3 / 91
嫌われ者
2
しおりを挟む【ゆうside】
気持ちよく目が覚めると俺と一緒のベッドで寝ているあおいの姿があった。
……本当可愛い。もう自然と口元が緩んでしまう。ぱっちりクリクリした目。スベスベして透き通った白い肌。触れたら壊れそうなくらい小さくて華奢な身体。まさに美少年。俺だけが君の全てを知っている。
笑みを浮かべ、そんな優越感に浸ってあおいが起きるまで愛らしい寝顔を見ていた。
…全部、俺のものだよ。
それと今日は、とても危なかった。なぜなら、あおいがいつも使用しているはずの眼鏡を壊したと言ってそのまま学校に行くと言うのだ。もちろん、止めるに決まっている。
俺以外に男に、素顔を見せる必要なんてないでしょ?
全て、俺だけが知っていればいいこと。他の奴の目には、いっさい入れたくない。もし、このまま行かせてしまったら、狼の群れに放り込むのと同じ。すぐに食べられてしまう。
だから、こんなこともあろうかと俺は、前もってあおいのと同じ瓶底みたいな眼鏡をたくさん購入した。
あおいには『お母さんから』という口実を作って話をまとめた。そうでもしないと、きっとあおいのことだから遠慮してしまうだろう。
ちなみに俺は、あおいより一つ年上で2年。頭の良さと顔の良さは、自覚している。
だから、俺のクラスは、S。
Sクラスというのは、家柄、容姿、頭脳、運動、どれか一つでも完璧であれば入れるシステム。
俺は、もちろん全てにおいてクリアしている。家だって、あおいは、知らないと思うけど超がつく程の金持ち。
特待生もなれば、部屋を一人で使うことができる。当たり前に俺は、一人部屋。
訳あって、俺の部屋にあおいを泊めている。
……ねぇ、
俺があおいを他の男と二人きりにさせると思う?
そんなのどうしても許せないんだ。実は同室の奴を呼び出して、脅しちゃったんだ、俺。
まぁ、あおいは『嫌われてる、追い出された』と思っているが、実際は……ふふ。
しょうがないことだよね。
そして行く宛を失ったあおいは、迷わず俺に頼ってきた。もうそれがどうしようもなく嬉しくて嬉しくて。
こうなるってことは、分かりきっていた。もし、仮にあおいが誰かに頼っていたら、俺はその誰かを殺していたかもしれないね。
…冗談だよ。
だって、この学園であおいは、"俺だけ"なんだから。他の誰でもなく、この俺。
ちなみに、あおいの学園でのあの容姿のせいか皆に嫌われている。
そして、何もかも完璧な俺が隣にいたら周りはどう反応するだろうか。
そりゃあ、自然と敵対心持つよね。
そうしたら、誰もあおいに近寄らないし、逆に嫌われていく。…俺にとっては、とても好都合。あおいを独占できる。
この学園は、Sクラスの他にA、B、C、D、Zの5クラスある。
Aクラスは、Sクラス程ではないが完璧。
Bクラスは、ある程度まあまあできる。
Cクラスは、何もかも普通。
Dクラスは、まあまあスポーツしかできない奴だけ。
そして、残るは、…Zクラス。このクラスは、不良とか、頭の悪い者が入る。
残念ながら、あおいはZクラス…。瓶底眼鏡のせいもあり、ランクは下。あの眼鏡さえ無ければ確実にSだ。
それに運動音痴で、勉強も出来ない子なんだ…あおいは。昔から、身体も弱いから最初、Zクラスと聞いた時は、ものすごく危険だと思った。
けど、噂で聞く以上、皆に無視され、不良達にはパシられているようだ。
あおいに触れる者は、いないから安心したが、俺のあおいにパシった奴は、始末してあげてる。
だけど、その不良等は、しめてもまだあおいをコキ使うんだよね。本当、イライラする。
まぁ、でもしょうがないか…。だって、直接この俺がしめてるわけじゃないし。他の奴に、『アイツ等殺れ』と命令しているだけだから。
皆、もっとあおいを嫌うといいよ。…暴力は、許さないけど。
俺だけがあおいを好きでいればいい。
ただそれだけのこと。
そしていつも通り朝食を食べに食堂に行った。入った瞬間、チワワどもの黄色い叫び声に包まれ、うざかった。若干、あおいに対しての皮肉い言葉もあったけど。
そこで俺は、優しく気にしないようあおいに伝えた。あんな奴らのために考え込む必要ない。
空いている席に腰を下ろし、メニューを聞いた。
あおいからしてみれば、俺は、ただの優しいお兄ちゃん的存在なんだろうけど、実際は、下心丸出しの男にすぎない。
あおいに嫌われないように日頃から“完璧”を意識している。
ま、ちょっと朝、あおいが眼鏡を外して行くと聞いた時は、少し素が出たけど、なんとか誤魔化せた。
そんなことを思いつつも、テーブルの上に置かれているタッチパネル式のやつで注文した。
そしたら、すぐに注文したものが運ばれてきた。…あおいのだけね。
俺が注文したのは、A定食。先に注文したはずなのに毎回あおいが選ぶサラダがすぐ運ばれてくる。
ウェイターは、お待たせいたしましたと笑顔で言い、あおいの手前におく。そしたら、あおいは、軽く頭を下げてお礼を言った。
この時、ウェイターの頬が赤く染まっていたことに俺は気づいた。そして、嬉しそうに戻りやがった。
…絶対、アイツ、あおいに気があるな。
まぁ最初は、このウェイター『消そうかな?』と思ったけどあおいに手を出してないし接点などないからまだ俺は、行動に出ない。
…もしものことがあったら必ず消す。
本当俺以外の奴に触れられたら心底、嫌だ。不愉快極まりない。
「キャー!!生徒会よ」
「美しすぎます!!」
「抱いてくださーい!!」
とうとう奴らが来た。
生徒会。
コイツらは一言で言うと、うざい。
退屈だからって、俺のあおいをターゲットにして遊ぶんじゃねぇよ。俺は平然としているが、いつも殺意を剥き出している。
遊びって言っても大概は、いじめだ。俺の力があれば、生徒会なんか余裕で潰せる。
だが、なぜ俺がそうしないかって…?そんなの決まってる。
「おい、神影。あっちにあのダサい根暗くんがいるぜ?」
「はっ?庶民の分際で、のうのうと食事してやがる」
生徒会の奴らは、そう話しながら、俺たちのいるところまで近づいてきた。
