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Chapter 1/最初の国
№28 ブレイクタイム②
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作業場にて、
「うむ!」
「確かに受け取った!!」
お金と受領書をチェックした親方が、
「約束どおり報酬を支払おう!」
〝ニカッ〟と口元を緩める。
一人あたり1枚の金貨を分配し終えたヤトは、
「もうちょっと続けたいところだけど……、先に休憩すっか。」
「もはや、クマッシーが限界みたいだしな。」
こう伝えたのであった。
リーダーの提案によって、
「うん。」
「そうしてもらえると、ありがたい。」
「お腹が空き過ぎて、これ以上は集中できそうにないから。」
クマッシーが〝フッ〟と遠い目になる。
そんなリアクションに〝クスクス〟と笑う中学生達だった…。
▽
自分の部屋で、ログアウトしたヤトが、ゴーグルを外し、
「ふぅー、なかなか疲れたぁ。」
「ま、初心者の女子が三人もいれば仕方がないか。」
独り呟いて、
「それにしても……、あの金髪の子、可愛かったな。」
「あー、どこかのタイミングで仲良くなりてぇ~。」
天井を仰いだ。
こういった彼の容姿は、ゲームと現実世界で殆ど変わらない。
要は“黒色の短髪”である。
一方、カリンは、自室で、
「はぁー。」
「ヤト…、つーか、タカヤマとの距離、あんまり縮められなかったなぁ。」
「ま、焦りは禁物だよね?」
「……、うん。」
「慌てずにじっくりやっていこう、と。」
そのように思案したのであった。
ちなみに、現実の彼女は、黒髪のセミロングである。
ヴァーチャルでは“茶髪セミロングの三つ編み”で“白猫の耳&尻尾”が付属しているため、印象が割と異なっていた…。
▽
同じ頃――。
遺跡の外にて、
「ご苦労じゃったな。」
「報酬はノースイーストギルドに預けてあるので、そこで貰おうてくれ。」
「これは、依頼達成の証明書じゃ。」
「受け付けで提示すれば対応してくれるじゃろう。」
縦長に丸めたうえに、一本の紐で縛ってある“用紙”を、
「りょ~かぁい。」
〝ルンルン♪〟しながら手に取ったのは、[Team K]のキエラである。
〝金髪ロングあざとかわいい系〟の[女性アーチャー]に対して、
「また、いつか、縁があったら再会しようぞ。」
穏やかに微笑んだ団長が、学者らと【テレポート】した。
「じゃあ、ボクらもぉ、帝都に帰ろっかぁ。」
〝茶髪ショート〟たる[男性ガンナー]のクーガに促され、
「そだねぇ~。」
「あ、でもでもぉ。」
「そこからは、どーするのぉ~??」
「とりあえずぅ、報酬もらってぇ、別のクエスト受けるぅ?」
キエラが悩む。
「いやぁ、このタイミングで受注するのは、やめておこう。」
「もうじき、あっちは、お昼ご飯になる頃だからねぇ。」
「お金をゲットしたらぁ、ボクらも一時間くらい休むとしよぉう。」
「そういう“約束”だしぃ。」
こう述べたクーガに、
「オーケェー。」
簡易的に応えたキエラが、
「じゃ、まずはぁ、ギルドに向かうけどぉ、皆もそれでいいよねぇ??」
仲間を窺う。
それに、
「ああ、構わんよ。」
〝ニコニコ〟しつつ了承したのは、〝長めの白髭〟といった[男性黒魔術士]のケイルである。
これによって、他のメンバーも〝うん うん〟と頷く。
そんな [Team K]は〝温和なタイプの集まり〟だった。
更には、キエラとクーガのように、各自が年の近い者同士でイチャつくため、行動が遅い。
ただ、まぁ、全体的には仲が良いので、いつも平和なパーティーである。
なお、彼女たちの装備品は、革から木製になっていた。
「ではではぁ~、都にぃ、レッツ、ゴォー!!」
このように告げたリーダーによって、12人が【瞬間移動】する……。
▽
鍛冶屋から出てきたのは、[Team Z]であった。
なんだか、数が減っているみたいだ。
「うぉし。」
「回復系のアイテムを補充したら、新たな冒険クエストがねぇか見に行くぞ。」
〝ボサボサ赤髪〟の[男性戦士]たるゾースが喋ったところ、
「何を言ってんだ!?」
〝黒髪ショート〟の[男性剣士]であるザイラが、驚きと怒りが混じったかのような表情を浮かべたのである。
「そうよ。」
「あんたが無茶ばかりする所為で、また二人も亡くなってしまったんだから、少しは自重しなさいよ!」
つい大声になってしまったのは、セミロングの金髪を“三つ編み”にしている[女性武闘家]たるジリ―だった。
「あん?!」
「だーかーらー、早ぇとこレベルを上げて、もっと強くなろうってんじゃねぇか!!」
「そうすりゃ、こっから先は誰も死なずに済むだろうがよッ!」
ムキになるゾースを、
「それよりも、戦う必要が無いクエストを攻略して、稼いだ報酬で装備品を整えた方が、生き残れる確率が高くなるでしょ!!」
〝黒髪サラ艶セミロング〟といった[女性陰陽師]のゼンが、睨み付ける。
そうした状況に、
「テメェら揃って、オレ様に楯突こうってか…。」
「なめんじゃねぇぞ!」
リーダーたるゾースがブチギレた。
「待った。」
「どのみち、そろそろ活動を中断しないといけない時間帯だから、話しはあとにしよう。」
「女神さまも〝規定違反を重ね過ぎた場合は護りきれない〟との事だったからね。」
「そこら辺は、きちんとしておくのがいいと思う。」
恐怖で少なからず震えながらも毅然とした態度を示したのは、〝サラサラ茶髪ショート〟で[男性白魔術士]のゼシューである。
この意見によって、
「……、いいだろう。」
「一旦は引き下がってやんよッ。」
眉間にシワを寄せつつ諦めるゾースであった―。
「うむ!」
「確かに受け取った!!」
お金と受領書をチェックした親方が、
「約束どおり報酬を支払おう!」
〝ニカッ〟と口元を緩める。
一人あたり1枚の金貨を分配し終えたヤトは、
「もうちょっと続けたいところだけど……、先に休憩すっか。」
「もはや、クマッシーが限界みたいだしな。」
こう伝えたのであった。
リーダーの提案によって、
「うん。」
「そうしてもらえると、ありがたい。」
「お腹が空き過ぎて、これ以上は集中できそうにないから。」
クマッシーが〝フッ〟と遠い目になる。
そんなリアクションに〝クスクス〟と笑う中学生達だった…。
▽
自分の部屋で、ログアウトしたヤトが、ゴーグルを外し、
「ふぅー、なかなか疲れたぁ。」
「ま、初心者の女子が三人もいれば仕方がないか。」
独り呟いて、
「それにしても……、あの金髪の子、可愛かったな。」
「あー、どこかのタイミングで仲良くなりてぇ~。」
天井を仰いだ。
こういった彼の容姿は、ゲームと現実世界で殆ど変わらない。
要は“黒色の短髪”である。
一方、カリンは、自室で、
「はぁー。」
「ヤト…、つーか、タカヤマとの距離、あんまり縮められなかったなぁ。」
「ま、焦りは禁物だよね?」
「……、うん。」
「慌てずにじっくりやっていこう、と。」
そのように思案したのであった。
ちなみに、現実の彼女は、黒髪のセミロングである。
ヴァーチャルでは“茶髪セミロングの三つ編み”で“白猫の耳&尻尾”が付属しているため、印象が割と異なっていた…。
▽
同じ頃――。
遺跡の外にて、
「ご苦労じゃったな。」
「報酬はノースイーストギルドに預けてあるので、そこで貰おうてくれ。」
「これは、依頼達成の証明書じゃ。」
「受け付けで提示すれば対応してくれるじゃろう。」
縦長に丸めたうえに、一本の紐で縛ってある“用紙”を、
「りょ~かぁい。」
〝ルンルン♪〟しながら手に取ったのは、[Team K]のキエラである。
〝金髪ロングあざとかわいい系〟の[女性アーチャー]に対して、
「また、いつか、縁があったら再会しようぞ。」
穏やかに微笑んだ団長が、学者らと【テレポート】した。
「じゃあ、ボクらもぉ、帝都に帰ろっかぁ。」
〝茶髪ショート〟たる[男性ガンナー]のクーガに促され、
「そだねぇ~。」
「あ、でもでもぉ。」
「そこからは、どーするのぉ~??」
「とりあえずぅ、報酬もらってぇ、別のクエスト受けるぅ?」
キエラが悩む。
「いやぁ、このタイミングで受注するのは、やめておこう。」
「もうじき、あっちは、お昼ご飯になる頃だからねぇ。」
「お金をゲットしたらぁ、ボクらも一時間くらい休むとしよぉう。」
「そういう“約束”だしぃ。」
こう述べたクーガに、
「オーケェー。」
簡易的に応えたキエラが、
「じゃ、まずはぁ、ギルドに向かうけどぉ、皆もそれでいいよねぇ??」
仲間を窺う。
それに、
「ああ、構わんよ。」
〝ニコニコ〟しつつ了承したのは、〝長めの白髭〟といった[男性黒魔術士]のケイルである。
これによって、他のメンバーも〝うん うん〟と頷く。
そんな [Team K]は〝温和なタイプの集まり〟だった。
更には、キエラとクーガのように、各自が年の近い者同士でイチャつくため、行動が遅い。
ただ、まぁ、全体的には仲が良いので、いつも平和なパーティーである。
なお、彼女たちの装備品は、革から木製になっていた。
「ではではぁ~、都にぃ、レッツ、ゴォー!!」
このように告げたリーダーによって、12人が【瞬間移動】する……。
▽
鍛冶屋から出てきたのは、[Team Z]であった。
なんだか、数が減っているみたいだ。
「うぉし。」
「回復系のアイテムを補充したら、新たな冒険クエストがねぇか見に行くぞ。」
〝ボサボサ赤髪〟の[男性戦士]たるゾースが喋ったところ、
「何を言ってんだ!?」
〝黒髪ショート〟の[男性剣士]であるザイラが、驚きと怒りが混じったかのような表情を浮かべたのである。
「そうよ。」
「あんたが無茶ばかりする所為で、また二人も亡くなってしまったんだから、少しは自重しなさいよ!」
つい大声になってしまったのは、セミロングの金髪を“三つ編み”にしている[女性武闘家]たるジリ―だった。
「あん?!」
「だーかーらー、早ぇとこレベルを上げて、もっと強くなろうってんじゃねぇか!!」
「そうすりゃ、こっから先は誰も死なずに済むだろうがよッ!」
ムキになるゾースを、
「それよりも、戦う必要が無いクエストを攻略して、稼いだ報酬で装備品を整えた方が、生き残れる確率が高くなるでしょ!!」
〝黒髪サラ艶セミロング〟といった[女性陰陽師]のゼンが、睨み付ける。
そうした状況に、
「テメェら揃って、オレ様に楯突こうってか…。」
「なめんじゃねぇぞ!」
リーダーたるゾースがブチギレた。
「待った。」
「どのみち、そろそろ活動を中断しないといけない時間帯だから、話しはあとにしよう。」
「女神さまも〝規定違反を重ね過ぎた場合は護りきれない〟との事だったからね。」
「そこら辺は、きちんとしておくのがいいと思う。」
恐怖で少なからず震えながらも毅然とした態度を示したのは、〝サラサラ茶髪ショート〟で[男性白魔術士]のゼシューである。
この意見によって、
「……、いいだろう。」
「一旦は引き下がってやんよッ。」
眉間にシワを寄せつつ諦めるゾースであった―。
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