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Chapter 1/最初の国
№14 謝礼
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道具屋の弟子たる“NPC”の案内にて、[イッチューズ]は、図書館の西側を通過していく。
そこから南の“住宅街”を進んでいったところ、お目当ての場所に到着したのである。
家は“石造りの二階建て”だった。
“セミロングでボサボサ茶髪の女性”が、緑色の鉄扉に備え付けられている[呼び鈴]を〝カラン カラン カラン カラン〟と鳴らす。
数秒後に、内側からドアを開けたのは、“サラサラ黒髪ロングの男性”であった。
背丈は170㎝くらいで、スラッとしており、白色を基調とした服装に、青色で薄いロングコートを羽織って、茶色のブーツを履いている。
この30代前半あたりのNPCが、
「おや?」
「貴女は、道具屋さんの……。」
「もしや。」
「昨日、納めた商品に、何か問題でもありましたか??」
いささか不安そうにした。
それに対して、
「あー、いや、そうではなく。」
「実はっすね…。」
もう一人のNPCが、経緯を説明していったのである。
「……、そのネコであれば、確かに、保護していますよ、三日ほど前から。」
「他の野良猫たちに攻撃されたのか、あるいはカラスによるものなのか、傷を負っていたので、治癒してあげました。」
「飼い主が分からなかったので、その後も、こちらで世話していたのですよ。」
「少々お待ちくださいね。」
そう述べた男性が扉を閉めたら、
「あの人は、うちの師匠と仕事上での契約を結んでいるんだ。」
「採った薬草などを、錬金術でポーション類に変えてくれるのさ。」
「で。」
「それを、師匠たちが、お店で販売しているってわけ。」
“女性のNPC”が一方的に知らせたのだった。
六人組が〝へぇー〟とリアクションしていたところで、さっきの男性が再び出てきたのである。
「このネコで間違いありませんか?」
彼が抱きかかえていたのは“黄色いリボンをした灰色の猫”であった。
「おー! 聞いていた特徴どおりだ!!」
瞳を輝かせたヤトが、両手で受け取る。
これによって、
「ふむ。」
「では、飼い主さんに、よろしく。」
男性が自宅へと戻り、
「じゃ、アタシも、ここで。」
軽く右手を挙げた女性が、〝シュンッ!〟と消えた。
「え!?」
「どういうこと??」
目を丸くしたセブンに、
「道具屋に“テレポート”したって事だと思うよ。」
ニケが教えてあげたところ、
「成程。」
と、納得したのである。
「それで?」
「私たちは、どうするの??」
「依頼者のとこまで歩く?」
「それとも…、走っちゃう??」
カリンが尋ねたら、
「いや、このパターンは、多分、瞬間移動できるようになっている筈だから……。」
そう予想したヤトが、
「悪ぃ、誰か、このネコ、代わってくれ。」
メンバーを窺った。
「じゃ、私が。」
新たに“シャトルリュー”を抱っこしたのは、エイトである。
「うわぁー、実物みたい。」
エイトが重量や毛並みと体温に驚いたところ、
「ホントに?」
カリンと、
「どれどれぇ~??」
セブンが、同時に猫を撫で、〝おぉー!〟と感動した。
この間に、[超薄型画面]から“MAP”を選択したヤトが、
「やっぱり、あの家に何かしらのマークが出現しているな。」
「これは…、“ネコの顔”か?」
「ま、いいや。」
「すぐにでも“テレポーテーション”するぞ。」
周囲に告げたのである。
▽
[イッチューズ]が門から進んだら、庭を箒で掃いていた“若い女性のメイド”が、
「あら?!」
「まぁ!!」
「お嬢様の猫ちゃんじゃありませんか!」
「見つけてくださったのですね!!」
「さぁ、どうぞ、中へ!」
興奮気味で邸宅内へと先導していくのだった……。
[応接室]にて。
身長160㎝/ゆるふわセミロング金髪/青い瞳/白肌に、ピンク色のワンピースドレスで、10代後半ぐらいの令嬢が、
「お帰り!!」
「シャル!」
大喜びでネコを引き取る。
その側に控えていた父親たる“資産家”は、
「諸君らに任せて正解だったようだな。」
「それでは…、報酬を支払うとしよう。」
革袋を渡してきた。
リーダーのヤトが、これを手にしたタイミングで、
「皆さん、本当に、ありがとうございました!!」
お嬢様が満面の笑みを浮かべたのである。
▽
改めての庭で。
袋を開けたヤトが、
「じゃあ、一人につき金貨2枚な。」
全員に配っていく。
これを貰いつつ、
「次は??」
「また一緒のギルドに行ってみる?」
「ヤト待望の“冒険”を受注しに。」
クマッシーが訊ねた。
「そうなると……、あらかじめ防具だけでも買い揃えておいたほうがいいかもね。」
「特に女性陣は初心者だから、このまま旅に出るのは厳しいかもよ。」
ニケの提案に、〝ふむ〟と頷いたリーダーが、
「だな!」
「まずは幾つかの店を巡ってみっか!!」
そのように決めたのであった…。
▽
[Team S]は、何度目かのバトルになろうとしている。
敵集団は、[ダークドック.Jr]と[ダークマウス.Jr]に[アルミラージ]が2匹ずつで、[スライム]が4体の、計10数だった。
【陰陽師】のソウヤが、
「草よ。」
こう唱えたところ、10㎝ほどの長さだった数本の草が〝グングン〟と伸びていきながら、一匹の[ダークマウス.Jr]の両腕・腰・両脚に〝ぐるぐるぐるぐるッ〟と巻き付いたのである。
サキは、
「ダクドニア!」
「ラウス!!」
続けざまに“サーヴァント”を召喚した。
なお、シューラ達のフォーメーションは以前と同じである。
今回の魔物らは、自分たちより少なかったので、落ち着きをもって仕留めていけた[Team S]だった―。
そこから南の“住宅街”を進んでいったところ、お目当ての場所に到着したのである。
家は“石造りの二階建て”だった。
“セミロングでボサボサ茶髪の女性”が、緑色の鉄扉に備え付けられている[呼び鈴]を〝カラン カラン カラン カラン〟と鳴らす。
数秒後に、内側からドアを開けたのは、“サラサラ黒髪ロングの男性”であった。
背丈は170㎝くらいで、スラッとしており、白色を基調とした服装に、青色で薄いロングコートを羽織って、茶色のブーツを履いている。
この30代前半あたりのNPCが、
「おや?」
「貴女は、道具屋さんの……。」
「もしや。」
「昨日、納めた商品に、何か問題でもありましたか??」
いささか不安そうにした。
それに対して、
「あー、いや、そうではなく。」
「実はっすね…。」
もう一人のNPCが、経緯を説明していったのである。
「……、そのネコであれば、確かに、保護していますよ、三日ほど前から。」
「他の野良猫たちに攻撃されたのか、あるいはカラスによるものなのか、傷を負っていたので、治癒してあげました。」
「飼い主が分からなかったので、その後も、こちらで世話していたのですよ。」
「少々お待ちくださいね。」
そう述べた男性が扉を閉めたら、
「あの人は、うちの師匠と仕事上での契約を結んでいるんだ。」
「採った薬草などを、錬金術でポーション類に変えてくれるのさ。」
「で。」
「それを、師匠たちが、お店で販売しているってわけ。」
“女性のNPC”が一方的に知らせたのだった。
六人組が〝へぇー〟とリアクションしていたところで、さっきの男性が再び出てきたのである。
「このネコで間違いありませんか?」
彼が抱きかかえていたのは“黄色いリボンをした灰色の猫”であった。
