超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ

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【ダリルside】


初めて君に出会った時の衝撃は今も忘れない。あれは学園に入ってすぐのこと、7歳の時だった。


「今日から色んなことを学んできなさい」

公爵家の息子として生まれた俺は人生何もかもイージーモード。必要なものは全て与えられてきて育ってきた。だから学園になんて通ってもただただつまらないだろうとそう思った。

だが、そこで運命的な出会いをしてしまうなんて考えても見なかった。息を呑む美しさ。今まで心臓なんて動いていなかったと錯覚するほど、今初めて心臓が動き出したかのように自分の世界が変わった。

横を天使が通り過ぎたかと思った。これが一目惚れというやつなのか。一瞬にして奪われた。どう近づこうか。どう話せばいいのか。どうしたら君の記憶に残りやすいのか。それからたくさん考えた。初めてのことでよくわからない。名前はルアンというらしい。すぐに取り巻きができていた。クラスも違うためなかなか接点が作れない。話にいけばいいがそれじゃあだめだと頭を抱える。あの取り巻きたちと変わらないことはしたくない。


「ルアン様!どんな人がタイプですか?」

「タイプ…?うーんタイプねぇ…」

「じゃあ、憧れは?」

「そうだな…魔法だけでなく剣も扱える強い奴かな」


近くに寄り聞き耳を立てる。剣も扱える強い奴…。剣は5歳の時から握って習っているが真剣に取り組んだことは今まで一度もなかった。もし、俺がルアンの憧れている強い人になれば振り向いてもらえる…?いずれは騎士団長にのぼりつめ、目指すは一番だ。ルアンに似合う男になりたい。

それからのこと毎日剣を握り頑張った。全てはルアンのため。今のままでは顔向けできない。歳月を重ね、3年が経った。いまだに接点なんてないがルアンの周囲の状況は常に把握していた。眉目秀麗や花顔柳腰という四字熟語はルアンのためにあるものだと思った。だが完璧にみえるそんな彼にも問題があった。


「お前!さっきから頭が高いんだよ!!土下座しろ」


それは性格がとてつもなく悪いということ。最近入学してきた平民をいじめていた。悪魔と天使の両方を持ったと思えるほどに。俺的には性格が悪いという欠点があれば、変な虫もつかないしと安心していた。それくらいのことで嫌いになんてならないし、俺はそんなの気にしない。むしろ、いい子ちゃんぶっているやつよりはましだ。そんな半端な気持ちで好きになったわけではない。本気で笑っている姿が見たいし、良いところも悪いところも人間味があって全部好きだ。そんな君を大事にできるのは自分だけだと思った。


「ルアン様って…最近、心入れ替えたのかな…前よりドキドキしちゃうというか」

「わかる。最近のルアン様はなんていうか…エロいよね」

「そうそう!勉強頑張ってる姿とか…応援したくなるし、健気で可愛く思えちゃって…守りたくなるよね」


そんな話が最近、耳に入るようになった。あの性格の悪いルアンが心を入れ替えた…?そんなはずはないだろう。おかしな話だ。とても信じることができなかった。それよりも変な目でルアンを見るようになっている取り巻きたちに殺意を覚える。



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