嫌われ者の僕

みるきぃ

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男前風紀委員長

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「キ、キス…?」


「今さら照れることじゃないだろ……この可愛い奴め」




すると、僕の頭を軽く撫でて、少しずつ花園くんの顔が近づいてきた。顔に息がかかるほどの近さ。目を閉じる花園くん。





「は、花園くん…ちょ、ちょっと」



「…ん?どうしたんだ?」

 


「や、やっぱり、その…キ、キスは…」




仲直りはとても嬉しい。けどさすがにキスは抵抗がある。いくら親友の証って言っても恥ずかしいしなれない。



「もしかして皆に見られるのが嫌なのか?もうあおいはわがままだな!」



「ご、ごめんなさい…」


花園くんに気を使わせてしまった。





「じゃあ、あとでしような!本当は皆に見せつけたいけど仕方ないから我慢してやる!!」



そう言って、花園くんは僕の肩に手を回しなぜか額やこめかみの方に音を立てながら軽くキスを落としていった。こ、これも恥ずかしい…なんて言えるはずなかった。




「…おい、てめぇっ!」


すると、後ろから笹山くんが掠れながらも声をあげた。






「さ、笹山くん…わぁっ、」


傷を大丈夫かどうか聞こうと思った時、後ろから引っ張られ、体勢を崩したまま笹山くんの腕の中におさまってしまった。




「お前、こんな奴と付き合ってるとか言わねぇだろうな?」



「…え?」


「何、簡単に流されてんだよ。この馬鹿」



 
言っている意味がよくわからなかったが怒られているのはわかる。どうすることもできなくて小さな声で謝った。




「…き、傷は…だ、大丈夫なの…?」

 
謝ったあと、恐る恐る聞いてみる。




「当たり前だ。それより今すぐお前は帰れ」



少し焦った様子の笹山くん。




か、帰れ…?それはどうしてと、疑問に思った瞬間



「あおいッ!!お前はやっぱり浮気者だ!!!!浮気者!浮気者!浮気者!俺がいながら何でそんな奴のこと心配するんだよ!!俺が帰ってきたのに何でこっちを見ない?突然いなくなったのはさっき謝ったじゃん!!!!あおいのわからずや!」




花園くんが大声で怒鳴り、以前も怒った時のあの時の表情になった。僕はまた花園くんに前と同じ顔をさせてしまった。





「…あおいから離れろ、雑魚!!」


花園くんはものすごい勢いで笹山くんに手を降りおろす。その弾みに手に持っていたハンカチを落とした。





「は、花園くん…!」



「…俺のあおいを誘惑しやがって!!」



花園くんは僕を笹山くんから遠ざけてさっきよりも更に強い力で笹山くんに暴力を振るった。






 


「…あーあ、手ぇ汚してしまった」



花園くんの拳には笹山くんの血がついていた。





クラスにいた不良さんたちも顔を青ざめて『病院連れて行った方がよくね?』とどこからか聞こえてくる。花園くんは何事もなかったかのように僕がさっき落としたハンカチを拾って手を拭いた。




「あおい!これでもう俺たちを邪魔する奴はいないぞ!安心しろよな!」


 
「え、」


体が震えてしまう。笹山くんは不良さんたちに運びこまれて口の方から血が流れていた。




ぼ、僕のせい…?


胸が苦しくなった。




「泣きそうになるなよ!そんなに嬉しいからって」




運びこまれていく笹山くんを見る。



「…ご、ごめんなさいっ」




笹山くんが言った通り僕が帰っていれば笹山くんはこんな傷つかなくてすんだ。





「謝ったから許してやるぞ!!俺って本当に優しいよな!普通だったら許してもらえないんだぞ!」



涙を堪えることができなくて泣きそうになり顔をうつむけた。うつむけた瞬間、床に涙が零れていく。





「あー!!そんなに泣いて嬉しいのはわかるけど…もう可愛いな」



「ぁ…」




すると、花園くんは泣いている僕の顎を掴み、





「ンっ!」


深いキスを落とした。舌が入ったり出たりと繰り返す。そして、僕の唇を舐めて角度をかえながら何回も何回も貪るようにキスをする。リップ音が教室に響いて恐怖と羞恥が僕を包み込んだ。…息ができなくて苦しい。




「皆の前ではしないって言ったけど我慢できなかった!あおい、これからはお前を一人にしないからな!」

 



その言葉を最後に僕は意識を閉ざした。




──
────

……






「─あおい!起きろ!」


誰かの声で目を覚ます。あ、れ…僕、今まで何してたっけ…。少し唇に変な感じがして、少し湿っていた。うっすらとゆっくり、目を開けると花園くんがいて不満げな顔だった。




「やっと起きた!」


「は、花園くん…ごめんね。僕寝てて…。あの、ここは?」



周りを見渡すと、思い出した。一度、前に来たことがある花園くんの部屋だった。





「俺の部屋だぞ!それと俺があおいのことここまで運んでやったぞ!でも気にするなよな!」


「そ、そうなんだ…ありがとう」



「と、当然だろ。俺はあおいの…しょ、将来の旦那なんだから…あーもう!恥ずかしいだろ!」



花園くんは顔を赤らめ、顔を手で覆って隠した。…僕あのまま気を失って寝てしまっていたんだ。花園くんがここまで運んでくれたんだ…。重くなかったかな…。それに笹山くんは、大丈夫なのかな。すぐに、不良さんたちに運んでもらってたけどかなり痛そうなケガしてた…。心配になる。誰かが傷つくのは本当に…見てられない。なのに、何もできない僕は本当に最低な人間。





