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3巻オマケ
ボウちゃんの心 その4
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「アレイ、愛してる。バイバイ」
そう告げて、ドアの向こうに消えていく大切な人の姿を、ボウはしっかりとその複眼に刻む。
『筋肉 ハヤク 結界ヲ……』
ボウがそう言ったが、アレイは結界を維持する呪文を止めない。
『ナニ シテル』
「ぎりぎりまで……」
ぎりぎりまで繋がってどうする。ソラ様が困るだけだろうと思った。
それでも、アレイの愚かな気持ちをボウは人間でなくとも理解できた。
理解は出来たが、どうしようもないことはある。
『コンビニ 床 モウ ナイ』
時空の歪みに取りこまれた物品は、果たしてどこへ流れていくのか……。
チリチリと自分の身体も変な感覚に融けていく。
そう、融けていくという言葉がまさしくふさわしい。
『キンニク 死ヌゾ』
自棄になっているのだろうか。アレイにそうボウが言っても、アレイは尚呪文を唱えていく。
まるでその呪文を唱えることを辞めてしまえば、全てが終わるかのように、アレイが必死に唱える。
事実、呪文を唱えなければ、直ぐに終わるだろう。
世界樹でなくとも、世界が、ソラ様たちの日本と剥がれていくのが分かる。
世界樹が悲鳴を上げながら、何かを探しているのが分かる。
『キンニク』
「ソラ──! ソラっ!!」
アレイが張り裂けるような声を上げる。
大の男の、その悲鳴めいた声は、無様なものであったが、ボウにはその気持ちが痛いほどよくわかった。
よくわかったが、そこまでだった。
その後のことをボウは知らない。
何故なら、緑色の渦が、ボウの身体を瞬く間に侵食していったからだ──。
「ソラっ!」
アレイの声がする。
そして、全ては……。
そう告げて、ドアの向こうに消えていく大切な人の姿を、ボウはしっかりとその複眼に刻む。
『筋肉 ハヤク 結界ヲ……』
ボウがそう言ったが、アレイは結界を維持する呪文を止めない。
『ナニ シテル』
「ぎりぎりまで……」
ぎりぎりまで繋がってどうする。ソラ様が困るだけだろうと思った。
それでも、アレイの愚かな気持ちをボウは人間でなくとも理解できた。
理解は出来たが、どうしようもないことはある。
『コンビニ 床 モウ ナイ』
時空の歪みに取りこまれた物品は、果たしてどこへ流れていくのか……。
チリチリと自分の身体も変な感覚に融けていく。
そう、融けていくという言葉がまさしくふさわしい。
『キンニク 死ヌゾ』
自棄になっているのだろうか。アレイにそうボウが言っても、アレイは尚呪文を唱えていく。
まるでその呪文を唱えることを辞めてしまえば、全てが終わるかのように、アレイが必死に唱える。
事実、呪文を唱えなければ、直ぐに終わるだろう。
世界樹でなくとも、世界が、ソラ様たちの日本と剥がれていくのが分かる。
世界樹が悲鳴を上げながら、何かを探しているのが分かる。
『キンニク』
「ソラ──! ソラっ!!」
アレイが張り裂けるような声を上げる。
大の男の、その悲鳴めいた声は、無様なものであったが、ボウにはその気持ちが痛いほどよくわかった。
よくわかったが、そこまでだった。
その後のことをボウは知らない。
何故なら、緑色の渦が、ボウの身体を瞬く間に侵食していったからだ──。
「ソラっ!」
アレイの声がする。
そして、全ては……。
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