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Chapter 1/最初の国
№27 ブレイクタイム①
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「鍵、とな?」
「……、うぅ~む。」
「それを見つけん限り、どうにもならぬのう。」
団長を筆頭に、調査員の表情が渋くなるなか、
「では、自分は他にも用があるので、これにて失礼する。」
そう声をかけた司祭が、出現させた何かしらのアイテムを使う。
すると、全身を“半透明で金色の球体”に包まれたのである。
次の瞬間、〝パッ〟と消える男性であった。
「あの司祭、顔の殆どが隠れていたので、はっきりとは分からなかったけど…、肌が灰色じゃなかったかい??」
調査団の女性が疑問を呈したところ、
「魔人ということか?」
小太りの男が首を傾げたのである。
「まさか、そんな……。」
痩せている男性が、訝しがったタイミングで、
「まぁ、なんにせよ、城に戻って、お偉がたに報告するとしよう。」
団長が話しを纏め、司祭と同じ“直径10㎝×厚み5㎝”の道具を出して、右の掌に乗せた。
「それでは、儂らは外で待っておるから、お前さんがたも帰還の羅針盤を持っておるのであれば、それを作動させるがよい。」
こう述べた団長は、仲間と共に“球体”によって、いなくなったのである。
「“帰還の羅針盤”て、なぁに??」
セイランが皆を窺ったら、
「おそらく、〝外に出られるアイテム〟って事じゃないかしら?」
そう分析したシエルだった。
「誰か、町で購入したか??」
ソリュウに訊かれ、全員が首を横に振る。
これに、
「え?」
「それじゃ、神殿の出入り口まで歩かないといけないってこと??」
少なからず嫌そうにするサザミンであった。
「!」
「そうだ、シリウス。」
「どこかでドロップしてないか?」
ふと閃いたサーガによって、
「お、おおー。」
「あり得るな!!」
「ちょっと待ってろよ。」
リーダーが急ぎ[イベントリ]に目を通していく。
「…………。」
「おッ!」
「これだ!!」
「どうやら、一つだけ獲得してたみたいだな。」
笑みを零したシリウスが、右の人差し指でタッチパネルに触れたところ、“金色の羅針盤”が宙に現れたのである。
それを手に取って、
「じゃあ、俺たちも。」
パーティーに伝えるリーダーだった…。
[Team S]の視界が刹那に変わる。
ここは、遺跡の正面玄関に近い位置であった。
「本当に、屋外に移動できるんだな。」
そう呟いたのは、サイザーである。
「さて……。」
周りを見渡したシリウスが、団長の頭上に“ダイヤのマーク”が浮かんでいる事に気づき、
「これで、とりあえずは終了か??」
このように質問したところ、
「ご苦労じゃったな。」
「報酬はノースイーストギルドに預けてあるので、そこで貰おうてくれ。」
「これは、依頼達成の証明書じゃ。」
「受け付けで提示すれば対応してくれるじゃろう。」
縦長に丸めて、一本の紐で縛ってある“用紙”を、差し出してきたのだった。
シリウスが代表して預かったら、
「また、いつか、縁があったら再会しようぞ。」
穏やかに微笑んだ団長が、学者らと【テレポート】したのである。
そうした状況にて、
「…、俺たちも、行くか。」
メンバーに告げるシリウスであった……。
彼らは、帝都の“中央広場”に【テレポーテーション】している。
ここから更に“ギルド”へと【瞬間移動】したのだった。
[ノースイーストギルド]にて。
“証明書”を確認した[女性NPC]が、
「本物に間違いないようですね。」
「暫く、お待ちください。」
そう述べて、カウンターに幾つもの金貨を置いていったのである。
合計で48枚あるみたいだ。
