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第1章 ダンジョン内に放置されたようです……
第十一話 ……狼さんが話しました。
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「「「「「「喋った……⁉」」」」」」
アル達はアワアワしながら右往左往している。ぷちパニックの発生である。わぁい、ぱちぱち(棒読み)。……いや何も思ってないから‼何も思ってないからね‼だから、そんな目で見ないで‼
一方、アル達がぷちパニックに陥っている際中、結菜はぽかんとしていた。
「……………えっ?ダンジョンマスターって喋るの………………?」
頭の中が真っ白である。
ぽかんとしている結菜の顔をダンジョンマスターがぺろりと舐めた。
ザラリとした感覚にはっとする。あっちの世界に行っていた結菜はやっとこっちの世界に戻って来た。
『主、主の魔力はとても上質なのだな?美味かったのだ』
「……はぇ?」
『普通の人間ならその魔力に不純物が結構混じっていることが多いのだ。だから我らは人間を忌み嫌う。しかし、そなたの魔力は純白じゃった。甘露のようじゃったぞ?』
「そっ、そう?」
『うむ‼また飲ませてほしいのだ‼』
「う、うん。いいよ」
戸惑いながら返事をする結菜。
…………側ではまだアル達が右往左往している。その様子を見て大きな狼さんはくすくす笑った。
自分を負かした人間達にちょっとしたお返しができて、嬉しいようである。
しばらくそのわたわたしている様子を堪能した後、ダンジョンマスターは結菜の方に視線を戻した。
『ところで、我が大きすぎるのであったな』
「うん。アルさん達の所にやっかいになるわけだし…………。私に君を縮小できるスキルとかあればよかったんだけど…………」
『む?あるぞ?』
「へっ?私に?」
驚く結菜。これ以上自分が何かするとチートかもとか思われてしまうと結菜は心配になってきた。
だが、しかし‼実はその必要は全くないのだが‼既にアル達にはチート認定されていることには、結菜は一切気づいていなかった。
…………ちなみに、まだアル達はパニックっていた。いい加減落ち着かんかい‼思わずツッコミを入れたくなりそうである。
結菜の問いに、大きな狼さんは頭を振る。
ちょっと違っていたようだ。
『いや、我には《縮小化》のスキルとか《俊敏》のスキルとかがあってだな。まぁ、そういうわけなのだ』
「……つまり、小さくなれるってこと?」
『うむ‼』
得意気に胸を張る大きな狼さん。どうだ?凄いだろう?凄いだろう?とばかりに満面の笑みを浮かべている。
ぶんぶんと風が巻き起こるほど振り回された尻尾がバシンバシンと床や周りの柱に当たりまくる。
凹む床、破壊されていく柱。戦闘が終わった後なのに、むしろ戦闘している時並に破壊が進んでゆく。…………どうしてだろうかな。
アル達や結菜には全く被害が無いのが幸いである。
大きな狼さんは未だなお得意気に結菜を見て、褒めて褒めてと目をキラキラさせている。
(うん、やっぱりかわいい‼大きな狼さん万歳だよ‼)
結菜はその可愛い大きな狼さんを見てくすくす笑いながら頭を撫でてあげた。
ますます尻尾がぶんぶん振り回される。いや、ぶんぶんというよりブゥンブゥンの方が正しいかもしれない。
進む破壊活動。大きな狼さんの後ろには風を起こし過ぎて竜巻が何本もできている。さらにダンジョンが壊れてゆく。
柱が壊れてゆく際に結晶化していたものがキラキラ光りながら舞ってゆく。
アル達はパニックを通り越して乾いた笑いを浮かべながら、遠い目をしていた。……ドンマイ‼目が死んでいるけど‼
その間も和やかに結菜とダンジョンマスターは会話していた。なんだろうか、この空気の差は……。
『小さくなってもいいのだが、条件が一つあるのだ』
「ん?何?」
『あ、あの……その、だな…………。なっ名前をつけてほしいのだ‼』
照れながら言う姿がなんとも可愛らしい。かっかわいい‼結菜は沸き起こる興奮をぐっと抑えながら大きな狼さんの名前を考えた。
レッツ·ネーミングである‼
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