14 / 71
14
しおりを挟むエイデンそれでいいのか、本当に。それじゃあ今までやってたことと大して変わらないぞ。今ならやり直せる。だがしかし揺るぎないエイデンの瞳を見てしまえば俺の方がNOとは言えなかった。
「す、好きにしたらいい」
「やった」
満面の笑みで子どもらしく嬉しがる。これでまあ結果消されたりしないよな。だってエイデン自ら俺と仲良くなりたいと言ってきたから。何を考えているかわからないがエイデンは良い子だって知ってるから大丈夫だろう。さっき手に取った本を気にせず読むのを再開した。
「ルアン…もしかして魔力のこと調べているの?俺知ってることが一つあるんだけど」
「なにが」
「すぐにできることだけど、一時的にという限定付きで魔力が増える方法」
「え?」
本をバタンと閉じる。おいなんだそれは。主人公ならではで、知っていることがあると言うのか。魔力が一時的だがすぐに増やせる?そんなことができるのか。嘘の投資話に似たやつだったらごめんだ。
だがしかしエイデンはもうそこまで進んでいるのか。ぜひその方法、知識として入れておきたい。あくまでも今は知識として聞くだけだ。別に楽したいとか思ってないぞ。
「魔力はね。実は他の誰かからもらうことができるんだ」
「はぁもらうだって?そんなふざけたこと聞いたことがないぞ。そんなことできるわけないし、魔力を何だと思ってるんだ」
耳を傾けたが聞いて肩を下ろした。悪いがそんなの聞いたことがない。そんなことあったらどの本にも載っているはず。
「でももらう相手は限られているんだ」
「ふーん、一応聞くが例えば?」
「例えば魔力が多い人から…口付けしてもらうとか」
「は?」
何言ってんのエイデン。この期に及んで冗談はやめてください。笑えないです。
「魔力レベルがA-3以上の人からしかもらえないって条件だけど」
「そんなやついるか?…あ、」
そう言えば、目の前にいた。伝説級の魔力の持ち主が。
「気づいた?俺、人より魔力多いみたいで」
「自慢挟むな」
「違うよ!でもね、魔力は貴重だからあげたりもらったりすることは基本的に禁止とされているんだけど…、その俺が言いたいのは…」
「禁止…まあ、当たり前か。で、何が言いたい?」
本に載ってなくて当然だな。魔力は命と直結しているもんだし。
「その!…た、試してみない?」
「なにが?」
「ルアンと俺で!」
「…は?」
理解するのに時間がかかってしまった。この子は全く何を考えているんだ。
「だめ?」
「無理」
「実際にやってみないとわからないし、信じてくれないじゃん」
「禁止されてるんだろ!?しかも口付けって」
俺が悪役だからって何でもかんでも法を破るやつだと思われてんのかな。
「禁止でも俺はしてみたい」
「いや、だから…」
そんな好奇心は捨てなさい!ここで道を外したら一生の黒歴史になってしまうぞ。
「ルアンに俺の魔力をあげたい」
「は、破廉恥だぞ!いくら魔力をあげると言ってもな!そういう行為は大切な人とするもんだー!」
もう、泣きたい。何かまだ言っているエイデンを置いてその場から逃げた。
あの重圧、これ以上俺には耐えられないです。
1,602
あなたにおすすめの小説
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?
詩河とんぼ
BL
前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?
災厄の魔導士と呼ばれた男は、転生後静かに暮らしたいので失業勇者を紐にしている場合ではない!
椿谷あずる
BL
かつて“災厄の魔導士”と呼ばれ恐れられたゼルファス・クロードは、転生後、平穏に暮らすことだけを望んでいた。
ある日、夜の森で倒れている銀髪の勇者、リアン・アルディナを見つける。かつて自分にとどめを刺した相手だが、今は仲間から見限られ孤独だった。
平穏を乱されたくないゼルファスだったが、森に現れた魔物の襲撃により、仕方なく勇者を連れ帰ることに。
天然でのんびりした勇者と、達観し皮肉屋の魔導士。
「……いや、回復したら帰れよ」「えーっ」
平穏には程遠い、なんかゆるっとした日常のおはなし。
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼不定期連載となりました。
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
悪役令息(Ω)に転生した俺、破滅回避のためΩ隠してαを装ってたら、冷徹α第一王子に婚約者にされて溺愛されてます!?
水凪しおん
BL
前世の記憶を持つ俺、リオネルは、BL小説の悪役令息に転生していた。
断罪される運命を回避するため、本来希少なΩである性を隠し、出来損ないのαとして目立たず生きてきた。
しかし、突然、原作のヒーローである冷徹な第一王子アシュレイの婚約者にされてしまう。
これは破滅フラグに違いないと絶望する俺だが、アシュレイの態度は原作とどこか違っていて……?
俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします
椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう!
こうして俺は逃亡することに決めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる