嫌われ者の僕

みるきぃ

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俺様会長

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【神影side】


瑞希とあのゴミが帰ったあとの生徒会室には異様な雰囲気が流れていた。


「クソッ。あのゴミ本当邪魔だ」


俺様は、近くにあった椅子を蹴る。ずっと瑞希は俺達に眼中になんてなく、あのゴミの名前を呼んでいた。



「ずっと扉の前にいて身の程は知っていたみたいだけど、鬱陶しいよね~」




「瑞希に気に入られているみたいだから迂闊に酷いことできませんし…どういたしましょう」



「どう、する」


俺達はイライラしていた。どうにかして排除できないかと策を巡らせても練っても何も浮かばない。


すると、シーンと一瞬静寂に包まれた生徒会室に祥が



「あっ!俺今いいアイディアが浮かんじゃったよ~!!」


突然、そう声を出して閃いた顔をした。皆が祥に視線を送る。



「…いいアイディアだと?なんだ?」


すぐに問う。いくら考えても方法は思いつかなかったが…けど、祥のやつはいいアイディアを見つけたらしい。



「それはね~!俺たちの誰かがあのキモオタを惚れさせるんだよ~!」



「「「はっ」」」


祥の発言を聞いて俺様は耳を疑った。



あのゴミを俺たちの誰かが惚れさせる…?ふ、そんな気持ち悪いのごめんだ。この策はボツだなって思った。



「あ、あの祥…なぜ、私たちがあんな奴を惚れさせるのでしょうか?」


貴之のやつも理解できないみたいだ。



「ふふっ、考えて見てよ?さっき瑞希が言ってたじゃん?“あおいは俺が好きなんだよ”って」



「確かにそんなこと瑞希は言っていたな」




「でもそれがどうしたのでしょうか?」





「きっと、あのキモオタは俺たちの瑞希を奪おうとしてるんだよ。おまけに瑞希に気に入られてるし、くっつくのも時間の問題じゃん?だからそうならないためにも俺たちの誰かが惚れさせるっていうわけ~。どう?このアイディア」



「…………へぇ」


なるほど。自然に口の端があがる。俺様は昔から人を痛めつけて遊ぶのが好きだ。特にあのゴミはいい感じに楽しませてくれる。さっきまではボツな策だと思っていたがそれもありだな。



「つまり、あれだろ。惚れさせたら



―――――捨てる」



こういった排除の仕方か。…くく、面白いじゃねぇか。あのゴミが歪む顔が目に浮かんで楽しい。暇潰し程度にはなるな。




「それで決まりだな」


「ですね」


「い、い」



全員がその策に賛成した。そう、決まったのはいいものの、一体誰がそれをやるんだ?別に、俺様は自らその役になりたいというわけじゃない。ただ面白そうだからという理由でだ。




「じゃあ、そうと決まれば今からジャンケンしよ!」



「ジャンケン…ですか?」



「そうだよ~」



「祥が提案したんだから祥がやりなさい」



 「え~。賛成したのは皆じゃん。俺だって嫌だよ~。ここは運命に任せよーよ!ね!」



そして、公平にジャンケンをして決めることになった。



………。


う、そだろ…。



「神影で決まりだね~」



「まあ、せいぜい頑張ってください」


「がんば、れ」




「うっせぇ!黙れ」


チョキを出すんじゃなかった。俺は見事に負けてしまった。




「じゃあ、俺たちは神影があのキモオタを惚れさせる間、瑞希を引き止めておくからよろしく~」




「は?なんだ、それは!」


そんなの聞いてないぞ。ふざけるな。




「負けたんだからしょうがないでしょ~」



「そうですよ。負けたんだから素直に引き受けなさい」



「負け、た、がんば…れ」



くそッ。最悪だ。俺様はドンッと壁を殴った。



「悔しいなら早く惚れさせて来てください」



「そうだよ~。惚れさせればいいことじゃん」




他人事のように言う。



「チッ。面倒くせ」


早くあのゴミを惚れさせないとこいつらの誰かに瑞希が取られそうだ。



――――
――――――

………。


それから数日後。自分の寮の部屋であの策のための変装をした。あのゴミに俺様とあろう者が一緒にいるという目撃をされてはプライドに傷が入るし許せない。だから今こうやって変装をしたのだ。


目は生まれつき茶色っぽい黄色。だから黒のカラコンをいれて、顔の輪郭を隠すためマスクをした。素の俺があのゴミなんざと関わるのは嫌だ。だから、変装は必須。


しかし、面白そうだと思ったが案外面倒くせぇことになってきた。さっさと、惚れさせてゴミの歪む顔でも拝見して瑞希を俺様のものしてやる。



相変わらず、瑞希はあのゴミと行動している。そろそろ作戦に出ないと遅いって祥のやつに言われた。



コンコンー

準備が終えた頃、ドアがノックされた。




もう来たか…。こういう時だけ早く来る。




そして、ドアを開けた。


ガチャ


「ハロー神影!…って誰?」


「も、もしかして」


「み、かげ…?」



「おう。俺様だ」



ドアを開けると、そこにいたのはやはり生徒会の奴らだった。


ふ、俺様の変装を見てそんなに驚いたか。



「うっそーん!」


「驚きですね」


「変わ、った」



人のことまじまじと見てそう感想を述べる。




「ま、美形は変わらないだろ?あー、面倒くせ」


あいつに接近するだけで殴りたくてしょうがねぇのに大丈夫か?まあ、俺様ならできるだろ。



「これだと神影だと気づかれませんね」


「そうだね~。じゃあ、俺らは瑞希を阻止しとくからその間よろしくー」


「よ、ろしく」



それだけ言って手を振りながら去っていった。ムカつく。阻止とか言ってポイント稼ぎでもするんだろ。


チッ。

何で、俺様がこんな面倒なことやらないといけないんだ。


「…さっさと、惚れさせるか」



そうひとこと呟き、部屋を後にした。


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