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しおりを挟む「だ、大事な人だと?!こんな魔力がゴミの奴にお前いじめられてただろ。普通腹が立ってさ、見返してやりたくなるじゃん!」
ダリルが言っていることは一理ある。エイデンは被害者であり、俺は加害者だ。どうやっても過去は拭いきれない。
「そうだけど、それを決めるのは俺だから」
「…っ、エイデン」
思わず声が出てしまった。…なんて優しい人なんだ。酷いことをしたのに優しくされたら泣きたくなる。俺今なんか少女漫画のヒロインの顔になってない?エイデンにならボコボコにされても文句は言わないし構わない。
「お、お前!おかしいぞ!」
「多分わからないと思うけどルアンとは案外優しいところやその…可愛いところもあるし。毎日話がしたいくらい魅力的な人だ。今こうやって少しずつ前よりも仲良くできて嬉しい」
み、魅力的な人だなんて冗談でも照れるぞ。思わず、気持ちが舞い上がる。
「意味がわからない。お前はこいつに騙されてるんだ!こいつの悪態は計り知れないからな。だから俺がそばで監視してやると言っているんだ」
お前のそばにいて生き地獄を味わうくらいならいっそのこと一思いにしてくれ。せめて未来で無双して輝いているエイデンが見れないのが心残りで残念だ。
「確かに人から思われないことをしてきたかもしれないと思うけど…それだけでルアンのことを蔑ろにする理由にはなってないよ。それに君がやってることも同じじゃない?」
この子は人生何回目ですか。
弱々の豆腐ハートなので傷ついてないと言ったら嘘になるけど、酷いことをしたし当然の報いだとのみこんでいた。それでも俺の味方でいてくれるエイデンに申し訳ない。
「同じじゃねぇよ!こんな危険なやつ俺がそばで見てやらないと…「ゴホン。もう授業始めますよ」
良いタイミングで魔法科の先生が来た。そのあとすぐにダリルはつまみだされて自分のクラスへと帰って行った。最後まで何か言っていたけど聞こえないふりをした。先生のおかげでひとまず助かったがどこまでもダリルの中で、俺が悪者だと言うことは消えないらしい。
「ねぇルアン…。さっき言っていたこと本当?婚約者がなんとかっていう」
ダリルがいなくなったあと、顔を曇らせながら聞きづらそうに聞いてきた。
「あぁ、あれは親が決めたことだし今は一旦保留になってる。それに俺は婚約者になんか絶対ならないつもりだから」
「そ、それなら良かった。だってあんな人にルアンを幸せにできない。… お、俺と、いやなんでもない」
エイデンは珍しく最後言葉を濁していた。それとさっきのやつお礼くらいは言わないとだめだよな。助けてくれたわけだし…。
「エイデン…そのありがとう」
「…っ!ルアンに感謝された!」
「俺だって人だからな。一体何だと思ってるんだ」
ただ礼を言っただけなので喜ばれたら恥ずかしいです。せっかく癒されてたのにダリルのせいでまた疲れた。
「だ、抱きしめていい?」
「なぜそうなる。調子に乗るな」
俺たちは仲良くなってはいけない。良きライバルになりましょう。心の中で固い握手をした。
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