Arousal of NPC‘s

猫ノ謳

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Chapter 1/最初の国

№15 彼らの旅支度

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“地図”を見ながら、
「結局のとこ、防具を優先すべきか、武器をチョイスするか…。」
ヤトが悩む。
「まずは、攻撃力よりも守備力のほうを重視したがいいだろうね。」
ニケの意見を、
「んー、……、やっぱ、そうすっかぁ。」
受け入れたリーダーが、
「じゃ、移動するぞ。」
メンバーに告げたのである。
 
 

イッチューズは、帝都の[北東地区]に【テレポート】したようだ。
正面には“防具屋”が存在している。
ここは、住宅街の一画いっかくらしい。
少し西に進むと[北の大通り]に出るみたいだ。
逆の東側に〝フ〟と顔を向けたエイトが、
「あの遠くに在るのって、お城だよね?」
仲間に質問したところ、
「うん、そうだよ。」
「クエストによっては、あそこに行く事があるかもね…。」
「まだ分からないけど。」
クマッシーが答えたのだった。
「お喋りは、そのへんにして、中に入ろうぜ。」
そう促したヤトが、[木製の扉]を奥へと押していく。
 
店内には、いろいろな商品が飾られていた。
大きめの台に置かれていたり、棚に陳列されている物もあれば、防具立てを用いて壁際に展示されていたりと、さまざまである。
 
「おぉー。」
「割と豊富ねぇ。」
感心するセブンに、
「まぁ、都だからね。」
「町や村だと、規模が小さくなる筈だよ。」
ニケが伝えた。
「どれを選んでもいいの??」
カリンに尋ねられ、
「いや、今の俺たちだと所持金に限界があるから、あまりにも高価なものは買えない。」
こう教えたヤトが、
「ま、見てろよ。」
[会計所]まで足を運び、
「ちわ。」
頭上に[金色のダイヤマーク]があるNPCに挨拶したのである。
「いらっしゃい。」
「なんにする?」
「取り敢えず、うちで扱っている品々を確認するかい??」
そのように喋ったのは、50代後半ぐらいの男性であった。
スレンダーな体型であり、オールバックヘアー&鼻の下のひげ白髪しらが交じりだ。
風貌からして、おそらくは“マスター店主”であろう。
「ああ、よろしく。」
頷いたヤトに、
「では、ゆっくり吟味してくれ。」
男が応じる。
すると、個々の眼前に[縦長・・の薄型画面]が自動的に現れたのだった。
「指先でスワイプするとページをめくれるんだけど……、どんな素材で生産されているかや、金額を、チェックしてみくれ。」
ヤトに従い、全員が目を通していく。
 
各項目の一番上には“薄革・厚革・木・薄鉄・鉄・鋼・胴・銀・金・その他”と書かれている。
また、これら材料で造られた品物と、価格も、表記されていた。
 
“狼の耳と尻尾”たるエイトが、
「どれも、現実だと、いくらぐらいなんだろう?」
素朴な疑問を口にしたら、
「日本であれば、金貨一枚が壱万円で、銀貨一枚が千円、銅貨一枚が百円ってとこだと思うよ。」
クマッシーが説明したのである。
“白猫の耳に尾”といったカリンが、
「となると…、結構な値段がする物ばかりね。」
半ば唖然としたところ、
「だろぉ??」
「現時点での俺らに購入できんのは〝木製まで〟なんだよ。」
ヤトが述べたのであった。
「で?」
「どれにするのがいいの??」
セブンに訊かれて、
「木……、いやぁー、それだと新しい武器を買うのが厳しくなりそうだから、薄革にするか?」
自身の腕を組んだヤトが、
「あー、でも、なるべくポーション類を揃えておきたいんだよなぁ。」
「初回ログイン時のボーナスとして付与された数だけだと、いささか心もとないし…。」
「参ったな。」
悩みだしたのである。
そんなリーダーに、
「まぁ、武器は“現状維持”でも大丈夫なんじゃない??」
ニケが声をかけた。
これによって、
「んー、…、そうだな。」
「おしッ!」
「“木製”にしよう!!」
と、まとめるヤトだった……。
 
[イッチューズ]は、ジョブごとに防具を購入した流れで、装備させてもらったようだ。
 
【武士】のヤトは“額当て/胴丸/籠手こて/腰回り/すね当て”である。
 
【シールダー】たるクマッシーと【戦士】のニケは“ヘッドギアタイプの兜/鎧一式”だ。
 
【アーチャー】であるカリンに【精霊術士】のエイトは“額当て/胸当て/ひじ当て/腰回り/ひざ当て”となっている。
 
しのび】たるセブンは“額当て/胴丸/籠手/脛当て”であった。
 
なお、金貨1.5枚~1.8枚のあたいみたいだ。
結果、[銀貨]を、ヤト・クマッシー・ニケは2枚、カリン&エイトは4枚、セブンは5枚、お釣りに貰っている。
 
「よーし、次は“アイテム”だな。」
そう告げたリーダーによって、外に出ていく一同だった。
 
 

道具屋の近くに[テレポーテーション]したところ、店主が、【武闘家】と【騎士】の男性に肩を貸してもらいながら、“裏庭”へと移動している最中だったのである。
彼らの真後ろで、
「これが“ネコちゃん”の情報に繋がるといいわねぇ~。」
キエラが微笑み、
「きっと、そうなるよぉー。」
クーガも〝ニコニコ〟していた。
この“12人組パーティー”は、間違いなく[Teamチーム Kケイ]である。
そんな光景を眺めつつ、
「あのオジサン、また捻挫ねんざしちゃったのかなぁ?」
首を傾げたエイトに、
「ああいうのは、誰かしらが依頼を受ける度に発生するんだよ。」
クマッシーが伝えたところで、
「〝何回でも繰り返される〟ってこと??」
カリンが不思議がった。
「ん、正解。」
このように肯定したのは、ニケである。
〝それはさて置き〟といった感じで、
「早いとこポーション各種を購入して、ギルドに行こうぜ。」
「冒険するために!」
皆をかすヤトであった―。
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