悪役令嬢の双子の兄

みるきぃ

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「すまない。痛くなかったかい?…あれ、君は…確か」


リアム様は俺を見て、驚いた表情をする。

俺はなぜここにリアム様がいるんだと思ったが、この学園の生徒だしいるのは当たり前だと正気に戻った。前世でこの乙女ゲームをやっている時にリアム様が本を読んでいるシーンがいくつかあったのを完全に忘れていた。


「ぜ、全然痛くないです…。えっと俺はマリーの双子の兄のアレンです」


推しを目の前にしてしまうと緊張する。てか、距離近いな。いい匂いするよ。



「そっか、よかった。アレン、実は君と話したいなとずっと思っていたんだ」


「え…?俺と、ですか?」


「そうだよ。ここで会ったのも何かの縁だと思うし、少し話せるかな?」


眩しいくらいの笑顔を俺に向ける。王子様みたいだな…て、本物の王子様だった。


「い、いいですよ」


リアム様にそう言われたら誰も断れないよ。


「急にごめんね。本を探している最中に邪魔しちゃって」


「だ、大丈夫です!謝らないでください」


「優しいね。ありがとう」



王子スマイルのまま『あっちで話そうか』と図書館の外のテラスへと移動した。図書館の中だと、話し声で本を読んでいる人たちに迷惑かけてしまう。気遣いもできるリアム様の好感度爆上がり。当たり前のことなんだけど、過大評価してしまう。


「こんなところがあったんですね。ここに来るの初めてで…」

一つ一つの造りが豪華な感じがする。逆に落ち着かないかも。リアム様もいるから余計に。



「初めて…。そうだったんだね。なんか嬉しいな」



「え?」


「なんでもないよ。ところで、図書館に来たのはやっぱり本に興味があってきたの?」


「実はマリーが用事で一緒に帰れなくて、…一応、前から本を読むことが好きだったんで気になって来ました。リアム様も本が好きなんですか?」


「あ、だから一人だったんだね。そうだよ。本を読むだけで知識が身に付くし、将来のためにもね」


「へぇ…」

リアム様の考え方まじ大人でリスペクト。まぁ、将来この国を背負うだけある。


「あと、僕のことはリアムで構わないよ。同級生だし、敬語もなし」


「そ、そそそんな!」


恐れ多いし無理。ハードル高いって。小さい頃は大丈夫だったけど、成長している今のリアム様の前だと無理無理。




「だめかな?」


「で、でも」



そんな目で見ないでください。



「なぜか君にはそう呼ばれたいんだ」

え、トゥンク。




「よ、よろしく、リアム」


「ふふ、嬉しいな」



どうせ俺は単純です。恐るべし、リアム様。中身も男前過ぎて、男の俺でもドキドキしてしまう。そんなこと言える男に俺もなりたいよ。






「あ、そうだ。突然だけど、その…相談にのってほしいことがあるんだ」


「そ、相談…?」


「うん。マリーのことなんだけど」


リアム様は少し言いづらそうだった。





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