異世界転移した町民Aは普通の生活を所望します!!

コスモクイーンハート

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第1章 ダンジョン内に放置されたようです……

第十話 スキルがすごすぎて笑えてきます……

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 結菜は慰めるかのように結菜を見ている大きな狼さんを見つめた。
 アルもクリード達による渾身の説得に結菜をクランに受け入れることにしたようである。
 しかしながらクリード達の説得は凄まじい気迫であったようだ。
 時折、「あなたには恩というものがないんですか⁉この鬼畜‼」とか「警備隊の奴らなんかにユーナちゃんを預けたらわかるよね、ね‼」とか聞こえてくる。
 …………脅迫か‼心の中で鋭いツッコミを入れた結菜は、その会話を聞かなかったことにした。こういう時はスルーするのが一番なのである。
 そのまま、未だ繰り広げられている会話を無視し、じっと大きな狼さんを見つめなおす。
(従魔かぁ…。アルさん達は一応オーケーくれたけど、そもそも私にはテイマーとかないし……。)
 
《スキル《所有者》を使用すると従魔契約可能。ダンジョン内のモンスターは魔力が凝縮されてできた魔素とダンジョン内の物質からダンジョンによって生成されます。よって所有可能。また生物でないので収納可能。ちなみに《テイマー》は《所有者》の下位スキルです。》

 …………ふぉぉぉぉぉおう‼最っっ高だね‼宝珠の実達よマジで感謝です‼結菜はバンザイポーズで腕を突き上げて喜んだ。
 結菜の周りの空気が一気に華やぐ。
 この際アル達が変な目で自分を見てきたが、いっさい無視無視‼ここで気にしたら、防弾ガラス並の自分の心でもちょっとヒビが入りそうだ。結菜は瞬時にそう判断した。
 
《スキル《所有者》を発動し、ダンジョンマスターを従魔にしますか?―Yes · NO》

 …………鑑定さんすっっごいですね。もう笑うしかないよ。アハハハ。答えはYesです‼はい。結菜はちょっと複雑だったが、るんるん気分で答えた。
 次の瞬間、ダンジョンマスターの身体を光が包み込む。なんとなくCT検査みたいだ。
 光が足元から頭の方へと上ってゆく。
 そしてダンジョンマスターの頭までたどり着くと、パァァンと音をたてて弾けさった。

《成功しました。従魔契約完了。》

 どうやら成功したみたいだ。アル達との戦いで傷ついていた大きな狼さんの身体が瞬く間に回復されていく。
「ほぇ~……………………」
 結菜は自分から大量の魔力が吸い取られるのを感じた。どうやらテイムする時と傷の修復が同時に行われたためらしい。
 ちなみに、その一部始終を見ていたアル達は考えることを放棄していた。
 結菜が大量の魔力を放出したのを思い出す。
(((((あぁ、ユーナ(ちゃん)だからなぁ………。そうだよな……。うん、わかってた。)))))
 まさか、今まで誰もテイムしたことがないダンジョンマスターを結菜がテイムするとは思ってもみなかった。
 テイムする時には大量の魔力を吸い取られるため、魔力補充量が極端に多いダンジョンマスターをテイムするとなると、下手すると死ぬ可能性さえあるからである。
 でも、予想外の塊である結菜にはその常識は通じなかったようだ。
 遠い目をしながら、彼らははしゃぐ結菜を暖かく見守っている。しかしよく見ると、彼らの目は死んでいた。
 ………主に結菜のチート加減についていけなくなったのが原因である。
 《テイム》の能力は珍しい。結菜がダンジョンマスターをテイムしたのはどう見ても明らかだった。
 そう、それだけならまだ良かったのだ。
 しかし、結菜にはまだダンジョンマスターを触れずに足止めできるほどの強力なスキルがある。
 さらに、アル達は鑑定の能力も持っているのではないかとも感じていた。さっきから、名乗ってもいないのに、自分達の名前を彼女は知っているようであった。
 ……プライバシーとはなんだろう?アル達は改めて思ってしまう。後でちゃんと聞き出そうと彼らは固く決心したのであった。
 そんなことも露知らず、結菜は大きな狼さんと戯れていた。怪我も治り、ふわふわの毛はさらに触り心地がよくなっている。
 結菜は大きな狼さんに抱きつきながら思う存分もふもふを堪能した。ジュル。あっ、よだれが………。
 しかし、ふと気づく。
「あれ?でもちょっと大き過ぎるよね。普通に五メートルくらいあるし……。大丈夫かな?」
 結菜は一抹の不安を覚える。アルのクランでやっかいになるのに、大丈夫かな?と思ったのである。
 大きな狼さんの身体は普通に大きかった。このままでは、クランの迷惑になってしまわないだろうか?
(っていうか、この大きさだと町とかで凄い目立ちそう……………)
 う~ん困った。実に困った。結菜は頭を抱えた。
 そんな結菜をエメラルドグリーンの瞳が静かに眺めている。
 そしてその瞳の主は、結菜が驚かないようにそっと口を開いた。


『小さくなればよいのか?』
 





 
 
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