「なぁなぁ!あおいの寝顔ずっと見てたら俺な!!ちょっと舞い上がった!でも、途中からあおいと話したくなって起こそうとしたけど、なかなか起きなくて、王子様からのちゅーしまくったぞ!」

 

そしたら、目を覚ました!と、喜ぶ花園くん。




「お、王子様の…ちゅー…?」


「そうだぞ!」




だから、さっき唇が湿っていたんだと納得した。親友の証のキス。もう、僕たちって仲直りしたってことだよね…?絶対、許してもらえるはずないと思っていた。口も聞いてくれないと思って不安だった。だけど、花園くんはこんな僕なんかにいっぱい話しかけてくれる。友達ってこういうものなんだと知ることが多かった。でも、誰かに暴力を与える花園くんは怖かった。



「あっそうだ!俺、あおいのためにお土産を買ってきたんだった!」


ちょっと待ってろよ!と慌ただしくしながら奥の部屋へと行った。花園くんって忙しい人だなぁ、と思った。すぐに足音を立てて花園くんが戻ってきた。




「これ!俺からのプレゼントだっ!大事にしろよ!」



手を掴まれ、可愛くラッピングされた袋を渡されてそれを受け取った。ぼ、僕にプレゼント…?



「あ、ありがとう…」



…嬉しい。何だろうと思いながら、リボンをといて袋を開けて中に入っているものを取り出した。





え…?



これって、

「く、首輪…?」


…だ、よね?




ベルトのようなシンプルにデザインされた革製の黒い首輪だった。






「気に入ったか?これ人間用の首輪なんだぞ!オシャレだろ!」



「そ、そうなんだ…初めて見た」



人間用の首輪ってあるんだ。首輪って犬や猫だけの物じゃないんだってこの時改めて知った。こ、こういうのって流行ってるのかな…?僕は最近の流行とか新しいものには疎いからわからない。



「これで安心しろよな、将来は俺が養ってやるから!…ほら、つけてやるからさ、後ろ向けよな!」



「え、あ、うん!あ、ありがとう」




僕は後ろを向いて、花園くんがゆっくりと僕の首に首輪をつけてくれた。これってデザインが違うだけでネックレスみたいなものなのかな?



「あおい!よく似合ってるぞ!!」



花園くんはニコニコと嬉しそうな表情になりそう言って僕の頭を撫でた。せっかく花園くんが僕なんかにプレゼントしてくれたのに申し訳ないけど




「は、花園くん…やっぱり少し違和感があるかも」



やっぱり、まだなれない。首が気になってしょうがなかった。



「大丈夫だって!ずっとつけてたらいずれなれるぞ!」



「そ、そうだよね…プレゼントありがとう」



「おう!大切にしろよ!!」



「うんっ」



違和感はあるけどきっとなれるはず。首輪に触れながらそう思った。







「…リード買えばよかった」


花園くんが何やらボソッと小さく呟いた。





「…は、花園くん?」


気になって問いかけるが花園くんは慌て出した。




「えっあ、ううん!何でもないぞ!!今度またプレゼントしてやるからな!」


「わぁっ」


さっきよりも更に速く頭を撫でられた。そのあと、花園くんは僕の膝の上に頭を乗せて体を横にした。



 


「あー、あおいが隣にいるってやっぱいいなー。俺超幸せ」



「え…!」



急に真剣な顔つきになってそう言われるとびっくりする。し、幸せなんて…初めて言われたかも。ぼ、僕が隣にいるのいいって何もしてないのにそ、そんな大袈裟だよ。あまり言われないから反応が難しい。






「ずっとずっと、後悔した。あおいと会いたくてたまらなかった。学園から離れなければ良かったって思った。…それと俺、毎日あおいのこと考えてた」



「ま、毎日…?」


寂しそうな目で僕を見つめる。花園くんって本当…友達思いの優しい人だ。だけど、そんな彼を僕は怒らせてしまって周りを巻き込んでしまう。花園くんはさっき幸せって言ったけど僕は皆に嫌な思いさせるだけでそんなこと言われるような人間じゃない。




「てか、あおいの膝枕やべぇー!!!」



すると、突然僕の膝にスリスリとする。





「は、花園くん、くすぐったい…っ」



何となく恥ずかしく思った。そして、しばらくして僕はあることを思い出した。




「あ、そうだ!花園くん」



さっきで言うの忘れてたから今聞こうかな。




「ん?なんだ?」



「さっき、プレゼントもらったから僕も何かあげるね」



「おう!本当か!?嬉しいぞ!!!」



「そ、それで何か欲しいものとかあるかな?…あ、でも…た、高いものだったら買えないかもしれないけど…」



語尾がだんだん小さくなる。なるべく買える範囲のものであればいいけど、花園くんが何が欲しいのかわからない。僕だったら必要ないもの買って花園くんに嫌な思いさせちゃうかもしれないから…。



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