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Chapter 1/最初の国
№13 WWにおける設定③
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[イッチューズ]は“南通り”を歩いている。
日中とは違って人が殆どいない。
[ノンプレイヤーキャラクター]の多くは、家に入っているみたいだ。
外に出ているNPCもチラホラ存在してはいるが…。
また、[プレイヤーキャラクター]の往来も少なめであった。
「あ、猫。」
「だけど……。」
目を細めたセブンが、
「居ないみたいね。」
こう告げたのである。
通りの東側、建物の壁あたりに、4匹のネコが屯しているが、所謂ハズレだったようだ。
その後も、南下しつつ、数匹の猫たちを見付けたものの、“黄色いリボンのシャトルリュー”は、どこにも存在していなかった…。
改めての[南門]にて。
「困ったな。」
「他に情報もなければ、闇雲に捜し回っても無駄に時間が過ぎていくだけだし……。」
ヤトが眉間にシワを寄せる。
他のメンバーも頭を悩ませているみたいだ。
暫しの沈黙を経て、ニケが、
「道具屋のオジサンが何か知っているかも??」
「あのキャラが図書館の近くで転んだときに接触するか無視するかで、この依頼を達成できるかどうかが定められているんじゃないか?」
そう口にしたのだった。
「成程…、可能性はありそうだな。」
納得したヤトが、
「えぇ~っと、あそこの位置は……。」
[超薄型画面]から選択した“マップ”を、拡大していった流れで、
「あった。」
「それじゃあ、テレポートするぞ。」
皆に伝えたのである。
空は、若干ながら、明るんできていた。
彼らが【瞬間移動】したのは、[道具屋]の正面のようだ。
“会計所”は[木製の窓]で閉められている。
「裏に行ってみっか。」
こう呟いたリーダーを筆頭に、庭へと進む一同であった。
ヤトが夕時に届けてあげた“箱”はなくなっていたので、〝あれから屋内に運び入れた〟という事なのだろう。
〝ガチャッ、ガチャガチャッ〟と、ヤトがドアノブを押し引きするも、
「ダメだ、完全に閉まっている。」
鍵が掛けられているみたいだ。
更には、扉を〝ドンッ、ドンドンッ、ドンッ〟とノックして、
「…………。」
「反応なし、だな。」
肩をすくめたリーダーに、
「どうするの??」
クマッシーが訊ねる。
自身の腕を組んで〝うぅ~ん〟と考え込んだヤトが、
「営業が始まるまで待つしかねぇな。」
半ば諦めた様子で述べた。
「え?!」
「RPGって、宿に寝泊まりすれば、朝になるんでしょ?」
「そういのは無いわけ?? このゲームには。」
カリンが疑問を呈したところ、
「いや、宿屋自体は在るらしいけど…。」
「ここらへんも過去作と一緒なら、〝泊まれば、すぐに朝を迎える〟というわけではないと思う。」
「“ワンワー”も、〝ベッドとかで横になっているときに、ヒットポイントなどが徐々に回復していく〟といったシステムだろうね、きっと。」
「〝どれだけのダメージを負っているのか〟というのと、〝HPの数値そのものが多いか少ないか〟によって、全快するまでの時間が異なってくるんだ。」
そのようにニケが説明したのである。
「じゃあ、このまま待機するの?」
エイトに尋ねられ、
「んー、……、店先のほうがいいかもしんねぇな。」
こう判断するヤトだった…。
“表”にて、六人組が雑談していき、3分ほどが過ぎた頃、それなりに太陽が昇ったのである。
「あ!」
「オープンしたみたいよ。」
セブンの視線を辿ったら、窓が開いていたのだ。
全員で駆け寄り、
「ちわっす。」
ヤトが代表して声をかけたところ、
「はい、いらっしゃ、おや??」
「アンタらは、昨日の。」
「面倒ごとに巻き込んでしまって、すまなかったねぇ。」
「本当に、ありがとう。」
