悪役令嬢の双子の兄

みるきぃ

文字の大きさ
上 下
19 / 43

19

しおりを挟む






マリーが怒っているのは明らかだった。



「酷い!アレンの馬鹿!」


マリーは地団太を踏みながら俺の前に来て、怒っているようにもみえるが泣きそうな顔をしていた。俺は急な状況がのみ込めずにいた。


「私以外と仲良くしないでって言ったのに、すぐに約束破るなんて…。ごめんなさい。むかついたの」

マリーは悲しそうにうつむいた。そうだ。マリーに誰とも仲良くするなと言われていたんだ。オリバーと俺が話しているのを見てそれで怒っていたのか。



「マリーごめんね。オリバーとは、話していただけだよ」


「そ、そうよね。ごめんなさい。私、最悪…。あの、あなたがオリバー?」


マリーは謝り、隣にいたオリバーに話しかけた。オリバーも急に話しかけられて戸惑った様子だった。



「ぼ、僕はオリバー・シェーン。小さい頃、パーティーで会った時の…」



マリーはオリバーのその言葉に一瞬、眉毛をピクリと反応させた後、笑顔を見せた。


「あら、オリバーだったの?もちろん覚えているわよ。久しぶりね。元気にしていた?」 


「う、うん。ずっとあの日から僕はマリーのことが…その」


オリバーは緊張していて言葉を詰まらせていた。でもマリーの嬉しそうな反応から見る限り脈ありではないだろうか。

恋愛のことはよくわからないけど、なんか良い雰囲気だ。


「実は私もあの日からオリバーのことが忘れられなかったの」


「ほ、本当?」


マリーの一言でぱぁっと明るくなるオリバー。


「えぇ、本当よ。それよりオリバーとアレンは何を話していたの?」


「えっと、実は僕、マリーが双子だったなんて知らなくて…アレンを最初マリーだと思って話しかけてしまって…」


「ふふ、オリバーってば面白いのね。アレンは男よ。制服見なかったの?」


「じ、自分でもわからなくて…どうしてだろ」 


わからないってオリバーは天然だな。それより、二人がこんなに打ち解けて話しているのを見ることができるなんて幸せだ。


それから少し話をしてオリバーと別れた。 

マリーとは放課後はなるべく一緒にいるということを約束したので、とりあえず食堂に向い、ご飯を食べる事にした。




「そういえば、マリークラスはどうだった?」


食事を注文した後にマリーにそう聞いた。 


本当は攻略対象たちと接触はあったかどうか知りたいところだけど。


「別に普通よ。アレンがいたら楽しかったのに」


「そっか。俺もマリーがいたら楽しいなと思うよ」


「…っ、ほ、本当?でも、オリバーと楽しそうに話していた…」


「話をしていたと言っても、マリーのことだよ」


「え?私?」


「うん。オリバーはマリーのことが好きだから会いたいと話をしていて」


「そうだったのね…。アレンは私のこと好き?」


不安そうな顔をして突然そう聞いてくるマリー。


「今更何言っての、当たり前」


「ふふ。…私負けないから」 



負けない?どういうことだと思ったが嬉しそうなマリーの顔を見て俺は深く考えなった。






「あ、それとアレン。私ね、好きな人ができたの」


「へ?」


まさかこんなに早くその言葉が聞けるなんて想像してなかったので驚いてしまった。




しおりを挟む
感想 46

あなたにおすすめの小説

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

タイトル未定

みるきぃ
BL
前世で大好きだった少女漫画の推しキャラの親友かつ幼なじみに転生した俺。推しキャラの幸せのために幼少期から計画を立てて完璧な男に鍛え上げようと頑張る話。『悠生、愛してるよ』『君の方が気になる』いや、何か思ってたの違う。って話。

【蒼き月の輪舞】 モブにいきなりモテ期がきました。そもそもコレ、BLゲームじゃなかったよな?!

黒木  鳴
BL
「これが人生に三回訪れるモテ期とかいうものなのか……?そもそもコレ、BLゲームじゃなかったよな?!そして俺はモブっ!!」アクションゲームの世界に転生した主人公ラファエル。ゲームのキャラでもない彼は清く正しいモブ人生を謳歌していた。なのにうっかりゲームキャラのイケメン様方とお近づきになってしまい……。実は有能な無自覚系お色気包容主人公が年下イケメンに懐かれ、最強隊長には迫られ、しかも王子や戦闘部隊の面々にスカウトされます。受け、攻め、人材としても色んな意味で突然のモテ期を迎えたラファエル。生態系トップのイケメン様たちに狙われたモブの運命は……?!固定CPは主人公×年下侯爵子息。くっついてからは甘めの溺愛。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

BLゲームの世界でモブになったが、主人公とキャラのイベントがおきないバグに見舞われている

青緑三月
BL
主人公は、BLが好きな腐男子 ただ自分は、関わらずに見ているのが好きなだけ そんな主人公が、BLゲームの世界で モブになり主人公とキャラのイベントが起こるのを 楽しみにしていた。 だが攻略キャラはいるのに、かんじんの主人公があらわれない…… そんな中、主人公があらわれるのを、まちながら日々を送っているはなし BL要素は、軽めです。

処理中です...