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【53話】 刺激して立たせる第三試合スタート
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リリアは控室で待機中。もうリリアの試合が始まっても良い頃だが、少々時間がかかっているみたいだ。
控室は相変わらず、色んな人がウロウロしている。花束の数も増えた。が、相変わらずリリアには全然馴染みのない名前と団体名ばかり。
キャシィがずっと何事か説明していた。が、リリアはそっぽを向いて全然聞いていなかった。誰が話しなんか聞いてやるか!
今夜、闘技場は超満員。収穫祭直前で街に人が集まっている事と、各カテゴリーのチャンピオンシップがバウトスケジュールに入っている。リリアの試合はその中でもメインインベントになる試合の一つ前に組まれた。控室に居てもいつもと歓声の響きが全然違う。重低音が効いている。
「リリア様、出番です」関係者に声をかけられて、花道に向かうリリア。
「すみません、実はちょっとアクシデントが… 試合まで放っておいたら、触手の魔物がスリープ状態に入っちゃいまして、どうしても起きない時はこのスクロールを使って起こしてください。高いスクロールなのでなるべく使用は控えて、使う時はそれとなく」そう言ってスタッフがリリアに一枚のスクロールを渡して行った。
“………どういう事だ? これ系って昇竜なんちゃらとか、カメハメなんちゃらとか、大声で宣言しながら使用することじゃないの?試合中にそれとなく使うってどういうことであろうか?”
手渡されたスクールに目を通すと古代語が書かれて、読むべき部分にルビが入っている。呪文の唱えられないリリアには古代語が読めないので気が利いている。
「バ… バイ… バイアグ…」読みかけてあわてて口をつぐむリリア。危ない、なんの呪文かわかんないけど、今発動させるわけにはいかない。スクロールの裏を見ると“豆腐、エノキ、糸コン、シイタケ、酒、牛肉300g”と殴り書きされている。
「なんだこれ… すき焼き?スクロールが買い物リスト代わりにされてる… 誰よ高級スクールの裏にメモ書きしたやつ」呟くリリア。大丈夫か?これちゃんと発動するのか?金持ちのやることは理解不能だ…
リリアの名前がコールされて、フィールドに立つ。大歓声。
アナウンスでは「勇者リリア… 戦乙女… 汚れ無き純潔の女勇者… 鉄の処女…」
今日のリリアはいっぱい代名詞が付いている。
何だか勝手にそのワード使っていいの?って物もある。
「汚れない事と、処女と何の意味があんだ?そもそもあたし、処女に戻ってるし…」リリアは呟く、呆れる気にもならない…
リリアが客席を見渡すと、立ち見客まで出ている。凄い熱気。
様々な横断幕が上がっている。
「西方民族からルーダリアを守れ!」
「もっと亜人に権利を!」
“あぁ、あの横断幕はもめるだろうなぁ”そう思ってリリアが見ていると
「政治的メッセージの横断幕を掲げるのは違法です。直ちに撤去してください」と案の定アナウンスが繰り返され、セキュリティが立ち入り客ともめだした。
そのすぐ側にリリアが触手に絡まれて悶絶している明らかに18禁の幕があるが、そっちは全然問題無いようだ。リリア個人の人権は守らなくて良いらしい…
リリアが見上げていると、政治的な横断幕の下では客同士が揉め、セキュリティにこずき回され、怒号と罵声が飛び交い人がつまみ出され、横断幕が下ろされていく。
「いいぞぉ!もっとやれぇ!もっと乱闘してこんな試合無くなってしまえぇ」
