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しおりを挟むエイデンそれでいいのか、本当に。それじゃあ今までやってたことと大して変わらないぞ。今ならやり直せる。だがしかし揺るぎないエイデンの瞳を見てしまえば俺の方がNOとは言えなかった。
「す、好きにしたらいい」
「やった」
満面の笑みで子どもらしく嬉しがる。これでまあ結果消されたりしないよな。だってエイデン自ら俺と仲良くなりたいと言ってきたから。何を考えているかわからないがエイデンは良い子だって知ってるから大丈夫だろう。さっき手に取った本を気にせず読むのを再開した。
「ルアン…もしかして魔力のこと調べているの?俺知ってることが一つあるんだけど」
「なにが」
「すぐにできることだけど、一時的にという限定付きで魔力が増える方法」
「え?」
本をバタンと閉じる。おいなんだそれは。主人公ならではで、知っていることがあると言うのか。魔力が一時的だがすぐに増やせる?そんなことができるのか。嘘の投資話に似たやつだったらごめんだ。
だがしかしエイデンはもうそこまで進んでいるのか。ぜひその方法、知識として入れておきたい。あくまでも今は知識として聞くだけだ。別に楽したいとか思ってないぞ。
「魔力はね。実は他の誰かからもらうことができるんだ」
「はぁもらうだって?そんなふざけたこと聞いたことがないぞ。そんなことできるわけないし、魔力を何だと思ってるんだ」
耳を傾けたが聞いて肩を下ろした。悪いがそんなの聞いたことがない。そんなことあったらどの本にも載っているはず。
「でももらう相手は限られているんだ」
「ふーん、一応聞くが例えば?」
「例えば魔力が多い人から…口付けしてもらうとか」
「は?」
何言ってんのエイデン。この期に及んで冗談はやめてください。笑えないです。
「魔力レベルがA-3以上の人からしかもらえないって条件だけど」
「そんなやついるか?…あ、」
そう言えば、目の前にいた。伝説級の魔力の持ち主が。
「気づいた?俺、人より魔力多いみたいで」
「自慢挟むな」
「違うよ!でもね、魔力は貴重だからあげたりもらったりすることは基本的に禁止とされているんだけど…、その俺が言いたいのは…」
「禁止…まあ、当たり前か。で、何が言いたい?」
本に載ってなくて当然だな。魔力は命と直結しているもんだし。
「その!…た、試してみない?」
「なにが?」
「ルアンと俺で!」
「…は?」
理解するのに時間がかかってしまった。この子は全く何を考えているんだ。
「だめ?」
「無理」
「実際にやってみないとわからないし、信じてくれないじゃん」
「禁止されてるんだろ!?しかも口付けって」
俺が悪役だからって何でもかんでも法を破るやつだと思われてんのかな。
「禁止でも俺はしてみたい」
「いや、だから…」
そんな好奇心は捨てなさい!ここで道を外したら一生の黒歴史になってしまうぞ。
「ルアンに俺の魔力をあげたい」
「は、破廉恥だぞ!いくら魔力をあげると言ってもな!そういう行為は大切な人とするもんだー!」
もう、泣きたい。何かまだ言っているエイデンを置いてその場から逃げた。
あの重圧、これ以上俺には耐えられないです。
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