魔王の娘としては大変不本意ではございますが、勇者と結婚することになりました。

春音優月

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4、私のしもべにする

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 お城の一室を自室として与えられたミアは、高級感溢れる部屋の天蓋ベッドの上で腕を組んでいた。
 
「リリス、私はあの男をしもべにする」
「あの男とおっしゃると……」
 
 突然そんなことを言い出したミアに、そばに浮かんでいたリリスが首を傾げる。
 
「アデルのことに決まっておろう」
 
 ミアが勢い良く立ち上がると、彼女が着ている赤いネグリジェの裾がヒラリとひるがえった。
 
「アデルさまを!? ですが、アデルさまはミアさまの旦那様となられる方でございましょう?」
「ああ、忌々しいことにな」
 
 リリスが驚いたようにそう言うと、ミアは苛立ったように舌打ちした。
 
「だが、それはお父さまが勝手に決めたことだ。私は納得はしておらぬ」
「何がご不満なのですか? アデルさまは素敵な方でしたのに」
「何が? 全てが不満に決まっておる。
なぜ私よりも弱い男の妻にならなければならないのか」
「アデルさまは勇者さまの子孫でございますよね? ミアさまよりも弱いとはまだ決まったわけではないのでは」
「私が人間よりも弱いと?」
 
 ミアがすごい形相でリリスをにらみ、だんっと足を踏み鳴らすと、とたんにリリスは身を縮こまらせる。
 
「い、いいえっ。いいえ、そんな滅相もございません。ミアさまがお強いことは、お生まれになった時からお支えしているこのリリスめが承知でございます」
「そうであろう。よって、私との力の差を見せつけ、アデルをしもべとして従わせる。
アデルも私の方が強いと思いしれば、私を妻とする気は無くすだろう。表向きは夫婦でも、その実は主人としもべとなるわけだ」
 
 満足そうに頷いてるミアを見たリリスは、また面倒なことになったと内心思っていた。しかしそれを口に出してしまえば、さらに面倒なことになることは分かりきっている。
 
「名案でございますね、ミアさま」
「ああ、早くあの優男が私にひざまづく姿が見たいものだ」
 
 ご満悦といった表情を浮かべるミアにリリスは引きつり笑いを浮かべていた。癇癪を起こされるのも厄介なので、精一杯ミアを褒め称えることに専念しているようだ。
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