Arousal of NPC‘s

猫乃麗雅

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Chapter 1/最初の国

№12 WWにおける設定②

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ちょっとした庭にて。
[木製の背戸せど]から、
「旦那さん!」
「容体は!?」
15歳ぐらいの女性が飛び出してきた。
身長は160㎝程で、スレンダーである。
“セミロングの髪”は茶色で〝ボサボサ〟していた。
「なぁに、ちょっと捻っただけだから、そんなに心配する事ぁない。」
そのように[オジサンNPC]が喋ったあたりで、合流してきた奥さんが、
「まったく…、すまないねぇ。」
「うちの人が迷惑かけちまって。」
申し訳なさそうにしたのである。
「いやぁ~、助かったよ。」
右足を引きずりつつ、クマッシー&ニケから離れて、
「荷物は、そこらへんに置いといてくれ。」
「あとで弟子に運ばせるから。」
「何か困ったことがあれば、いつでも訪ねてくれよ。」
「私にできそうな事であったら、お礼に協力させてもらうからさ。」
こう述べた店主が、二人の女性と共に、屋内へと去っていく。
日が沈み始めるなか、
「一旦、これで終わりみたいだな。」
「……、しょうがねぇから、“南通り”に行ってみようぜ。」
と、改めて方針を決めるヤトであった。
 
 

平原では、[Teamチーム Sエス]が再びのバトルになっていたのである。
魔物らは、前回の顔ぶれと変わらないようだ。
まだ不慣れであるシューラ達は、それなりに手こずりながらも、どうにか敵を殲滅したのだった。
 
全員が武器などを収めたタイミングで、
「行こ。」
[金髪の少女剣士]が催促したところ、
「ちょっと待ってくれ。」
リーダーである“シリウス”が止めた。
【騎士】のサーガに、
「どうかした??」
そう問われて、
「いや、さっき…、紙? みたいなのがドロップされていたみたいでよ……。」
シリウスが、答えつつ、[イベントリ]を操作したのである。
「あー、やっぱ、これ・・かぁ。」
「え~っと??」
「説明文によれば、〝契約の書〟つーアイテムで、〝召喚士だけが扱える〟ってなってんな。」
「て、事で…。」
「サキに送るから、確認してくれ。」
このように伝えるシリウスであった。
〝ふむ〟と頷いて、出現させた[横長の超薄型画面]をチェックしたサキが、
「“ダークドック.Jr”を使役できるようになるらしい。」
「ただし、名前を付けてあげないといけないみたいだね。」
「……、知ってのとおり、アタシは、こういうの苦手だから、誰か代わりに考えちゃくれないかい?」
「補足として、性別は“メス”とのことだよ。」
そう述べたのである。
パーティーメンバーが〝うぅ~ん〟と頭を捻る流れで、〝ハッ!〟としたシューラが〝シュパッ〟と右手を挙げた。
「何か閃いたようだねぇ。」
サキと目が合ったシューラが、
「ダークドックジュニア…、略して、ダクドニア!!」
なんだか楽しそうに告げたら、
「良いんじゃないかしらぁ~。」
「素敵よ、シューラちゃん。」
【白魔術士】たるセイランが、軽く〝パチ、パチ、パチ、パチ〟と拍手したのである。
「他に意見がないようであれば、それに決めるけど……、構わないかい??」
サキが尋ねたら、仲間が首を縦に振ったのだった。
 
現在のサキが、カラドリウス以外の“サーヴァント”をび寄せられている制限時間は1分である。
これを過ぎると、自動的に消えるらしい。
なお、[リキャストタイム]は5分との事だ。
 
ちなみに、[Team S]におけるカラドリウスの名は“ラウス”である。
それもまた、シューラの案だったらしい。
 
とにもかくにも。
「じゃあ、出発するか。」
シリウスに従って、改めて西へと向かう一同であった…。
 
 

[イッチューズ]は、“南の門”あたりに【瞬間移動】している。
暫く“大通り”を北上しつつ、周囲を観察したところ、頭上に[金色のダイヤマーク]が浮かんでいる“若い男性”を見付けたのだった。
彼によれば、
「今は、まだ、ここら辺に猫はいないよ。」
「近所に住んでるネコ嫌いの名物じいさんが、すぐに追い払うから。」
「ただ、深夜になると、その爺さんが寝静まっているのが分かるのか、あちらこちらから猫が集まってくるみたいだね。」
との話しである。
「んんー。」
「……。」
腕を組んで、悩んだヤトが、
「一度、図書館に戻るとすっか。」
[MAPマップ]を開いたのであった。
 
ヤトたちが“図書館の南側”に[テレポート]するなり、夜を迎え、満月と星々が現れたのである。
「結構キレイねぇ。」
カリンを軸に、セブンとエイトの女性陣が感心していたら、
「フィールドであれば、もっと幻想的なはずだぜ。」
こう教えたヤトが、
「さ、それよりも…、“シャトルリュー”を探そうぜ。」
皆に声をかけたのだった。
 
[イッチューズ]が、図書館の外側を回っていく。
周囲の住宅からはあかりが漏れている。
また、幾つかの“篝火かがりび”が、点在していた。
「なんか、肌寒いんだけど、気の所為かな?」
セブンが呟き、
「あぁー、若干だけども風が吹いてるよ。」
ニケが伝えたところ、
「え?!」
「そうなの??」
カリンが目を丸くしたのである。
「ん。」
肯定したニケが、
「過去作と一緒なら、雨が降る日もあると思う。」
「あと、国によっては、気温が高かったり低かったりと、それぞれ特徴が異なっているだろうね。」
そのように語ったら、
って……、“濡れる”っていうこと?」
エイトが疑問を投げかけたのであった。
「感触はあるけど、実際に濡れるわけじゃないよ。」
優しく告げたのは、無論、クマッシーだ。
これに、少女三人組が〝へぇー〟と理解を示したのである…。
 
建物の西側にて。
あれ・・、ネコ達じゃない??」
セブンが、北西を指差した。
その方角を全員が注視するなかで、
「ゆっくり近づこう。」
「こっちが走ったりすると、驚いて逃げられるかもしれないから。」
クマッシーが提案したのである。
これによって、誰もが〝そぉ~っ〟と距離を詰めていたのだった。
 
木陰にたむろしている猫の数は、15匹前後といったとこだろう。
そんな“ニャンズ”を慎重に確認してみたものの、
「ダメだな。」
お目当てのシャトルリューは居なかったらしく、ヤトが渋い表情になったのである。
「どうする?」
「また、“南の大通り”に行ってみるか??」
ニケに訊かれて、
「うーん…。」
「だなぁ。」
同意したヤトが、
「今度は、中央広場から南下してみようぜ。」
気分転換を促す。
これに、
「いいわね。」
カリンと、
「うん、そうしましょう。」
エイトや、
「僕も“オッケー”だよ。」
クマッシーが、賛成した事で、新たに[テレポーテーション]を発動するリーダー・・・・であった―。
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