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【244話】 エンリケ メイリン サラ
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エンリケ、メイリン、サラの三人を連れてクエストに出たリリア。
リリアは戦っていた。
とりあえず、魔物より真っ先に戦うべくはエンリケ。
「ちょっと!あれほど寝坊するなって言ったでしょ!皆待ってるんだよ!昨日の時点で予定より遅れてるんだから!」
もうすっかり夜も明けている。
朝になってもエンリケが起きてこないのでリリアが宿主に頼んで合鍵で宿の部屋を開けて貰った。
パーティーリーダーの権利の一つだ。
冒険者パーティーメンバーの宿泊する部屋はリーダーの判断で鍵を開けてもらえる権限を持っているのだ。
寝坊等を起こすこともあるのだが、知らない間に毒に犯され動けなくなっている、何かの呪文の効果で行動不能になっている可能性もあるのだ。
遅効性の呪文が効いて変わり果てているケース等もあるので、部屋から出てこないメンバーの様子を見に行ったら寝坊していました、なんて冒険者の中なら笑い話だ、一般的には。
常習犯となれば話は別。
「ぅあ?… っせいなぁ…」エンリケが毛布の中で呟いている。
「あぁ?うるせいな?ふざけんな!皆待ってんだ!おまえ一人のせいで皆の命が危険にさらされるんだ!わかってんのかぁ!」リリアが怒鳴り散らしながら布団をはぎ取った。
「リリアちゃん、カギはカウンターの裏に置いてくれればよいから…」
宿主は苦笑いしながら部屋を出て行く。
出発して二日目の朝だが、予定より遅れている。
一日目の昨日もエンリケは寝坊した。
朝、薄暗いうちからリリア、メイリンとサラは城門前に集合した。
が、朝日が上がってもエンリケが登場しない。
「俺が馬車出すよ、俺が車掌やる」
そう言っていたエンリケが来ない。冒険者証は持っているがギルドに所属しないエンリケの家にまでリリア達が迎えに行って、ようやく起きて来た。
「昨日、連れと明け方まで騒いで… 眠くてしゃぁねぇよ」
全然反省の色が無いエンリケ。反省も何も寝坊したことに対する罪悪感が全くない。
出して来た馬車も初めは客車を出してきて「これ、最近買った高級車だぜ」とニヤニヤしている。
リリアに注意されてようやく荷馬車を出して来たが、全く準備がされていなかった。
急いでリリア達が荷物、武器、食料を準備して午後になってようやく出発。
準貴族の倅で中途半端に金持ちの御曹司、だいぶ甘やかされて育ってきたようだ。
一日目から大幅に遅れて出発。リリアは工程を短くして予定より手前の小さな村に泊まった。
エンリケのド遅刻のお陰で予定の村まで行くのは難しいと判断したのだ。
日没過ぎに村に到着するのは手練れパーティーでもやむを得ない場合以外はなかなか強行しない。
闇の中で魔物を相手にすること程危険な行為は無い。
まして、まったく素人同然の連中を連れて、そんな無茶が出来るはずがない。
本来だったら、エンカウントする魔物の様子を見ながら、基本練習、連携確認をしながら進みたかったが、ほぼ練習も出来ず、予定外の村に宿泊。
「夜中の移動がどれだけ危険かわかってるの?あなた仮にもギルドに所属してたんでしょ!明日寝坊したら、夜の道にほっぽり投げて置いてくからね!」
リリアが散々注意した。
その矢先、次の日にエンリケは再び寝坊…
のんびりリリアもさすがに怒ってエンリケを部屋から引きずり出した。
いや、リリアはこと、安全に関しては結構うるさい。
ぶつぶつ不平を言うエンリケを馬車に乗せ、ようやく出発。
「参ったなぁ… また夜になるよ… 今日は昨日泊まる予定だった村で一泊かなぁ…」リリアは護衛席で地図を見ながら呟く。
「すみません… 馬車を急がせましょうか?」手綱を握るメイリンが気を使っている。
サラは風にあたりながら横笛の練習をしている。
エンリケは馬車が出発すると荷台で二度寝に入った。
「お遊戯教室みたなことは、もう辞めろよ」ダカット。
ロックサラマンダー退治クエスト2日目
リリアは、夕方までに確実につく村で宿泊を選択。本来なら今日はクエスト最寄りの村についていて、明日からクエスト開始予定だったが仕方がない。
