Arousal of NPC‘s

猫乃麗雅

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Chapter 1/最初の国

№11 道すがらに・・・・。

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ギルドで騒動が起きていた頃――。
[イッチューズ]は、図書館の南側に“テレポーテーション”したみたいだ。
「かなりの規模ね。」
「何階建てかしら?」
施設のデカさに、【アーチャー】たるカリンが少なからず驚き、
「確かに……。」
ヤトを中心としたメンバー達も、動きを止めてしまった…。
〝ハッ!〟となったヤトが、
「いや、こういうことしてる場合じゃない!!」
「どんどん時間が過ぎていっちまうだけだから、急ごう!」
皆を促したのである。
 
[イッチューズ]が辺りを観察した流れで、
「一匹もいないねぇ。」
【精霊術士】のエイトが呟いたのである。
「どうする?? ヤト。」
クマッシーに訊かれ、
「そうだなぁ……。」
「まずは、図書館の周りを散策してみようぜ!!」
そう答えた【武士】のヤトを筆頭に、なんとなく“時計回り”で歩いていく[イッチューズ]だった。
 
 

[ノースイースト北東ギルド]の外にて。
「じゃ、キエラ。」
「“Teamチーム Kケイ”のリーダーとして、別のギルドにテレポートしてくれるかい?」
【ガンナー】たるクーガーに求められ、
「はぁ――い。」
【アーチャー】のキエラが、[超薄型画面]を開く。
 
屋内では、
「遺跡調査団の護衛だ。」
仕切り直した[Teamチーム Zゼット]のゾースに、
「でしたら、都の西門に移動して、学者の方々と合流してください。」
「連絡と手続きは、こちらで済ませておきますので。」
[受け付けのノンプレイヤーキャラクターNPC]が告げたのであった。
 

図書館の西側で、
「ダイヤマークだ。」
発見したのは、ニケである。
彼の視線の先には“若い女性”が佇んでいた。
このNPCによれば、
「付近にネコ達が集まってくるのは、夜になってからよ。」
「残念だけど。」
「他には…、南の大通りでも、割と猫が目撃されているみたいね。」
との事だった。
新たな情報を得たヤトたちの背後で、
「おぉ~っと!」
ズデンッ!!
という声と音が聞こえてきたのである。
六人がビックリして振り向いていてみたら、“太った中年男性”が、石畳で、うつ伏せになっていたのだ。
その側には、[大きめの木箱]があった。
おそらく、“チョビひげの男”が、転んだ拍子に、落としてしまったのだろう。
そんなオジサンの頭には[金色のダイヤマーク]が見受けられる。
「なんだ??」
「何かしらのイベントが発生したのか?」
軽く首を傾げたヤトが、
「大丈夫かよ??」
様子を窺う。
倒れていた男性は、
「いたたたたぁ~ッ。」
どうにか“胡坐あぐら座り”したものの、
「……、ダメだ。」
「足首をネンザしてしまったみたいで、起き上がれそうにない。」
「君たち、ちょっと助けてくれないかい?」
このように尋ねてきたのだ。
それによって、
「仕方ないなぁー。」
クマッシーが左側から、
「オレも手伝うよ。」
ニケが右側より、肩を貸してあげた。
「おぉ、すまない…、ついでに、箱の中身を確認してくれないか??」
オジサンの要望にて、
「ちょっと待ってろ。」
「……。」
ヤトがふたを開けてみたところ、数十本のビンが納められていたのである。
「“ポーション”か…。」
「うぅ~ん、……、一つも割れてないみたいだぞ。」
こうヤトが述べたら、
「良かったぁ。」
「もし、商品が売り物にならなくなっていたら、カミさんにドヤされるとこだったからね。」
安堵した男が、
「悪いんだけど…、このまま荷物ともども送ってくれるか、もしくは、私の店から人を呼んで来てくれないかい?」
追加で頼んできたのであった。
「んー、……。」
「よしッ! 届けてやろう!!」
応じたヤトが[木箱]を持ち上げたタイミングで、
「いいの??」
「猫の件を放ったからしにしても?」
カリンが疑問を呈したのである。
「ま、こういうのは、アイテムを貰えたりだとか、後々、何かしらに繋がったりするから、やっておいて損はない。」
「それに…、夜になるまで、いい暇つぶしになるじゃん。」
〝ニコッ〟とするヤトだった。
 
 

再びの[西門]あたりには“調査団”の三人・・が佇んでいる。
[Team Z]の場合は、“高齢で小太りの男性NPC”を亡くしてしまったので、がいない状態だ。
白の顎髭あごひげが長い“団長”に、ゾースが話しかけたところ、
「むッ??」
「お前さんがたか……。」
「今度は安心して任せられるんじゃろうな?」
「まぁ、信じてはやるが…。」
「次も失敗したら、この依頼は受注できんようになるから、そのつもりでおるように。」
「こないだも言うたと思うが、途中で襲ってくる魔物たちを倒して得たジュエルやアイテムを売却して、換金した通貨で、装備品を整えるのが最善策となろう。」
「故に、戦いながら西の町を目指すのが、お勧めじゃ。」
「では……。」
「こないだと同じで、儂らは、お前さんがたの後ろを付いて行くからのッ。」
そのように説明したのである。
 
フィールドに出るなり、
「要は、コイツラを死なせなければいいんだろ。」
「だったら、三人一組になって、前後左右を囲めばいいんじゃねぇか。」
〝フ〟と閃いたらしいゾースが、
「おし!」
「オメェら、これからオレ様が命令するとおりに分かれろ。」
「で。」
南西の遺跡・・・・・を目指すぞ!!」
またしても、団長のアドバイスを無視したのであった。
 
 

図書館から暫く北へと進んだ所に、“オジサンNPC”の店舗が在る。
ここら一帯は、ちょっとした住宅街のようだ。
[道具屋]の窓口に居る“ふくよかな女性”に、
「帰ったよ。」
男性が話しかけた。
「あら??」
「アンタ、どうしたんだい?!」
いささか慌てる女性に、
「いや、実は…。」
男が経緯いきさつを説明していく。
 
「そんなことがあったんだね……。」
「取り敢えず、裏に回ってもらいなさいな。」
夫人の提案を受けて、
「じゃあ、よろしく。」
オジサンが、[イッチューズ]に告げたのだった―。
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