20 / 43
20
しおりを挟む「え、えっと誰…?」
すごく気になる。教えてくれるかどうかわからないけど、知ることが出来ればマリーを幸せにすることへの第一歩へと繋げることができる。 知りたい。…すごく知りたい。
「急に驚かせてごめんね。ふふ、気になる?」
マリーはクスッと笑い、ジッと見つめていた俺が可笑しかったみたいだった。
「そりゃマリーのことなら気になるよ」
「へへ、嬉しいな。欲張りなこと言うけど、実は四人いるの」
「え、四人…?」
「そうよ。知っていると思うけどリアム、レオナルド、ヴァル、そしてオリバー」
嬉しそうな顔でそう言ったマリー。 え、まじ…?しかも見事に攻略対象たちじゃん…。さすが、元悪役令嬢のマリー。まさか四人のことを言うなんて…。
「その四人から特に気になっている人は…?」
「それが選べないの。同時に好きになっちゃったから」
恥ずかしそうに頬を赤くするマリー。 まじか…。俺は今後どうやって行動すればいいんだ。
「そういうわけでアレンにお願いがあるの」
「なに?」
「協力してほしいの。私、頼れる人アレンしかいないから」
「それはもちろんだよ」
だって元からそのつもりだったし。ただ四人って…せめてこの中から一人だけ選んでほしかった。
「やった。嬉しいわ。アレン大好きよ」
手を合わせて本当に嬉しそうなマリーの顔を見ると、まとめて四人と幸せになってほしいとまで思えてしまった。
「マリーが喜んでくれるなら、俺は協力するよ」
「ありがとう。でもね…私とアレンは似ているから、あの人たちは私に興味を持つかどうかわからないの」
「え、何を言っているんだマリー。いくら似ていても俺は男だし関係ないよ」
「関係あるの!オリバーだって私とアレン間違うくらいだし」
それはオリバーが天然だからだよ。
「だからね、アレンお願い!みんなから嫌われて…?」
可愛い顔でなんてお願いをするんだ、我が妹は。 でも可愛いからなんでもきいてしまう馬鹿な俺。
「それでマリーが不安にならないなら俺はいいよ」
「本当?ごめんね。こんな嫌なお願いを頼んでしまって…」
申し訳なさそうに謝るマリー。まぁ嫌われるのは俺だけでいい。俺は一度猫を助けて死んでいる身だ。嫌われるくらい痛くない。
突然の話で驚いたけど、可愛いマリーのお願いだから仕方ない。だってこの学園に来たのもマリーのためだから俺はなんだってする気でいた。
いくら俺とマリーが似ているから、不安になるなんて、それほどあの四人のことが好きなんだなと思った。
「さっそく明日から、アレンの悪い噂を流すわ。それでも大丈夫…?」
「大丈夫だよ」
「あと、もうオリバーとは話さないでね。あと他の人とも」
つまり、孤立か。青春したかったけど、俺なんかが出しゃばってもな。
マリーが幸せになるまで、頑張ればいいだけだ。
誰とも仲良くなる自信はなかったけど、オリバーとは友達になれると思った。
無理だよな、仕方ない。
136
お気に入りに追加
4,069
あなたにおすすめの小説

タイトル未定
みるきぃ
BL
前世で大好きだった少女漫画の推しキャラの親友かつ幼なじみに転生した俺。推しキャラの幸せのために幼少期から計画を立てて完璧な男に鍛え上げようと頑張る話。『悠生、愛してるよ』『君の方が気になる』いや、何か思ってたの違う。って話。

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

悪役令息、皇子殿下(7歳)に転生する
めろ
BL
皇子殿下(7歳)に転生したっぽいけど、何も分からない。
侍従(8歳)と仲良くするように言われたけど、無表情すぎて何を考えてるのか分からない。
分からないことばかりの中、どうにか日々を過ごしていくうちに
主人公・イリヤはとある事件に巻き込まれて……?
思い出せない前世の死と
戸惑いながらも歩み始めた今世の生の狭間で、
ほんのりシリアスな主従ファンタジーBL開幕!
.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚
HOTランキング入りしました😭🙌
♡もエールもありがとうございます…!!
※第1話からプチ改稿中
(内容ほとんど変わりませんが、
サブタイトルがついている話は改稿済みになります)
大変お待たせしました!連載再開いたします…!

転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】
リトルグラス
BL
人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。
転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。
しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。
ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す──
***
第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20)
**

推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?
下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。
そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。
アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。
公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。
アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。
一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。
これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。
小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。

とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~
無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。
自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる