26 / 103
Chapter 1/最初の国
№26 神殿での攻防戦・結
しおりを挟む
[魔人の少女]が消滅した事によって、誰もが安堵する。
「また、いろいろ回復しとこ。」
シューラに促され、[Team S]の各自が、HPやMPにSPの“ポーション”を、摂取していく。
「そういや、“契約の書”を新たにドロップしたぞ。」
このように述べたシリウスが、[アイテムボックス]を操作して、出現させた用紙を、サキに渡した。
内容をチェックして、
「……、ふむ。」
「今回は、ゴブリンみたいだね。」
そう呟いたサキが、
「何か良い名前はないかい?」
「ちなみに、性別は“メス”と記載されているよ。」
メンバーを窺ったのである。
全員が〝んん~〟と頭を捻るなか、
「メスのゴブリンだから…、メゴブ??」
「いや、メリン?」
独り言を〝ブツブツ〟と口にしたシューラが、
「あ。」
「“リン”で、どう?」
と、提案した。
「あらぁ~、素敵ねぇ。」
セイランが褒めたこともあってか、反対する者はいないようだ。
「それじゃあ、決まりだね。」
承諾したサキが、登録をすませたタイミングにて、
「で??」
「こっから、どうすんだ?」
サイザーが誰ともなく訊ねる。
「そうだなぁ……。」
自身の腕を組んで考えるリーダーに、
「シリウス、あれ。」
「団長に“ダイヤのマーク”が現れている。」
このように伝えるサーガであった。
「お、本当だ。」
「じゃ、ちょっと、聞いてみるわ。」
そう返したシリウスが、パーティーを代表して、
「なぁ、次の方針は、どうなっている??」
団長に質問したところ、
「おぉー、どうやら、見事に敵を倒しきったようじゃのう。」
「なかなかやるではないか。」
「では…、準備が整い次第、地下に参ると致そうか。」
「儂らが帝都の図書館で調べた古文書によれば、宝物庫があるらしいからな。」
「おそらく、そこに、探し求めておる品が納められておるじゃろうて。」
「あの両脇に備えられておる二つの扉の、どちらを選んでも構わんぞ。」
「道は、あちら側で繋がっとるみたいだったからの。」
こう説明してきたのである。
「それじゃ、左の方が近いから、そうするか??」
シリウスに確認され、
「ん。」
シューラが頷く。
かくして、そちらへと足を運ぶ一同だった……。
錆びた“鉄扉”の向こうは、一本の廊下になっている。
ここを進んだら、突き当りが L字となっていたので、シューラ達は、それを右に曲がったのであった。
少し歩いたところ、左には階段が、右には“部屋”が設けられていたのである。
正面は廊下になっているので、団長の言葉どおり、反対側の扉からも来られるみたいだ。
さて。
開けっ放しのドアから、室内をシエルが覗く。
ちょっとした大きさの部屋には、幾つかのテーブルとイスが置かれていた。
かつての神官たちの休憩室だったのかもしれない。
内部を見回したシエルが、
「魔物は居ないみたいよ。」
後続に告げたところ、
「じゃあ、襲われる心配はなさそうだから、下ろうか。」
サーガが意見したのである。
これによって、階段へと向かう[Team S]だった。
“折り返し”となっている階段を使用して、地下に到着しかけるも、先頭のソリュウ&サイザーが〝ピタッ〟と止まる。
「どうしたの?」
サザミンが尋ねたところ、
「ゴブリンどもじゃ。」
ソリュウが答えた。
その眼前は、広間となっている。
ここに、10体ほどのゴブリンが、4グループとなって、存在していた。
「多分、さっきと同じように、第一陣、第二陣、みたいな感じで、バトルになるんだろうな。」
「…、サキのリキャストタイムが終わるのを待つか??」
軽く首を傾げたサイザーに、
「まぁ、このままでも、なんとかなるかもよ?」
「レベルが5になったとき、〝新しいスキルを収得した〟って、“お知らせ”があったから。」
スイが教える。
更に、
「私も覚えたみたい。」
サザミンと、
「私もね。」
シエルが、述べたのであった。
「あと、私も。」
「ただし、攻撃系じゃなく、〝ステータスの異常状態を治す〟といった魔法だけどねぇ。」
これは、セイランである。
「まぁ、リンは召喚できるんだし、いいんじゃないかい??」
サキと目が合って、
「……、気を付けながら戦おう。」
シューラが表明した。
「そんじゃ…、行くぞ!」
リーダーたるシリウスの掛け声で、一斉に飛び出したのだった。
スイが発砲した弾丸が、一匹のモンスターに直撃する。
それによって、このゴブリンの速度が二割だけ遅くなった。
現時点での効果は20秒との事だ。
サザミンの射った矢が、別の魔物に刺さる。
結果、敵は【混乱】に陥った。
これに関してのタイムは、無制限らしい。
シエルに切られた敵は、【毒】が発症している。
その効果は5秒間のようだ。
ここら辺は、“スキルポイント”さえ満たしていれば、幾度でも用いられる。
サキによって喚ばれたゴブリンは、背丈が125㎝くらいであった。
ゆるふわショートの髪は“桃紫色”みたいだ。
防具は[麻布の服]で、武器はシューラと同じタイプの[木剣]である。
サイザーの読み通り、モンスター集団は、一組ごとに攻撃してきた。