「おー! 聞いていた特徴どおりだ!!」
瞳を輝かせたヤトが、両手で受け取る。
これによって、
「ふむ。」
「では、飼い主さんに、よろしく。」
男性が自宅へと戻り、
「じゃ、アタシも、ここで。」
軽く右手を挙げた女性が、〝シュンッ!〟と消えた。
「え!?」
「どういうこと??」
目を丸くしたセブンに、
「道具屋に“テレポート”したって事だと思うよ。」
ニケが教えてあげたところ、
「成程。」
と、納得したのである。
「それで?」
「私たちは、どうするの??」
「依頼者のとこまで歩く?」
「それとも…、走っちゃう??」
カリンが尋ねたら、
「いや、このパターンは、多分、瞬間移動できるようになっている筈だから……。」
そう予想したヤトが、
「悪ぃ、誰か、このネコ、代わってくれ。」
メンバーを窺った。
「じゃ、私が。」
新たに“シャトルリュー”を抱っこしたのは、エイトである。
「うわぁー、実物みたい。」
エイトが重量や毛並みと体温に驚いたところ、
「ホントに?」
カリンと、
「どれどれぇ~??」
セブンが、同時に猫を撫で、〝おぉー!〟と感動した。
この間に、[超薄型画面]から“MAP”を選択したヤトが、
「やっぱり、あの家に何かしらのマークが出現しているな。」
「これは…、“ネコの顔”か?」
「ま、いいや。」
「すぐにでも“テレポーテーション”するぞ。」
周囲に告げたのである。
▽
[イッチューズ]が門から進んだら、庭を箒で掃いていた“若い女性のメイド”が、
「あら?!」
「まぁ!!」
「お嬢様の猫ちゃんじゃありませんか!」
「見つけてくださったのですね!!」
「さぁ、どうぞ、中へ!」
興奮気味で邸宅内へと先導していくのだった……。
[応接室]にて。
身長160㎝/ゆるふわセミロング金髪/青い瞳/白肌に、ピンク色のワンピースドレスで、10代後半ぐらいの令嬢が、
「お帰り!!」
「シャル!」
大喜びでネコを引き取る。
その側に控えていた父親たる“資産家”は、
「諸君らに任せて正解だったようだな。」
「それでは…、報酬を支払うとしよう。」
革袋を渡してきた。
リーダーのヤトが、これを手にしたタイミングで、
「皆さん、本当に、ありがとうございました!!」
お嬢様が満面の笑みを浮かべたのである。
▽
改めての庭で。
袋を開けたヤトが、
「じゃあ、一人につき金貨2枚な。」
全員に配っていく。
これを貰いつつ、
「次は??」
「また一緒のギルドに行ってみる?」
「ヤト待望の“冒険”を受注しに。」
クマッシーが訊ねた。
「そうなると……、あらかじめ防具だけでも買い揃えておいたほうがいいかもね。」
「特に女性陣は初心者だから、このまま旅に出るのは厳しいかもよ。」
ニケの提案に、〝ふむ〟と頷いたリーダーが、
「だな!」
「まずは幾つかの店を巡ってみっか!!」
そのように決めたのであった…。
▽
[Team S]は、何度目かのバトルになろうとしている。
敵集団は、[ダークドック.Jr]と[ダークマウス.Jr]に[アルミラージ]が2匹ずつで、[スライム]が4体の、計10数だった。
【陰陽師】のソウヤが、
「草よ。」
こう唱えたところ、10㎝ほどの長さだった数本の草が〝グングン〟と伸びていきながら、一匹の[ダークマウス.Jr]の両腕・腰・両脚に〝ぐるぐるぐるぐるッ〟と巻き付いたのである。
サキは、
「ダクドニア!」
「ラウス!!」
続けざまに“サーヴァント”を召喚した。
なお、シューラ達のフォーメーションは以前と同じである。
今回の魔物らは、自分たちより少なかったので、落ち着きをもって仕留めていけた[Team S]だった―。
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