「じゃ、4枚ずつ配っていくとすっか。」
シリウスが通貨を掴んだあたりで、
「ところで、新たな依頼が発注されているのですが…、よろしければ、お受けになりませんか?」
[受付嬢]が伺ってきた。
これによって、後ろに控えているシューラに、
「どうする??」
「応じるか?」
リーダーが尋ねる。
それに対し、
「……、いや、今は、よそう。」
「あっちの世界は、もうすぐ“お昼”になるみたいだし。」
「私達も一時間ぐらいは休まないといけない約束だから。」
「それぞれ、お家で、ゆっくりしよ。」
こう判断するシューラであった。
▽
ほぼ同じ頃。
[イッチューズ]は、“最西端の村”に到着しみたいだ。
集落は“丸太の柵”で囲われている。
東から入ったヤトたちは、西へと歩いていた。
所々に、木製で簡素な建物と、村人や、犬などが、存在している。
“中央”まで赴いたところ、数人の少年少女が楽しそうに走り回っており、蝶々らが〝ヒラヒラ〟と舞っていた。
何処かでは、〝モォ――ゥ〟と牛が鳴いているようだ。
なんとも長閑な光景である。
広場の中心には、杖を突いた“男の老人”が佇んでおり、[金色のダイヤマーク]が見受けられた。
「農具を持って来たんだけど…。」
ヤトが話しかけたら、
「儂は、ここの村長じゃ。」
「都から運ばれる予定の商品を待っておる。」
「もし、お前さんが、そうなのであれば、北西のギルドに届けてくれ。」
そのように返してきたのだった。
これによって、ヤトが[MAP]を開いたのである……。
村の[ノースウエストギルド]は、小規模であった。
窓口の“NPC”は一人しか居ない。
ヤトに応接した30代半ばくらいの男性が、
「間違いなく、全ての品を頂戴しました。」
「職人さんの代理とのことでしたので、こちらの金貨と受領書を、お渡しください。」
革袋や用紙を出してきたのである。
それらを[ストレージ]に保管して、
「おし。」
「そんじゃあ、帝都の鍛冶屋に行くとしようぜ。」
仲間を促すヤトだった―。
「……、うぅ~む。」
「それを見つけん限り、どうにもならぬのう。」
団長を筆頭に、調査員の表情が渋くなるなか、
「では、自分は他にも用があるので、これにて失礼する。」
そう声をかけた司祭が、出現させた何かしらのアイテムを使う。
すると、全身を“半透明で金色の球体”に包まれたのである。
次の瞬間、〝パッ〟と消える男性であった。
「あの司祭、顔の殆どが隠れていたので、はっきりとは分からなかったけど…、肌が灰色じゃなかったかい??」
調査団の女性が疑問を呈したところ、
「魔人ということか?」
小太りの男が首を傾げたのである。
「まさか、そんな……。」
痩せている男性が、訝しがったタイミングで、
「まぁ、なんにせよ、城に戻って、お偉がたに報告するとしよう。」
団長が話しを纏め、司祭と同じ“直径10㎝×厚み5㎝”の道具を出して、右の掌に乗せた。
「それでは、儂らは外で待っておるから、お前さんがたも帰還の羅針盤を持っておるのであれば、それを作動させるがよい。」
こう述べた団長は、仲間と共に“球体”によって、いなくなったのである。
「“帰還の羅針盤”て、なぁに??」
セイランが皆を窺ったら、
「おそらく、〝外に出られるアイテム〟って事じゃないかしら?」
そう分析したシエルだった。
「誰か、町で購入したか??」
ソリュウに訊かれ、全員が首を横に振る。
これに、
「え?」
「それじゃ、神殿の出入り口まで歩かないといけないってこと??」
少なからず嫌そうにするサザミンであった。
「!」
「そうだ、シリウス。」
「どこかでドロップしてないか?」
ふと閃いたサーガによって、
「お、おおー。」
「あり得るな!!」
「ちょっと待ってろよ。」
リーダーが急ぎ[イベントリ]に目を通していく。
「…………。」
「おッ!」
