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第251話 大人の分別、どこ吹く風
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「だからクリスマスプレゼントの交換は、これで終了だ」
ユキが満足げに言う。
「はあ」
本当にそれだけでいいのだろうか。佐野は気まずそうに頭をかく。
「で――次はクリスマスパーティーだ。盛大にやろうぜ。後片付けが、できなくなるくらいにな」
怪しい目つきでユキが言う。
「……それは、どこで」
得体の知れない不気味な予感に、佐野はびくつく。
「古山建設」
「ひいいッ!」
佐野は目をむく。
「もちろん、パーティーとは、その言葉通りの意味ではないぞ」
ユキは、ふふんと笑う。
「そりゃあ、そうでしょうけれど……」
だからこそ、恐ろしいのだ。
「なので、これからキャラメル・フェアリーで、あの会社を盛大に引っかき回す作戦をたてようではないか」
まずい。完全に根性曲がりモードになっている。佐野は大いにたじろぐ。
「いや、その……田上課長。それは僕が労働基準監督署へ相談するだけで済みますので」
今でさえ状況がこじれまくっているというのに、さらに社外の者が入り込んだら解決するものも解決しなくなる。
「ですから、あとのことは労使間の問題のプロであるあちらに任せて、僕達は古山建設とは距離を置きましょう。静観しましょう」
「静観? いいや! それでは俺の腹の虫がおさまらないッ」
大人の分別、どこ吹く風である。
「俺は星崎の野郎に恨みがあるんだ。ケイをぶん殴ったり、クソガキレベルの嫌がらせを延々としたりというのも当然あるが――俺の現場事務所の倉庫にスプレーでいたずら書きしたのが、絶対に許せねえんだ! もちろんレイナもだ。大切な図面をシュレッダーにかけやがって!」
「そ、そうですか……」
もうすぐ春だというのに、自分の周りだけが猛吹雪の予感。
ユキのすさまじい剣幕に圧倒され、佐野は寒くもないのに身震いする。
ユキが満足げに言う。
「はあ」
本当にそれだけでいいのだろうか。佐野は気まずそうに頭をかく。
「で――次はクリスマスパーティーだ。盛大にやろうぜ。後片付けが、できなくなるくらいにな」
怪しい目つきでユキが言う。
「……それは、どこで」
得体の知れない不気味な予感に、佐野はびくつく。
「古山建設」
「ひいいッ!」
佐野は目をむく。
「もちろん、パーティーとは、その言葉通りの意味ではないぞ」
ユキは、ふふんと笑う。
「そりゃあ、そうでしょうけれど……」
だからこそ、恐ろしいのだ。
「なので、これからキャラメル・フェアリーで、あの会社を盛大に引っかき回す作戦をたてようではないか」
まずい。完全に根性曲がりモードになっている。佐野は大いにたじろぐ。
「いや、その……田上課長。それは僕が労働基準監督署へ相談するだけで済みますので」
今でさえ状況がこじれまくっているというのに、さらに社外の者が入り込んだら解決するものも解決しなくなる。
「ですから、あとのことは労使間の問題のプロであるあちらに任せて、僕達は古山建設とは距離を置きましょう。静観しましょう」
「静観? いいや! それでは俺の腹の虫がおさまらないッ」
大人の分別、どこ吹く風である。
「俺は星崎の野郎に恨みがあるんだ。ケイをぶん殴ったり、クソガキレベルの嫌がらせを延々としたりというのも当然あるが――俺の現場事務所の倉庫にスプレーでいたずら書きしたのが、絶対に許せねえんだ! もちろんレイナもだ。大切な図面をシュレッダーにかけやがって!」
「そ、そうですか……」
もうすぐ春だというのに、自分の周りだけが猛吹雪の予感。
ユキのすさまじい剣幕に圧倒され、佐野は寒くもないのに身震いする。
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