嫌われ者の僕

みるきぃ

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嫌われ者

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【あおいside】


食堂でご飯を食べていた他の生徒たちは、皆、僕たちに注目している。…視線が怖い。


それに耐えながらも、目の前で無惨にもぐちゃぐちゃになったサラダを拾い上げる。その度に、生徒会は僕に対して酷い言葉を投げつけてくる。

そして、隣にいたゆうは優しいから落ちたお皿を拾ってくれた。


本当に僕って迷惑をかける人間だ…。だから、謝ることしかできなかった。





「ここは、私が片付けます」


その瞬間だった。僕がサラダを拾い上げている横にスッと現れたのは、



「え…?」


さっきのウェイターさんだった。




「あ、あの…」


僕は、ウェイターさんに戸惑いながらも声をかけた。




「大丈夫ですよ。私の仕事なので」


優しく安心させるような笑顔だった。




「で、でも…」



ウェイターさんは、何も関係ないのに…。いくら仕事でも僕なんかに巻き込まれていたらウェイターさんにまで迷惑をかけてしまう。


すると、生徒会長はそれを見て嘲笑った。



「おいおい。そこのお兄さん。…何邪魔してくれてんの?」


ウェイターさんの肩に手をおいて鋭い目付きで睨んでいた。



「私は、ただ理事長に頼まれているだけですから」



「チッ。…皆行くぞ」


会長は、舌打ちをし、生徒会の皆を引き連れて生徒会専用の所へ行った。理事長とは、この学園で一番偉い人であり…実は会長の父親だったりもする。


ウェイターさんは、生徒会の皆が立ち去ったあとも床に落ちた食べ物を拾って片付けていた。




「や、やっぱり、僕が…っ「あおい」


僕も一緒に拾おうとすると、途中腕を掴まれ、ゆうに遮られた。



「ゆう…?」


「このウェイターさんもそう言ってることだし、俺たちはもうここを出た方がいいかもしれない」


いつもは優しいゆうが目は怖いくらい笑っていなかった。周りを見ると、たくさんの視線が注がれていた。



「ほ、本当にごめんなさい。た、助かりました…ありがとうございます」



「いえ。お気になさらずに」


ウェイターさんにペコリと頭を下げてゆうと一緒に食堂を後にした。




――――
―――――
――――――

……。



それからゆうとわかれて僕は、自分のクラスへと行く。


サラダ…もったいなかったな…。しょんぼりしながらさっきのことを思い出す。




ゆうとは、学年もランクも全然に違う。離れるのは少し寂しい。でも頼ってばっかで甘えているわけにはいられない。


また、さっき食堂で助けてくれたウェイターさんにも感謝しなきゃ。


そんなことを思っているともう自分のクラスに着いていた。ゴクンと息を呑んでしまう。


気合いを入れるために頬っぺたを両手でパチンッと叩いた。



「よし…」


僕のクラスは、Zクラス。落ちこぼれクラスとも言われている。震える手を押さえつつも決心して、ドアを開けた。

入ったら、すぐに自分の席に座った。




「よぉ…佐藤」


「いつも散々だな」


「相変わらず、キモいんだよ」




僕に気づいた不良さんたちが毎日のように席の周りを囲む。


…こ、怖い。

手がさっきよりも震えてしまう。




「あれれ、どうしたの?怖くなっちゃった?」


「なんか喋れよ、オタク」





「うっ…」


すると、腹部を殴られる。が、我慢…我慢…。これぐらいで泣いちゃダメ…。唇をぎゅっと噛んだ。


  あまりにも殴られた箇所が痛くて、椅子から床へとうずくまった。



「もしかして、きいちゃった感じ?」



「俺らもイライラしてんだよね。知らないやつに理由もなしに殴られるし」



「まっ、その腹いせ?これからも俺らの相手よろしく」



キャハハと笑い声を上げる。この不良さんたちの名前は知らないけど、僕と同じく酷い目にあったそうだ。

でもこんな…っ。



「…っ」


ゆっくりと立ち上がるが、まだ痛む。



「本当、お前って弱いし、もろいよなー」




不良の一人は、助けるふりをしてわざとらしくその大きな手で僕の背中をバシンと叩く。あまりの強さにたたらを踏む僕の肩を捕まえて、更に笑いながら僕を揺すぶった。



「おい、聞いてんのかー?」


ひどく頭を振り回されて、僕は、無様によろめいた。軽くやっているように見せかけて乱暴な扱い。きっと周りには僕が大袈裟にふらついているように見えるのだろう。


ダッサーとかの笑い声だって聞こえてくる。




「根暗くん、ちゃんと鏡見たことある?」



「あー、あと幼なじみか知んないけど、天と地の差ありすぎっしょ」


ゆうと僕のことを言っているみたいだ。


…た、確かにそうだ…。


不良さんたちが言ってることは、合っている。けど、そんなことわかっているからこそ直接言われると、胸が痛くなって辛くなるんだ…。


ぎゅっと、胸元を握りしめる。僕って本当…なんの取り柄もない人間…。




その瞬間だった。


バッシャーン!


 上から被るように水をかけられた。僕は、一瞬何が起きたの?と、突然のことで思考回路がストップする。

そしてすぐに髪の毛をつたってぽたぽたと水が落ちてきた。



え…。


「ハハッ手が滑っちったわ」



何ともわざとらしい演技をしている不良さん。その手に持っているバケツはぶっかける気満々の証拠だった。


周りは、ケラケラと面白そうに笑って僕を見ている。






「あ~ぁ、俺たちお腹空いたから購買で何か買ってきて」



急に肩を掴まれ、ビクッとなる。



「返事は…?」


「は、はい…」



僕は、ゆっくり立ち上がり、さっき入ってきたばかりのドアを開けて教室を出た。




やり過ぎだってーとかおもしれーとか聞こえたけど別にそんなの気にしない…。


「…っ」


やばい…泣いちゃダメだろ、僕。だから弱虫って言われるんだ。



唇を噛み締め、涙を堪えた。



別に僕がクラスから出て行っても誰も気にしない。だって、Zクラスは、先生が来ても皆ほぼ自由にしている。滅多に真面目に授業なんてしないのだから。


これが当たり前みたいなもん…。前にだって、こんなことが合ったけど水をかけられたのは今日が初めて…。


…おかげでびしょ濡れだ。そこでハッと気がつく。…制服、濡れてる。でもすぐに、当たり前か…と思った。


髪ならまだしも、制服が濡れるなんて、変な感じで気持ち悪い…。
 

災難だと思いながら購買に向かっている途中に近くにトイレがあったのでそのまま、そこに駆け込んだ。



―――――
―――――――
―――――――――



……。




鏡に映っている自分の姿を見る。


「…不細工」



ため息を吐きながら相変わらず、残念な容姿だと思い知らされる。とりあえず、かけている瓶底眼鏡を外して縁についている水滴を拭いた。


もう、今日はここで立て籠ろうかな…。なんて、バカなことを考えていた時だった。



「―――おい。そこで何をしている?」



視界がボヤけている中から聞こえたのは誰かの凛々しい声だった。




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