなかに濃い国や世界があったな!」

「本当、毎度唐突に旅するの止めてくれよ……。」

 レフトの話にクリスタルも乗る。ルーグの悲壮な呟きに、ライトは「お疲れ様。」と肩をポンと叩く。

「クリスタル、本当にルーグにも気遣ってあげなよ? 君の我儘に振り回されてるルーグ見ると、可哀そうになってくるよ。」

「上司だからいいんですぅー!」

「ま、ルーグはもともと世話好きだかラ、命令で無くともクリスタルの世話スル気はシてルわ。」

「それだけの給料貰ってはいるし、ピアス開けてる仲だからなぁ。」

「ルーグ、君お人よしが過ぎないかい? 大丈夫?」

 ライトの慰めに、クリスタルが「お前が言うな」とツッコむ。

「そもそも『善神の最高神』であるお前が、この中では一番のお人好しだぞ?」

「でも僕は人じゃないもん! 神様だもん!」

「じゃあ、『神様好し』?」

「クリスタル、それなんか語呂が悪いし、神にだけ優しい意味合いになりそうだぞ。ライトはそういうタイプじゃないし。」

「フフッ、ありがとルーグ!」

 にこにこと笑うライトの様子は、晩餐会よりも穏やかな雰囲気である。友人として過ごす故に、気が抜けているようだ。レフトも同様に気が抜けているようで、足を組んで一気にワインを飲む。

「あー、もう飲み終わっちゃった。ルーグ、おかわリ頂戴!」

「自分で注げ! テーブルに数本あるだろ!」

「分かってないわね。誰かに注いで貰うのがいいのよ~。」

「じゃあ僕が注いであげるよ! レフト、どれ飲みたいの?」

 ライトがレフトに笑顔でそう問えば、レフトは顔を赤らめて首を振る。

「い、いいわよ! 自分でやルかラ!」

「遠慮しないで! あ、コレとかレフト好きじゃないかな? ほら、グラス出して?」

「いいかラ! ソこまでシなくていいの! 本当に!」

「ルーグはワイン注いでもいいいのに、僕はダメなの……?」

 雨に濡れた子犬のような、悲しそうなライトにレフトはさらに慌てる。

「だって、貴方に注いで貰うなんて思ってなかったんだもの! それに……。」

「『それに』?なぁに?」

「ソの、何というか、彼氏に良くシて貰うの、は、恥ずかシいというかぁ……。」

 顔を赤らめ、もじもじしながら答えるレフト。それが酔いからではないのは、本人も周りも分かっている。レフトの反応に気を良くしたライトは、レフトを抱きしめる。その顔は、もはや威厳の欠片もない程のデレデレ顔である。

「もう~! そういう事なら素直になればいいのに~!! 照れ屋で可愛いんだからぁ~!!」

「ライト! お願い離シて! 二人がいるのよ!?」

 恥ずかしさのあまりに半べそをかくレフト。しかしライトはそれでも尚抱きしめる力を緩めない。

「クリスタルとルーグだよ~? これくらい何てことないって!」

「いつものだからな。好きにやってくれ。」

「俺達に構わず、どうぞいちゃついてくれ。」

「三人のバカぁー!!」

 レフトの叫びが、部屋の中で木霊する。だが、それも三人に笑われるのであった。
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