リリアは期待を込めて眺めるが、そこまでには発展しない模様。
まだ騒然としているが、とりあえず魔物の紹介に入るらしい。
普段なら、魔物がコールされてからリリアのコールだが、ローパーがおねんね中ということで、ローパーはすでにフィールドの中央に出されて、幕で覆われている状態。これに手間取っていたのか。
カバーには“極薄・楽しい家族計画・提供オカモト”と書かれている。
「オカモトって誰?極薄?なにこれ?」リリアが呟く。
魔物のコールが行われる
「清らかな女性勇者リリアと対戦するのは… 史上最強にして最恐… 数々の女性勇者を手籠めにし… 悪堕ちの権化… ぬるぬるの触手… 蠢く肉棒… 凶暴なフランクフルト… 絶頂のソーセージ… グリーン・ローパーーーーーー」
大歓声!って言いたいがそうではない。
何だか「おぉ、これが今から女勇者を襲う凶悪フランクフルトかぁ」と言った変な熱気のこもったため息のような声が上がる。
「いったい何期待してんだ!お前らの肉棒が絶頂ソーセージしろ!」
リリアはバカバカしくって仕方がない思い。
ローパーのカバーがパッと取り払われ、その姿が現れる…
「おおおぉぉぉぉぉ………」観客から一際大きく変な声が上がる。
「何じゃこれ…」リリアがその姿を見て呟く。
おねんね中のローパーは… 何て言うのか… ねぇ…
鮮やかな深緑のボディと薄い緑の触手、こけし状の形状をしていて、頭の触手をしまい込んでいて…
“クニャ”っとイボイボの付いた頭を垂れている。
言いたくないけど… 本当に蠢く何とかだ… まぁ、今のところジッとしている何とかだけど…
「俺、最近調子悪くてさぁ…」と言った感じでグデーンとしている。
「やる気満々でベッドに飛び込んでみたら、旦那は本体も股間もすでに眠りについていて、やる気を持て余す人妻か!」
Yes・No枕の答えが揃わなかった奥さんの気持ちが良く分かった気がする。
こんな様で試合になるのか!!リリアに新たな問題が定義される。
何だかよくわからないけどゴングが鳴り試合が開始される。
「リリア様、さぁ、まずは立たせるところからですよ!さぁ刺激してみてください!」
キャシィがセコンドサイドから叫ぶのが聞こえ、リリアが振り返ると、その隣でラビが必死に笑いを堪えている。
「何が刺激しろよ… 変態欲求不満女…」リリアが苦々しく呟く…
とにかく、わけのわからん状態から試合スタート…
控室は相変わらず、色んな人がウロウロしている。花束の数も増えた。が、相変わらずリリアには全然馴染みのない名前と団体名ばかり。
キャシィがずっと何事か説明していた。が、リリアはそっぽを向いて全然聞いていなかった。誰が話しなんか聞いてやるか!
今夜、闘技場は超満員。収穫祭直前で街に人が集まっている事と、各カテゴリーのチャンピオンシップがバウトスケジュールに入っている。リリアの試合はその中でもメインインベントになる試合の一つ前に組まれた。控室に居てもいつもと歓声の響きが全然違う。重低音が効いている。
「リリア様、出番です」関係者に声をかけられて、花道に向かうリリア。
「すみません、実はちょっとアクシデントが… 試合まで放っておいたら、触手の魔物がスリープ状態に入っちゃいまして、どうしても起きない時はこのスクロールを使って起こしてください。高いスクロールなのでなるべく使用は控えて、使う時はそれとなく」そう言ってスタッフがリリアに一枚のスクロールを渡して行った。
“………どういう事だ? これ系って昇竜なんちゃらとか、カメハメなんちゃらとか、大声で宣言しながら使用することじゃないの?試合中にそれとなく使うってどういうことであろうか?”
手渡されたスクールに目を通すと古代語が書かれて、読むべき部分にルビが入っている。呪文の唱えられないリリアには古代語が読めないので気が利いている。
「バ… バイ… バイアグ…」読みかけてあわてて口をつぐむリリア。危ない、なんの呪文かわかんないけど、今発動させるわけにはいかない。スクロールの裏を見ると“豆腐、エノキ、糸コン、シイタケ、酒、牛肉300g”と殴り書きされている。
「なんだこれ… すき焼き?スクロールが買い物リスト代わりにされてる… 誰よ高級スクールの裏にメモ書きしたやつ」呟くリリア。大丈夫か?これちゃんと発動するのか?金持ちのやることは理解不能だ…
リリアの名前がコールされて、フィールドに立つ。大歓声。
アナウンスでは「勇者リリア… 戦乙女… 汚れ無き純潔の女勇者… 鉄の処女…」
今日のリリアはいっぱい代名詞が付いている。
何だか勝手にそのワード使っていいの?って物もある。
「汚れない事と、処女と何の意味があんだ?そもそもあたし、処女に戻ってるし…」リリアは呟く、呆れる気にもならない…
リリアが客席を見渡すと、立ち見客まで出ている。凄い熱気。
様々な横断幕が上がっている。
「西方民族からルーダリアを守れ!」
「もっと亜人に権利を!」
“あぁ、あの横断幕はもめるだろうなぁ”そう思ってリリアが見ていると
「政治的メッセージの横断幕を掲げるのは違法です。直ちに撤去してください」と案の定アナウンスが繰り返され、セキュリティが立ち入り客ともめだした。
そのすぐ側にリリアが触手に絡まれて悶絶している明らかに18禁の幕があるが、そっちは全然問題無いようだ。リリア個人の人権は守らなくて良いらしい…
リリアが見上げていると、政治的な横断幕の下では客同士が揉め、セキュリティにこずき回され、怒号と罵声が飛び交い人がつまみ出され、横断幕が下ろされていく。
「いいぞぉ!もっとやれぇ!もっと乱闘してこんな試合無くなってしまえぇ」
リリアは期待を込めて眺めるが、そこまでには発展しない模様。
まだ騒然としているが、とりあえず魔物の紹介に入るらしい。
普段なら、魔物がコールされてからリリアのコールだが、ローパーがおねんね中ということで、ローパーはすでにフィールドの中央に出されて、幕で覆われている状態。これに手間取っていたのか。
カバーには“極薄・楽しい家族計画・提供オカモト”と書かれている。
「オカモトって誰?極薄?なにこれ?」リリアが呟く。
魔物のコールが行われる
「清らかな女性勇者リリアと対戦するのは… 史上最強にして最恐… 数々の女性勇者を手籠めにし… 悪堕ちの権化… ぬるぬるの触手… 蠢く肉棒… 凶暴なフランクフルト… 絶頂のソーセージ… グリーン・ローパーーーーーー」
大歓声!って言いたいがそうではない。
何だか「おぉ、これが今から女勇者を襲う凶悪フランクフルトかぁ」と言った変な熱気のこもったため息のような声が上がる。
「いったい何期待してんだ!お前らの肉棒が絶頂ソーセージしろ!」
リリアはバカバカしくって仕方がない思い。
ローパーのカバーがパッと取り払われ、その姿が現れる…
「おおおぉぉぉぉぉ………」観客から一際大きく変な声が上がる。
「何じゃこれ…」リリアがその姿を見て呟く。
おねんね中のローパーは… 何て言うのか… ねぇ…
鮮やかな深緑のボディと薄い緑の触手、こけし状の形状をしていて、頭の触手をしまい込んでいて…
“クニャ”っとイボイボの付いた頭を垂れている。
言いたくないけど… 本当に蠢く何とかだ… まぁ、今のところジッとしている何とかだけど…
「俺、最近調子悪くてさぁ…」と言った感じでグデーンとしている。
「やる気満々でベッドに飛び込んでみたら、旦那は本体も股間もすでに眠りについていて、やる気を持て余す人妻か!」
Yes・No枕の答えが揃わなかった奥さんの気持ちが良く分かった気がする。
こんな様で試合になるのか!!リリアに新たな問題が定義される。
何だかよくわからないけどゴングが鳴り試合が開始される。
「リリア様、さぁ、まずは立たせるところからですよ!さぁ刺激してみてください!」
キャシィがセコンドサイドから叫ぶのが聞こえ、リリアが振り返ると、その隣でラビが必死に笑いを堪えている。
「何が刺激しろよ… 変態欲求不満女…」リリアが苦々しく呟く…
とにかく、わけのわからん状態から試合スタート…
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