「これだ!!」
「どうやら、一つだけ獲得してたみたいだな。」
笑みを零したシリウスが、右の人差し指でタッチパネルに触れたところ、“金色の羅針盤”が宙に現れたのである。
それを手に取って、
「じゃあ、俺たちも。」
パーティーに伝えるリーダーだった…。
[Team S]の視界が刹那に変わる。
ここは、遺跡の正面玄関に近い位置であった。
「本当に、屋外に移動できるんだな。」
そう呟いたのは、サイザーである。
「さて……。」
周りを見渡したシリウスが、団長の頭上に“ダイヤのマーク”が浮かんでいる事に気づき、
「これで、とりあえずは終了か??」
このように質問したところ、
「ご苦労じゃったな。」
「報酬はノースイーストギルドに預けてあるので、そこで貰おうてくれ。」
「これは、依頼達成の証明書じゃ。」
「受け付けで提示すれば対応してくれるじゃろう。」
縦長に丸めて、一本の紐で縛ってある“用紙”を、差し出してきたのだった。
シリウスが代表して預かったら、
「また、いつか、縁があったら再会しようぞ。」
穏やかに微笑んだ団長が、学者らと【テレポート】したのである。
そうした状況にて、
「…、俺たちも、行くか。」
メンバーに告げるシリウスであった……。
彼らは、帝都の“中央広場”に【テレポーテーション】している。
ここから更に“ギルド”へと【瞬間移動】したのだった。
[ノースイーストギルド]にて。
“証明書”を確認した[女性NPC]が、
「本物に間違いないようですね。」
「暫く、お待ちください。」
そう述べて、カウンターに幾つもの金貨を置いていったのである。
合計で48枚あるみたいだ。
「じゃ、4枚ずつ配っていくとすっか。」
シリウスが通貨を掴んだあたりで、
「ところで、新たな依頼が発注されているのですが…、よろしければ、お受けになりませんか?」
[受付嬢]が伺ってきた。
これによって、後ろに控えているシューラに、
「どうする??」
「応じるか?」
リーダーが尋ねる。
それに対し、
「……、いや、今は、よそう。」
「あっちの世界は、もうすぐ“お昼”になるみたいだし。」
「私達も一時間ぐらいは休まないといけない約束だから。」
「それぞれ、お家で、ゆっくりしよ。」
こう判断するシューラであった。
▽
ほぼ同じ頃。
[イッチューズ]は、“最西端の村”に到着しみたいだ。
集落は“丸太の柵”で囲われている。
東から入ったヤトたちは、西へと歩いていた。
所々に、木製で簡素な建物と、村人や、犬などが、存在している。
“中央”まで赴いたところ、数人の少年少女が楽しそうに走り回っており、蝶々らが〝ヒラヒラ〟と舞っていた。
何処かでは、〝モォ――ゥ〟と牛が鳴いているようだ。
なんとも長閑な光景である。
広場の中心には、杖を突いた“男の老人”が佇んでおり、[金色のダイヤマーク]が見受けられた。
「農具を持って来たんだけど…。」
ヤトが話しかけたら、
「儂は、ここの村長じゃ。」
「都から運ばれる予定の商品を待っておる。」
「もし、お前さんが、そうなのであれば、北西のギルドに届けてくれ。」
そのように返してきたのだった。
これによって、ヤトが[MAP]を開いたのである……。
村の[ノースウエストギルド]は、小規模であった。
窓口の“NPC”は一人しか居ない。
ヤトに応接した30代半ばくらいの男性が、
「間違いなく、全ての品を頂戴しました。」
「職人さんの代理とのことでしたので、こちらの金貨と受領書を、お渡しください。」
革袋や用紙を出してきたのである。
それらを[ストレージ]に保管して、
「おし。」
「そんじゃあ、帝都の鍛冶屋に行くとしようぜ。」
仲間を促すヤトだった―。
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