悪役令嬢の双子の兄

みるきぃ

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「そういえば、悪い噂って例えばどんなこと?」


話を合わさないといけないし聞いておこう。


「うーん。そうねぇ。じゃあ、最初は学園のものを壊しましょう!」


手を合わせて、笑顔で怖いこと言うマリー。



「壊すってさすがにそれは…」


もっと他のことにしてほしいがマリーはノリ気だった。



「ふふ、大丈夫よ。アレンの手は汚さないわ!」


「そういう問題では…」


「アレンは私のお願い聞いてくれないの…?」


「…っ、わかったよ。でも物を壊すのはさすがに胸が痛いよ」


「アレンは相変わらず優しいわね。でも仕方ないことなの。じゃあ、私はこれから用事があるからまた明日ね、アレン」


マリーはそのままどこかへ行ってしまった。できればしてほしくないと思ったが、俺の話を耳に入れてくれなかった。今までそんなことはなかったのにと、どこかズレて成長してしまったマリーを止めることができなかった。でもこれもマリーのハッピーエンドのためだと思い、目を瞑った。



そして、次の日学園ではあることが注目を浴びた。それは、校庭に咲いてある花が荒らされているということだった。結構、綺麗に手入れされていたため、生徒の憩いの場にもなっていたと聞いていた。いわゆる人気の場所だった。


ま、まさか…な。

俺は少し嫌な予感がした。そんなことあってほしくないと思っていたが、結果は俺の想像通りだった。


朝、マリーと待ち合わせして、教室へ向かっているところ、俺の隣で、にこにこしながら笑顔で歩いているマリーに聞いてみた。


「マリー、もしかして校庭の花を荒らしたのは…」


「ふふ、そうよ」


「そ、そうか…」


悲しかった。何の罪もない花を犠牲にしてしまった。これもマリーのためだと胸に言い聞かせる。


歩いていると、みんなからの視線が突き刺さった。



『ほら、あいつがやったって噂だぜ』

『あんな綺麗な顔をして酷いことするなんてな』

『あれで性格が良ければ完璧なのに、妹のマリーちゃんが可哀想』


ひそひそと話しているが、俺の耳に全部届いていた。噂ってすぐ広まるんだな…。怖い。みんなの痛い視線や声を感じながら、クラスは別々なのでマリーと別れた。


教室に入ると、賑やかだったのが急に静かになる。…まじか。まだ学校始まって2日目だぞ。この空気が重い。一番、後ろの席に座ると、オリバーが駆け寄ってきた。



「アレン、あれ嘘だよね…?」


心配そうに俺を見るオリバー。本当に優しいな。でも俺はマリーに誰とも仲良くしないことと話さないことを約束したため、オリバーから顔を背け無視した。



「どうして何も言わないの…?何があったかわかんないけど、僕、アレンがやってないってわかっているから」


オリバーが良い子過ぎて胸が痛い。だけど、だめだ。俺はマリーのために頑張るんだ。




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