第一陣を殲滅したあたりで、サキが“カラドリウス”と“ダークドック.Jr”を召喚する。
なお、リンは既に姿を消しているようだ。
いずれにせよ。
[Team S]は、傷を負っては【治癒】しながら、魔物の群れを倒しきったのだった…。
地下室の奥は、廊下になっていた。
そこを直進したところ、半円形のフロアに出たのである。
10Mほど先の壁には、アーチ状の扉が設けられていた。
全体的にはオレンジ色だが、装飾はホワイトみたいだ。
ここに、身長170㎝ぐらいの何者かが佇んでいる。
白いローブを着ており、それに付属しているフードを被っていた。
手袋もまた、ホワイトのようだ。
「鍵が無ければ開かん、か。」
「ま、よかろう。」
こう呟いた人物は、男性らしい。
「はて??」
「司祭かのう?」
調査団の“団長”が自動的に喋ったら、いささか驚いて振り向いた男が、
「あ、ああ。」
「そうだが……。」
「お主らは??」
警戒した様子で窺ってきたのである。
「儂らは、フラルン帝国の指令にて、魔物を弱らせるという聖具が遺跡に納められているのか、真偽のほどを確かめに来た一団じゃ。」
そのように団長が伝えたところ、司祭らしき男が〝ふむ〟と頷き、
「有るとすれば、この扉の向こうだろうが…、鍵が無いので、中には入れん。」
「故に、調べるのは不可能だ。」
こう知らせたのであった―。
「また、いろいろ回復しとこ。」
シューラに促され、[Team S]の各自が、HPやMPにSPの“ポーション”を、摂取していく。
「そういや、“契約の書”を新たにドロップしたぞ。」
このように述べたシリウスが、[アイテムボックス]を操作して、出現させた用紙を、サキに渡した。
内容をチェックして、
「……、ふむ。」
「今回は、ゴブリンみたいだね。」
そう呟いたサキが、
「何か良い名前はないかい?」
「ちなみに、性別は“メス”と記載されているよ。」
メンバーを窺ったのである。
全員が〝んん~〟と頭を捻るなか、
「メスのゴブリンだから…、メゴブ??」
「いや、メリン?」
独り言を〝ブツブツ〟と口にしたシューラが、
「あ。」
「“リン”で、どう?」
と、提案した。
「あらぁ~、素敵ねぇ。」
セイランが褒めたこともあってか、反対する者はいないようだ。
「それじゃあ、決まりだね。」
承諾したサキが、登録をすませたタイミングにて、
「で??」
「こっから、どうすんだ?」
サイザーが誰ともなく訊ねる。
「そうだなぁ……。」
自身の腕を組んで考えるリーダーに、
「シリウス、あれ。」
「団長に“ダイヤのマーク”が現れている。」
このように伝えるサーガであった。
「お、本当だ。」
「じゃ、ちょっと、聞いてみるわ。」
そう返したシリウスが、パーティーを代表して、
「なぁ、次の方針は、どうなっている??」
団長に質問したところ、
「おぉー、どうやら、見事に敵を倒しきったようじゃのう。」
「なかなかやるではないか。」
「では…、準備が整い次第、地下に参ると致そうか。」
「儂らが帝都の図書館で調べた古文書によれば、宝物庫があるらしいからな。」
「おそらく、そこに、探し求めておる品が納められておるじゃろうて。」
「あの両脇に備えられておる二つの扉の、どちらを選んでも構わんぞ。」
「道は、あちら側で繋がっとるみたいだったからの。」
こう説明してきたのである。
「それじゃ、左の方が近いから、そうするか??」
シリウスに確認され、
「ん。」
シューラが頷く。
かくして、そちらへと足を運ぶ一同だった……。
錆びた“鉄扉”の向こうは、一本の廊下になっている。
ここを進んだら、突き当りが L字となっていたので、シューラ達は、それを右に曲がったのであった。
少し歩いたところ、左には階段が、右には“部屋”が設けられていたのである。
正面は廊下になっているので、団長の言葉どおり、反対側の扉からも来られるみたいだ。
さて。
開けっ放しのドアから、室内をシエルが覗く。
ちょっとした大きさの部屋には、幾つかのテーブルとイスが置かれていた。
かつての神官たちの休憩室だったのかもしれない。
内部を見回したシエルが、
「魔物は居ないみたいよ。」
後続に告げたところ、
「じゃあ、襲われる心配はなさそうだから、下ろうか。」
サーガが意見したのである。
これによって、階段へと向かう[Team S]だった。
“折り返し”となっている階段を使用して、地下に到着しかけるも、先頭のソリュウ&サイザーが〝ピタッ〟と止まる。
「どうしたの?」
サザミンが尋ねたところ、
「ゴブリンどもじゃ。」
ソリュウが答えた。
その眼前は、広間となっている。
ここに、10体ほどのゴブリンが、4グループとなって、存在していた。
「多分、さっきと同じように、第一陣、第二陣、みたいな感じで、バトルになるんだろうな。」
「…、サキのリキャストタイムが終わるのを待つか??」
軽く首を傾げたサイザーに、
「まぁ、このままでも、なんとかなるかもよ?」
「レベルが5になったとき、〝新しいスキルを収得した〟って、“お知らせ”があったから。」
スイが教える。
更に、
「私も覚えたみたい。」
サザミンと、
「私もね。」
シエルが、述べたのであった。
「あと、私も。」
「ただし、攻撃系じゃなく、〝ステータスの異常状態を治す〟といった魔法だけどねぇ。」
これは、セイランである。
「まぁ、リンは召喚できるんだし、いいんじゃないかい??」
サキと目が合って、
「……、気を付けながら戦おう。」
シューラが表明した。
「そんじゃ…、行くぞ!」
リーダーたるシリウスの掛け声で、一斉に飛び出したのだった。
スイが発砲した弾丸が、一匹のモンスターに直撃する。
それによって、このゴブリンの速度が二割だけ遅くなった。
現時点での効果は20秒との事だ。
サザミンの射った矢が、別の魔物に刺さる。
結果、敵は【混乱】に陥った。
これに関してのタイムは、無制限らしい。
シエルに切られた敵は、【毒】が発症している。
その効果は5秒間のようだ。
ここら辺は、“スキルポイント”さえ満たしていれば、幾度でも用いられる。
サキによって喚ばれたゴブリンは、背丈が125㎝くらいであった。
ゆるふわショートの髪は“桃紫色”みたいだ。
防具は[麻布の服]で、武器はシューラと同じタイプの[木剣]である。
サイザーの読み通り、モンスター集団は、一組ごとに攻撃してきた。
第一陣を殲滅したあたりで、サキが“カラドリウス”と“ダークドック.Jr”を召喚する。
なお、リンは既に姿を消しているようだ。
いずれにせよ。
[Team S]は、傷を負っては【治癒】しながら、魔物の群れを倒しきったのだった…。
地下室の奥は、廊下になっていた。
そこを直進したところ、半円形のフロアに出たのである。
10Mほど先の壁には、アーチ状の扉が設けられていた。
全体的にはオレンジ色だが、装飾はホワイトみたいだ。
ここに、身長170㎝ぐらいの何者かが佇んでいる。
白いローブを着ており、それに付属しているフードを被っていた。
手袋もまた、ホワイトのようだ。
「鍵が無ければ開かん、か。」
「ま、よかろう。」
こう呟いた人物は、男性らしい。
「はて??」
「司祭かのう?」
調査団の“団長”が自動的に喋ったら、いささか驚いて振り向いた男が、
「あ、ああ。」
「そうだが……。」
「お主らは??」
警戒した様子で窺ってきたのである。
「儂らは、フラルン帝国の指令にて、魔物を弱らせるという聖具が遺跡に納められているのか、真偽のほどを確かめに来た一団じゃ。」
そのように団長が伝えたところ、司祭らしき男が〝ふむ〟と頷き、
「有るとすれば、この扉の向こうだろうが…、鍵が無いので、中には入れん。」
「故に、調べるのは不可能だ。」
こう知らせたのであった―。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷
くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。
怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。
最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。
その要因は手に持つ箱。
ゲーム、Anotherfantasia
体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。
「このゲームがなんぼのもんよ!!!」
怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。
「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」
ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。
それは、翠の想像を上回った。
「これが………ゲーム………?」
現実離れした世界観。
でも、確かに感じるのは現実だった。
初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。
楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。
【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】
翠は、柔らかく笑うのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。


俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
Another Of Life Game~僕のもう一つの物語~
神城弥生
ファンタジー
なろう小説サイトにて「HJ文庫2018」一次審査突破しました!!
皆様のおかげでなろうサイトで120万pv達成しました!
ありがとうございます!
VRMMOを造った山下グループの最高傑作「Another Of Life Game」。
山下哲二が、死ぬ間際に完成させたこのゲームに込めた思いとは・・・?
それでは皆様、AOLの世界をお楽しみ下さい!
毎週土曜日更新(偶に休み)

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる