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しおりを挟む確かにルアンが最近努力していたことは見てたからわかる。だけど、だめだよ。ルアンにはもう学園を辞めてもらうしかないから。
「納得いかないのはわかってるよ。だけど魔法のことをたくさん学びたいと思ってるんだ」
「頑張っても無駄だ。さっさと辞めちまえ」
必死な姿もこれまた可愛い。今までの悪事を本当に反省しているようだった。だけど魔力が低いことは確かであるためこれ以上学園にいても意味がない。初対面の奴に辞めろと言われたのが嫌だったのかルアンは怒ってしまった。
「話の通じない奴は嫌いだ。じゃあな」
「は、はぁ~!?」
そのまま横を過ぎ去るルアン。まさか嫌いなんて言われるなんて思わなかったから動揺した。き、嫌いだと…?俺はこんなにも想っているのに、冗談でもそれは許せない。
「今の取り消せよ!」
訂正してもらおうと細い腕を掴み、引き止めた。
「なに?」
怒った表情もたまらなく好きだ。睨んでいるつもりだろうけど、俺には逆効果だった。そんなことを考えている余裕はない。多分、ルアンの記憶には刻まれただろう。今日はここまでにしようか。これ以上一緒にいると心臓がいくつあってももたないし。
「も、もう知らん!!!でもお前はもうすぐ辞めることになるからな!覚えておけよ」
どうせ明日にはすぐ会うのだから。今すぐなんて急がなくていい。両親を説得し、なんとかこの縁談へと辿り着いた。全て上手くいっている。
「わざわざお越しいただき感謝します」
「急に押しかけて悪いね」
お互いの親同士運よく顔見知りであったため、話が進んだ。奇跡?偶然?これはもう運命としか思えなかった。
「いえ、どうぞお気になさらず。ルアン挨拶を」
「はい。ルアンと申します。時間を割いて遠くから出向いてもらったこと感謝します」
…っ!
ルアンを見ると、いつも以上に綺麗だった。俺のためにこんなオシャレして…と思うと嬉しかった。それに丁寧な言葉で挨拶し所作全て美しい。また目奪われた。
「しっかりした子ね。それにとても綺麗な子。これじゃあ敵は多くなりそうねダリル。ほらあなたも挨拶しなさい」
母はルアンを凝視し、その美しさに驚いていた。確かにその美貌はよそには毒だ。おかしくさせる。敵は多くなる前に消す。だから誰にもルアンを近づけさせなければいいだけのこと。だから早く俺の婚約者となり、学園を辞めてもらう必要がある。
「私はダリルと申します。この度、このような素敵な機会をいただき心嬉しく思い、ありがとうございます。ルアン、今日も綺麗だね見惚れちゃった」
「まあ」
一瞬にして周りが甘い空気に包まれた。ルアンは昨日とは違う俺の豹変ぶりに目を丸くさせた。
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