日没後、魔物に遭遇する危険は回避しなければならない。
「よし!今日は皆で基礎と連携を確認しながら確実に進むわよ」リリアが言う。
昨日、道中を急いで練習できなかった分、今日は確実に経験を積んでおきたい。
今のメンバー
リーダーリリアは状況により弓と剣で前衛後衛の両方を務める。
弓は好調、剣の振りも軽快。
メイリンは今のところよく出来ている。パニックにならなければ、良いバックアップとしてヒーラーの役目を果たしていると言って良い。
攻撃系のスキルがほぼ皆無なので、とにかく自分の身は自分で守り、怪我人にヒールをかけ続ける様に指示。
サラは主に馬車の子守役。頭と上半身だけ防具をつけ、時には盾をもったり少し戦闘のサポートをしたり、馬車の見張りをさせている。
生活のため、バックアップとして入ギルド希望だったので何のスキルも持っていない。
武器は遠目からなんとかなるように槍とクロスボウを持たせ練習させている。
“困った時はクロスボウ“、まさにこの一言に尽きる。
メイリンは問題無い。むしろ何故クビだったのか聞きたいくらい。だが、恐らく慌てたら酷いのだろう。
「そうそう、慌てず落ち着いて経験積んだら大丈夫だよ」リリアのアドバイス。
サラも思ったより真面目に励んでいる。ただ、戦力としては全く期待できない。ちょっと扱いづらい部分もあるが、一度冒険者ギルドをクビになりながらも、リリアを頼ってクエストに参加するだけあって、遊び癖が多少見える以外はチームワークを乱さず行動している。
車上で暇な時は横笛を吹いて、料理の本を読んでいる。
問題のエンリケ。
準貴族の倅として、家庭教師をつけて剣を習っていただけあり、剣技の基礎は出来ているが、責任感が皆無と言って良い。
由緒ある家系が貴族となるが、準貴族はお金で買える地位。
いわゆる成金家系でヘタな没落貴族より勢いはあるが、金で買える地位と貴族から差別を受ける立場を感じて育ったせいか、エンリケは無意味に見栄をはりたがるところがある。
地位と名声を求めて士官学校に入ったが朝に弱く、剣を使える冒険者になったが、生活や王国のためというより、剣を振るう事自体をファッションだと思っている。
リリアは戦っていた。
とりあえず、魔物より真っ先に戦うべくはエンリケ。
「ちょっと!あれほど寝坊するなって言ったでしょ!皆待ってるんだよ!昨日の時点で予定より遅れてるんだから!」
もうすっかり夜も明けている。
朝になってもエンリケが起きてこないのでリリアが宿主に頼んで合鍵で宿の部屋を開けて貰った。
パーティーリーダーの権利の一つだ。
冒険者パーティーメンバーの宿泊する部屋はリーダーの判断で鍵を開けてもらえる権限を持っているのだ。
寝坊等を起こすこともあるのだが、知らない間に毒に犯され動けなくなっている、何かの呪文の効果で行動不能になっている可能性もあるのだ。
遅効性の呪文が効いて変わり果てているケース等もあるので、部屋から出てこないメンバーの様子を見に行ったら寝坊していました、なんて冒険者の中なら笑い話だ、一般的には。
常習犯となれば話は別。
「ぅあ?… っせいなぁ…」エンリケが毛布の中で呟いている。
「あぁ?うるせいな?ふざけんな!皆待ってんだ!おまえ一人のせいで皆の命が危険にさらされるんだ!わかってんのかぁ!」リリアが怒鳴り散らしながら布団をはぎ取った。
「リリアちゃん、カギはカウンターの裏に置いてくれればよいから…」
宿主は苦笑いしながら部屋を出て行く。
出発して二日目の朝だが、予定より遅れている。
一日目の昨日もエンリケは寝坊した。
朝、薄暗いうちからリリア、メイリンとサラは城門前に集合した。
が、朝日が上がってもエンリケが登場しない。
「俺が馬車出すよ、俺が車掌やる」
そう言っていたエンリケが来ない。冒険者証は持っているがギルドに所属しないエンリケの家にまでリリア達が迎えに行って、ようやく起きて来た。
「昨日、連れと明け方まで騒いで… 眠くてしゃぁねぇよ」
全然反省の色が無いエンリケ。反省も何も寝坊したことに対する罪悪感が全くない。
出して来た馬車も初めは客車を出してきて「これ、最近買った高級車だぜ」とニヤニヤしている。
リリアに注意されてようやく荷馬車を出して来たが、全く準備がされていなかった。
急いでリリア達が荷物、武器、食料を準備して午後になってようやく出発。
準貴族の倅で中途半端に金持ちの御曹司、だいぶ甘やかされて育ってきたようだ。
一日目から大幅に遅れて出発。リリアは工程を短くして予定より手前の小さな村に泊まった。
エンリケのド遅刻のお陰で予定の村まで行くのは難しいと判断したのだ。
日没過ぎに村に到着するのは手練れパーティーでもやむを得ない場合以外はなかなか強行しない。
闇の中で魔物を相手にすること程危険な行為は無い。
まして、まったく素人同然の連中を連れて、そんな無茶が出来るはずがない。
本来だったら、エンカウントする魔物の様子を見ながら、基本練習、連携確認をしながら進みたかったが、ほぼ練習も出来ず、予定外の村に宿泊。
「夜中の移動がどれだけ危険かわかってるの?あなた仮にもギルドに所属してたんでしょ!明日寝坊したら、夜の道にほっぽり投げて置いてくからね!」
リリアが散々注意した。
その矢先、次の日にエンリケは再び寝坊…
のんびりリリアもさすがに怒ってエンリケを部屋から引きずり出した。
いや、リリアはこと、安全に関しては結構うるさい。
ぶつぶつ不平を言うエンリケを馬車に乗せ、ようやく出発。
「参ったなぁ… また夜になるよ… 今日は昨日泊まる予定だった村で一泊かなぁ…」リリアは護衛席で地図を見ながら呟く。
「すみません… 馬車を急がせましょうか?」手綱を握るメイリンが気を使っている。
サラは風にあたりながら横笛の練習をしている。
エンリケは馬車が出発すると荷台で二度寝に入った。
「お遊戯教室みたなことは、もう辞めろよ」ダカット。
ロックサラマンダー退治クエスト2日目
リリアは、夕方までに確実につく村で宿泊を選択。本来なら今日はクエスト最寄りの村についていて、明日からクエスト開始予定だったが仕方がない。
日没後、魔物に遭遇する危険は回避しなければならない。
「よし!今日は皆で基礎と連携を確認しながら確実に進むわよ」リリアが言う。
昨日、道中を急いで練習できなかった分、今日は確実に経験を積んでおきたい。
今のメンバー
リーダーリリアは状況により弓と剣で前衛後衛の両方を務める。
弓は好調、剣の振りも軽快。
メイリンは今のところよく出来ている。パニックにならなければ、良いバックアップとしてヒーラーの役目を果たしていると言って良い。
攻撃系のスキルがほぼ皆無なので、とにかく自分の身は自分で守り、怪我人にヒールをかけ続ける様に指示。
サラは主に馬車の子守役。頭と上半身だけ防具をつけ、時には盾をもったり少し戦闘のサポートをしたり、馬車の見張りをさせている。
生活のため、バックアップとして入ギルド希望だったので何のスキルも持っていない。
武器は遠目からなんとかなるように槍とクロスボウを持たせ練習させている。
“困った時はクロスボウ“、まさにこの一言に尽きる。
メイリンは問題無い。むしろ何故クビだったのか聞きたいくらい。だが、恐らく慌てたら酷いのだろう。
「そうそう、慌てず落ち着いて経験積んだら大丈夫だよ」リリアのアドバイス。
サラも思ったより真面目に励んでいる。ただ、戦力としては全く期待できない。ちょっと扱いづらい部分もあるが、一度冒険者ギルドをクビになりながらも、リリアを頼ってクエストに参加するだけあって、遊び癖が多少見える以外はチームワークを乱さず行動している。
車上で暇な時は横笛を吹いて、料理の本を読んでいる。
問題のエンリケ。
準貴族の倅として、家庭教師をつけて剣を習っていただけあり、剣技の基礎は出来ているが、責任感が皆無と言って良い。
由緒ある家系が貴族となるが、準貴族はお金で買える地位。
いわゆる成金家系でヘタな没落貴族より勢いはあるが、金で買える地位と貴族から差別を受ける立場を感じて育ったせいか、エンリケは無意味に見栄をはりたがるところがある。
地位と名声を求めて士官学校に入ったが朝に弱く、剣を使える冒険者になったが、生活や王国のためというより、剣を振るう事自体をファッションだと思っている。
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