つまり、生徒に好評価な生徒会に嫌われていれば、より、あおいの噂は広まって本当に“俺だけ”になる。
あおいの心…そして身体…全て俺が満たしてあげれる。
そう考えただけで自然と口角が上がってしまうのも無理はない。
ドンッ
ガタンッ
次の瞬間、生徒会長がテーブルを思いきり蹴った。その拍子に、上にのっていたあおいが注文したばかりのサラダが無惨にも床に落ちてしまった。
「おら、どけよ。根暗」
ニヤと怪しげな笑みを浮かべているのは天山 神影。2年の生徒会長。生徒会皆は、俺と同じクラス。でも滅多にクラスには来ないけど。
「ゆうもおかしいよ?こんな幼なじみと食事なんかし ちゃってさ」
会計が俺に向けてバカな発言をしやがった。
この俺がおかしいだと…?頭イカれてんじゃねぇの?
「あおいは、良い子だよ」
俺は、怒りを抑えつつ、会計の野郎にそう伝えて優等生キャラを演じる。
そして、下に落ちてしまったサラダの皿を拾った。
そしたら毎度のように俺の親衛隊どもが
『ゆう様はなんてお優しい!!』
『何もかも完璧な方です!!』
『素敵!』
などの声が聞こえてくる。
…あぁ、マジうぜぇ。
「…ゆう、ごめんね」
小さめの弱々しい声が聞こえたと思ったら慌ててあおいも俺と同じようにしゃがんだことがわかった。
あおいは、俺に本当に申し訳なさそうに、ごめんごめんと謝りながら俯き、綺麗な小さな手でサラダを拾いあげていた。
それを見た生徒会は、
「うわっ、汚ねっ」
「下品」
「マジ視界から消えろよ」
口を開ける度にあおいに対してのひどい言葉を平気で言い放った。
121
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
モブらしいので目立たないよう逃げ続けます
餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。
まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。
モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。
「アルウィン、君が好きだ」
「え、お断りします」
「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」
目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。
ざまぁ要素あるかも………しれませんね
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻本作品(オリジナル)の結末をif(運命の番)ルートに入れ替えて、他サイトでの投稿を始めました。タイトルは「一度目の結婚で愛も希望も失くした僕が、移住先で運命と出逢い、二度目の結婚で愛されるまで」に変えてます。
オリジナルの本編結末は完全なハッピーエンドとはいえないかもしれませんが、「一度目の〜…」は琳が幸せな結婚をするハッピーエンド一択です。
メインキャラ達の様子がおかしい件について
白鳩 唯斗
BL
前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。
サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。
どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。
ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。
世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。
どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!
主人公が老若男女問わず好かれる話です。
登場キャラは全員闇を抱えています。
精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。
BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。
恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー
AI比較企画作品
【本編完結】攻略対象その3の騎士団団長令息はヒロインが思うほど脳筋じゃない!
哀川ナオ
BL
第二王子のご学友として学園での護衛を任されてしまった騎士団団長令息侯爵家次男アルバート・ミケルセンは苦労が多い。
突撃してくるピンク頭の女子生徒。
来るもの拒まずで全ての女性を博愛する軽薄王子。
二人の世界に入り込んで授業をサボりまくる双子。
何を考えているのか分からないけれど暗躍してるっぽい王弟。
俺を癒してくれるのはロベルタだけだ!
……えっと、癒してくれるんだよな?
【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる
路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか?
いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ?
2025年10月に全面改稿を行ないました。
2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。
2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。
2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。
2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる