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しおりを挟むそのあとは応接間に案内された。俺の態度に驚きを隠せないルアンも可愛い。昨日の最悪な態度はルアンのためにわざとしたから大目に見てほしい。親の前ではきちんと常識を忘れないように、振る舞う。自分の子には良い人と結ばれて欲しいと思うのでルアンの両親には硬派な男としての印象を残した方がいい。
これまた息を呑む。今日のルアンは特別綺麗過ぎて、緊張して上手く会話ができるか正直心配の方が大きくなった。
「同じ学園みたいだが仲良くしているのか?うちのダリルがルアンに好意を寄せてもう3年ほど経つみたいなんだが」
「あら、そんなに思われてたのですか。ルアンが言うには昨日会ったばかりと…本当なの?」
親同士が話を進めていく。そうだ俺は学園に入学した時から3年もルアンのことをずっと想っていたんだ。一途な男だとわかってもらわないと困る。
「はい。実はルアンとは昨日初めてお話をしまして…。なかなか面と向かって話すのは恥ずかしくてその3年もかかってしまいました」
「まあ、奥手なのね」
口に出して言うのは照れくさいのでルアンの顔が見れなかった。ちゃんと届いていればいいけど…。
「僕はとてもびっくりしています。ダリルには昨日のことで嫌われていると思っていたので」
ルアンから思いがけない言葉が出てきた。俺がルアンを嫌う?それは絶対ない。きっと昨日のことで不安なんだな。全く可愛いやつめ。昨日の作戦は成功だな。記憶に残ったのは間違いない。
「嫌われてるなんてそれはどうして思ったんだい?まさかだとは思うが何か酷いことを言われたのかい?」
「はい…。実は僕、魔力測定で過去に見ないF-10というランクの低さで魔力がないと判断されました。それで自分なりに頑張って魔法を学んでいたんですが昨日学園を辞めたらと言われてしまいました」
おいおいおい。さっきまで良い流れだったじゃないか。まさか昨日のことをそのまま言われるとは想像してなかった。
涙を流しているルアンを見るとどうしようもない衝動にかられた。ゾクゾクしている余裕は今はない。
「ダリルどういうことだ?」
静まり返った部屋の中、父の少し怒り気味の声が響いた。…このままのペースじゃだめだと理解し、何としてでも婚約したいという気持ちが強くなった。
「そ、それは…違うんです。魔力が少ないということは狙われやすいと思ったので危ないと思いました。それで私が守りたいと思いが強くなって学園に通わずそばにいてほしいという…その、愛の告白だったつもりだったんです。ルアンを目の前にしたら言葉選びが下手くそになって申し訳ないことをしたのはわかってます」
そのまま、ポケットからハンカチを出して『傷つけて泣かせてしまいごめんね』と涙を拭う。触れた喜びと戸惑いの目に胸が高鳴ったと同時に誠実さをアピールできたと手応えを感じた。ルアンと話せなくなるのは苦しいし、婚約相手も俺でなきゃ許さない。
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