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しおりを挟むマリーが怒っているのは明らかだった。
「酷い!アレンの馬鹿!」
マリーは地団太を踏みながら俺の前に来て、怒っているようにもみえるが泣きそうな顔をしていた。俺は急な状況がのみ込めずにいた。
「私以外と仲良くしないでって言ったのに、すぐに約束破るなんて…。ごめんなさい。むかついたの」
マリーは悲しそうにうつむいた。そうだ。マリーに誰とも仲良くするなと言われていたんだ。オリバーと俺が話しているのを見てそれで怒っていたのか。
「マリーごめんね。オリバーとは、話していただけだよ」
「そ、そうよね。ごめんなさい。私、最悪…。あの、あなたがオリバー?」
マリーは謝り、隣にいたオリバーに話しかけた。オリバーも急に話しかけられて戸惑った様子だった。
「ぼ、僕はオリバー・シェーン。小さい頃、パーティーで会った時の…」
マリーはオリバーのその言葉に一瞬、眉毛をピクリと反応させた後、笑顔を見せた。
「あら、オリバーだったの?もちろん覚えているわよ。久しぶりね。元気にしていた?」
「う、うん。ずっとあの日から僕はマリーのことが…その」
オリバーは緊張していて言葉を詰まらせていた。でもマリーの嬉しそうな反応から見る限り脈ありではないだろうか。
恋愛のことはよくわからないけど、なんか良い雰囲気だ。
「実は私もあの日からオリバーのことが忘れられなかったの」
「ほ、本当?」
マリーの一言でぱぁっと明るくなるオリバー。
「えぇ、本当よ。それよりオリバーとアレンは何を話していたの?」
「えっと、実は僕、マリーが双子だったなんて知らなくて…アレンを最初マリーだと思って話しかけてしまって…」
「ふふ、オリバーってば面白いのね。アレンは男よ。制服見なかったの?」
「じ、自分でもわからなくて…どうしてだろ」
わからないってオリバーは天然だな。それより、二人がこんなに打ち解けて話しているのを見ることができるなんて幸せだ。
それから少し話をしてオリバーと別れた。
マリーとは放課後はなるべく一緒にいるということを約束したので、とりあえず食堂に向い、ご飯を食べる事にした。
「そういえば、マリークラスはどうだった?」
食事を注文した後にマリーにそう聞いた。
本当は攻略対象たちと接触はあったかどうか知りたいところだけど。
「別に普通よ。アレンがいたら楽しかったのに」
「そっか。俺もマリーがいたら楽しいなと思うよ」
「…っ、ほ、本当?でも、オリバーと楽しそうに話していた…」
「話をしていたと言っても、マリーのことだよ」
「え?私?」
「うん。オリバーはマリーのことが好きだから会いたいと話をしていて」
「そうだったのね…。アレンは私のこと好き?」
不安そうな顔をして突然そう聞いてくるマリー。
「今更何言っての、当たり前」
「ふふ。…私負けないから」
負けない?どういうことだと思ったが嬉しそうなマリーの顔を見て俺は深く考えなった。
「あ、それとアレン。私ね、好きな人ができたの」
「へ?」
まさかこんなに早くその言葉が聞けるなんて想像してなかったので驚いてしまった。
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