勇者の血を継ぐ者

エコマスク

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【244.5話】 ※243.5話の続き※

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※会話の要点が分かり難い事、その他諸事情により嬌声はカットしてあります※

「スーザン!部屋をシェアするとは言ったけど、どうなってるのよ!」リリアが怒っている。
さすがのリリアでも起こる。
この季節なら二日も雨が降れば、今夜中には晴れるはずだ。現に雲の動きを見ても天候は回復の兆しをみせている。明日は早い時間から採取仕事に出たいので、十分に睡眠をとっておきたい。
そもそも何人男を連れ込んでんだ!女二人と何対何の試合だ!

「男と女、夜とロマンスはセットじゃない、リリアもこっち来て楽しみなさいよ。どうせ昼間すること無くて体力余ってるでしょ?」スーザンがトロ顔で言う。
「あたし、ポテトとネギの塩だれ焼きをもらって来たから、お酒少し飲みながらおしゃべりして寝る予定だったよ、困るよこんなの!」リリアが言う。
「ポテトの塩だれですか?やばいですね!パコり過ぎてお腹ペコペコ。男をご馳走になった後、皆でポテトもご馳走になりましょう」ペコ…パコリーヌ。
「男だけで6人いるでしょ、そんなに量無いよ。じゃ、帰ってもらってからゆっくり食べましょう?そんな問題か!」リリア。

冒険者は生命力に溢れていないと続けることは難しい。ある意味、危険と隣り合わせの生活の中で、傷を回復したり、相手にとどめを刺したり、五感で回避運動を行うことで、命の根源を支える部分が強く働くことが多い。
冒険者には色々な欲求が強く、それを自分なりの方法で解消している者は少なくない。
また、解消方法が無ければ冒険者として優秀でも、心を病み、時には殺戮自体がはけ口となり、殺人鬼となりゆく者もでる。
冒険者の成れの果てが猟奇殺人鬼という事は珍しい事ではない。

リリアが勇者になる前に起きた有名な事件では、魔法使いのハンナが彼氏の浮気をきっかけにおかしくなり、彼氏と浮気相手を殺害し、血の風呂を浴びた事件、殺戮がストレス解消の方法となり、数年にわたり数十名の街人を殺害した、ベンソンの処刑事件等が有名。

リリアだって、大怪我をポーションで回復し続けた夜はやたらとウズウズする事がある。
“あたしどうかしてるのかな?”そんな思いをすることもある。
スーザンとパコはこの破廉恥で有名だが、この行為自体は特にとやかく言う事もでもない。
リリアが寝る前に読書したり、バーでお酒のんで演奏を聞くのと変わらない個人の趣味だ。
が、貸してもらった部屋で何してくれてんねん!

「硬い事言うなよ、君、こういうの初めて?やってみなよ」男達がリリアを誘う。
「やらない!や・ら・な・い!って言ってるの!だいたい窓側のベッドはリリアのベッドだよ!グチャグチャじゃん!」
「リリアって結構真面目なのね、まって、今いったらパコのベッドに移るから」アへ顔のスーザン。
「シーツとかメッチャ汚れてるじゃない!寝れるか!」リリアが怒っている。

廊下側のベッドはスーザンとパコと6人の男達が群がっている。
すげぇ!ベッドの底が抜けそうだ!
ベッドも床もギッシギシ音をたててきしんでいる。
「すごい!大勢ってやばいですね!」パコリーヌはアへ顔でピースしている。
「リリア、一緒に楽しまないなら、下で待っててよ。もうすぐ終わるから、終わったら呼ぶから、そしたら一緒にポテト食べておしゃべりしましょう」スーザンが言う。
「全く… 全部シーツ変えてもらうから終わったら教えてよね」
リリアは一階の食堂に下りて行った。


リリアが食堂に下りると何人か冒険者仲間が飲んでいたので一緒に席についた。
天井から床が抜けそうなくらいドッテンバッタンと音がしている。
「ようリリア、終わったのか?」笑われる。
「あたしはしてないよ、スーザンとパコリーヌだよ… あたしの部屋で… まったくもう…」リリアは発泡酒とソーセージのチーズセットを注文しながら不満を漏らす。
「そうか、おまえも擦り切れるくらい遊んできたのかと思ったぜ」テーブルから笑いが出る。
考えてみたら、ダカットを投げ出したまんまだったが、取りに戻る気がしない。
まぁ、いいか、ホウキだし…生意気だし…

「今日はまた随分と激しいみたいだな」
ちょうど部屋が真上なのかやたらとドッテンバッタン響いている。
「何人としてんだ?あの二人と6人?すげぇな」
「あの二人なら6人くらいデフォだぜ」
「俺はないけど、この中で誰かあいつらと寝た事あるか?」
「俺もスーザンとパコはないね」
「俺はどんなにやりまんでも良い女でも同じ街の冒険者仲間はねぇな」
「スーザンもパコリーヌも冒険者仲間とはしないタイプだろ」
「そんな事あるか… 性欲が二本足で歩いているみたいな奴らだぜ」
「剣技も性技も凄い、魔力も性欲も一流だ」
テーブルから笑いが起きた。
「まぁ、でも言われてみれば誰もあいつらと寝たって話し聞かないな」
「じゃ、やっぱり仲間同士では寝ないタイプか… 意外だが、確かに仲間内では話を聞かないな…」
「たしかに… 聞いたことないかな?」
皆一様に振り返ったのかテーブルには少し間ができた。

「そういえば、今日移動途中でジャイアントパイソンが出て、スーザンとパコが居合わせたらしいな。馬車に乗る一家が襲われたらしくって、丸呑みにされた子供を救えなかったそうだ…」
誰かが思い出したようにポツリと言った。
「そうか… リリア、今日はここで寝る事になりそうだな…」
誰かがポツリと言った。
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