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第143話 密かな憤り
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ユキは自分の車へ可燃と不燃のゴミ袋を取りに行った。その間、佐野は雪上に並べられたAからのプレゼントを眺める。もうホコリやカビは飛散しないものの、今度は本格的に降り始めた雪がそれらを白くしていた。
佐野は考える。これらの品々をAはユキを愛しているから贈ったのか。あるいは他人から「リッチで絵になる素晴らしい恋人同士」として見られたいから贈ったのか――と。
でも答えはすぐに出た。後者だ。ユキはAの装飾品にされたのだ。あの男はユキの恋心を自分のためだけに利用したのだ。そして今もきっと誰かが同じめに遭っているのであろう。
「これで足りるかな」
ユキが四十リットルサイズの袋を数枚手にして戻って来た。もちろん佐野の密かな憤りは知る由もない。
「多分、ぎゅうぎゅうに詰めれば大丈夫かと思います」
佐野もまた、そんな怒りの感情をみじんも見せない。
「だよな。じゃあ、まずは分別しよう」
「はい」
佐野は考える。これらの品々をAはユキを愛しているから贈ったのか。あるいは他人から「リッチで絵になる素晴らしい恋人同士」として見られたいから贈ったのか――と。
でも答えはすぐに出た。後者だ。ユキはAの装飾品にされたのだ。あの男はユキの恋心を自分のためだけに利用したのだ。そして今もきっと誰かが同じめに遭っているのであろう。
「これで足りるかな」
ユキが四十リットルサイズの袋を数枚手にして戻って来た。もちろん佐野の密かな憤りは知る由もない。
「多分、ぎゅうぎゅうに詰めれば大丈夫かと思います」
佐野もまた、そんな怒りの感情をみじんも見せない。
「だよな。じゃあ、まずは分別しよう」
「はい」
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