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第211話 モヤモヤしつつも、ラブラブモード
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「で、ここからが本題だ」
ユキが佐野の困惑と渋面を楽しげに眺めながら言う。
「本題?」
佐野は大いに警戒する。そしてほんの少しばかりユキへ腹を立てる。
土台だの本題だのと、次から次へと訳の分からぬことを言う。しかも楽しそうに、と。 こんな大切な場面で、『根性曲がり』を発揮されても困る。自分にとっては、この話は人生の分岐点となるのだから。
そもそも、あの金ラメの地にピンクのハート模様の包装紙からしてふざけている。それに、ほとんど象形文字のようなメッセージが書かれたクッキーにしてもそうだ。
雇用関係を締結する重大な連絡は、正式な書面で伝えるのが常識ではないか――
そう佐野は悶々としつつ、でも、そういうところも好きなんだよなと思いながら、ユキの次に来る言葉を辛抱強く待つ。愛の力は寛容かつ偉大なのだ。
「この土台ができあがった直後に、レイナの図面粉砕事件が起こった」
そんなモヤモヤとラブラブが混在した佐野へ、ユキが言う。
「ええ。そうでした。そのせいで鈴木が解雇されて」
「うん。だからこの件と、それに伴う経緯については即座に社内で共有した。当然、大問題となった」
「でしょうね」
「なので、うちの会社はあの事件の翌日に、古山建設との契約の打ち切り、そして、下請リストからの永久削除を決定したんだ」
「ええーっ!」
ではなぜ、自分は継続できたんだ?
佐野は驚きと疑問で目を丸くする。
ユキが佐野の困惑と渋面を楽しげに眺めながら言う。
「本題?」
佐野は大いに警戒する。そしてほんの少しばかりユキへ腹を立てる。
土台だの本題だのと、次から次へと訳の分からぬことを言う。しかも楽しそうに、と。 こんな大切な場面で、『根性曲がり』を発揮されても困る。自分にとっては、この話は人生の分岐点となるのだから。
そもそも、あの金ラメの地にピンクのハート模様の包装紙からしてふざけている。それに、ほとんど象形文字のようなメッセージが書かれたクッキーにしてもそうだ。
雇用関係を締結する重大な連絡は、正式な書面で伝えるのが常識ではないか――
そう佐野は悶々としつつ、でも、そういうところも好きなんだよなと思いながら、ユキの次に来る言葉を辛抱強く待つ。愛の力は寛容かつ偉大なのだ。
「この土台ができあがった直後に、レイナの図面粉砕事件が起こった」
そんなモヤモヤとラブラブが混在した佐野へ、ユキが言う。
「ええ。そうでした。そのせいで鈴木が解雇されて」
「うん。だからこの件と、それに伴う経緯については即座に社内で共有した。当然、大問題となった」
「でしょうね」
「なので、うちの会社はあの事件の翌日に、古山建設との契約の打ち切り、そして、下請リストからの永久削除を決定したんだ」
「ええーっ!」
ではなぜ、自分は継続できたんだ?
佐野は驚きと疑問で目を丸くする。
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