「そうだ。」
「うちの人にも会っていっておくれよ。」
「庭に居るだろうからさぁ。」
おカミさんに勧められたのである。
それによって、
「あー、……、仕方ねぇから、また、裏に向かおうぜ。」
苦笑いするリーダーであった。
再びの庭では、〝杖を突いた亭主〟と、〝セミロングでボサボサ茶髪の女性〟が、佇んでいた。
[金色のダイヤマーク]があるオジサンに、ヤトが話しかけたら、
「黄色いリボンをした灰色のネコ、かい?」
「んんー、…。」
「おッ。」
「そういえば……。」
「お得意先の錬金術師が、保護していたよ。」
「場所は…、弟子に案内させるとしよう。」
「お礼がわり、ということで。」
こう喋ったのである。
すると、今度は、女性の頭上に[ダイヤマーク]が現れた。
「その、猫の件なんだけど……。」
ヤトが確認したところで、
「アタシに付いて来て。」
そう告げた弟子が、歩きだしたのだった。
▽
草原ならびに土路にて。
[Team S]が、新たに戦おうとしているようだ。
モンスター達は、[スライム]と[食人花]が3体ずつで、[ダークドック.Jr]に[ダークマウス.Jr]が4匹ずつの、計14数であった。
「ダクドニア!!」
サキによって、サーヴァントの“黒い子犬”が登場する。
続けて、
「ラウス!」
宙に出現するなり旋回して味方のステータスを倍増させた“真っ白な小鳥”こと[カラドリウス]が、〝スッ〟と消えた。
こちら側の[ダークドック.Jr]は、敵へと、口から直径20㎝の【ファイヤーボール】を放つ。
前線にて、剣士のシューラ/武士のソリュウ/武闘家のサイザー/アサシンのシエルが、ヒット&アウェイを繰り返していく。
後方からは、黒魔術士のソソ/陰陽師のソウヤが【魔法】に【術】で援護していき、白魔術士のセイランが負傷したメンバーに【ヒール】を施す。
それらの中間では、シールダーのシリウス/騎士のサーガ/ガンナーのスイ/アーチャーのサザミン/召喚士のサキが、魔物らの動きを見て、攻撃や防御を行なったり、連係を取るべく指示を出し合あっていた―。
日中とは違って人が殆どいない。
[ノンプレイヤーキャラクター]の多くは、家に入っているみたいだ。
外に出ているNPCもチラホラ存在してはいるが…。
また、[プレイヤーキャラクター]の往来も少なめであった。
「あ、猫。」
「だけど……。」
目を細めたセブンが、
「居ないみたいね。」
こう告げたのである。
通りの東側、建物の壁あたりに、4匹のネコが屯しているが、所謂ハズレだったようだ。
その後も、南下しつつ、数匹の猫たちを見付けたものの、“黄色いリボンのシャトルリュー”は、どこにも存在していなかった…。
改めての[南門]にて。
「困ったな。」
「他に情報もなければ、闇雲に捜し回っても無駄に時間が過ぎていくだけだし……。」
ヤトが眉間にシワを寄せる。
他のメンバーも頭を悩ませているみたいだ。
暫しの沈黙を経て、ニケが、
「道具屋のオジサンが何か知っているかも??」
「あのキャラが図書館の近くで転んだときに接触するか無視するかで、この依頼を達成できるかどうかが定められているんじゃないか?」
そう口にしたのだった。
「成程…、可能性はありそうだな。」
納得したヤトが、
「えぇ~っと、あそこの位置は……。」
[超薄型画面]から選択した“マップ”を、拡大していった流れで、
「あった。」
「それじゃあ、テレポートするぞ。」
皆に伝えたのである。
空は、若干ながら、明るんできていた。
彼らが【瞬間移動】したのは、[道具屋]の正面のようだ。
“会計所”は[木製の窓]で閉められている。
「裏に行ってみっか。」
こう呟いたリーダーを筆頭に、庭へと進む一同であった。
ヤトが夕時に届けてあげた“箱”はなくなっていたので、〝あれから屋内に運び入れた〟という事なのだろう。
〝ガチャッ、ガチャガチャッ〟と、ヤトがドアノブを押し引きするも、
「ダメだ、完全に閉まっている。」
鍵が掛けられているみたいだ。
更には、扉を〝ドンッ、ドンドンッ、ドンッ〟とノックして、
「…………。」
「反応なし、だな。」
肩をすくめたリーダーに、
「どうするの??」
クマッシーが訊ねる。
自身の腕を組んで〝うぅ~ん〟と考え込んだヤトが、
「営業が始まるまで待つしかねぇな。」
半ば諦めた様子で述べた。
「え?!」
「RPGって、宿に寝泊まりすれば、朝になるんでしょ?」
「そういのは無いわけ?? このゲームには。」
カリンが疑問を呈したところ、
「いや、宿屋自体は在るらしいけど…。」
「ここらへんも過去作と一緒なら、〝泊まれば、すぐに朝を迎える〟というわけではないと思う。」
「“ワンワー”も、〝ベッドとかで横になっているときに、ヒットポイントなどが徐々に回復していく〟といったシステムだろうね、きっと。」
「〝どれだけのダメージを負っているのか〟というのと、〝HPの数値そのものが多いか少ないか〟によって、全快するまでの時間が異なってくるんだ。」
そのようにニケが説明したのである。
「じゃあ、このまま待機するの?」
エイトに尋ねられ、
「んー、……、店先のほうがいいかもしんねぇな。」
こう判断するヤトだった…。
“表”にて、六人組が雑談していき、3分ほどが過ぎた頃、それなりに太陽が昇ったのである。
「あ!」
「オープンしたみたいよ。」
セブンの視線を辿ったら、窓が開いていたのだ。
全員で駆け寄り、
「ちわっす。」
ヤトが代表して声をかけたところ、
「はい、いらっしゃ、おや??」
「アンタらは、昨日の。」
「面倒ごとに巻き込んでしまって、すまなかったねぇ。」
「本当に、ありがとう。」
「そうだ。」
「うちの人にも会っていっておくれよ。」
「庭に居るだろうからさぁ。」
おカミさんに勧められたのである。
それによって、
「あー、……、仕方ねぇから、また、裏に向かおうぜ。」
苦笑いするリーダーであった。
再びの庭では、〝杖を突いた亭主〟と、〝セミロングでボサボサ茶髪の女性〟が、佇んでいた。
[金色のダイヤマーク]があるオジサンに、ヤトが話しかけたら、
「黄色いリボンをした灰色のネコ、かい?」
「んんー、…。」
「おッ。」
「そういえば……。」
「お得意先の錬金術師が、保護していたよ。」
「場所は…、弟子に案内させるとしよう。」
「お礼がわり、ということで。」
こう喋ったのである。
すると、今度は、女性の頭上に[ダイヤマーク]が現れた。
「その、猫の件なんだけど……。」
ヤトが確認したところで、
「アタシに付いて来て。」
そう告げた弟子が、歩きだしたのだった。
▽
草原ならびに土路にて。
[Team S]が、新たに戦おうとしているようだ。
モンスター達は、[スライム]と[食人花]が3体ずつで、[ダークドック.Jr]に[ダークマウス.Jr]が4匹ずつの、計14数であった。
「ダクドニア!!」
サキによって、サーヴァントの“黒い子犬”が登場する。
続けて、
「ラウス!」
宙に出現するなり旋回して味方のステータスを倍増させた“真っ白な小鳥”こと[カラドリウス]が、〝スッ〟と消えた。
こちら側の[ダークドック.Jr]は、敵へと、口から直径20㎝の【ファイヤーボール】を放つ。
前線にて、剣士のシューラ/武士のソリュウ/武闘家のサイザー/アサシンのシエルが、ヒット&アウェイを繰り返していく。
後方からは、黒魔術士のソソ/陰陽師のソウヤが【魔法】に【術】で援護していき、白魔術士のセイランが負傷したメンバーに【ヒール】を施す。
それらの中間では、シールダーのシリウス/騎士のサーガ/ガンナーのスイ/アーチャーのサザミン/召喚士のサキが、魔物らの動きを見て、攻撃や防御を行なったり、連係を取るべく指示を出し合あっていた―。
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