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第138話 かけがえのない青春の一ページ
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「よし、行くぞ! ケイ、息を止めてろよ!」
意を決したユキが袋をむんずと掴む。そして中身全てを新聞紙の上へ一気にぶちまけた。
途端、いかにも体に悪そうなホコリとカビの白煙が盛大に舞う。それから風に吹かれて消え去った。
「……うわあ」
ユキがマスク越しに顔をしかめる。いくら風にさらしたとはいえ、衣類やバッグ類にはびっしりとカビが生えている。
「たとえ軍手でも触る気がしない。ケイもまだ触るなよ」
ユキは小走りで倉庫の横へ行く。そこには除雪用のスコップが数本、壁に立てかけてある。二つ手に取り、戻ってくる。
「これでほじくるべし」
一つを佐野へ渡す。
「まずはバラバラにしよう。それから可燃と不燃に分けよう。雪の上に広げてかまわんぞ。どうせ捨てるんだから」
「はい」
そうは言ってもこれらはユキの分身だ。かけがえのない青春の一ページだ。なので決して雑には扱えない――と、佐野は思った。
意を決したユキが袋をむんずと掴む。そして中身全てを新聞紙の上へ一気にぶちまけた。
途端、いかにも体に悪そうなホコリとカビの白煙が盛大に舞う。それから風に吹かれて消え去った。
「……うわあ」
ユキがマスク越しに顔をしかめる。いくら風にさらしたとはいえ、衣類やバッグ類にはびっしりとカビが生えている。
「たとえ軍手でも触る気がしない。ケイもまだ触るなよ」
ユキは小走りで倉庫の横へ行く。そこには除雪用のスコップが数本、壁に立てかけてある。二つ手に取り、戻ってくる。
「これでほじくるべし」
一つを佐野へ渡す。
「まずはバラバラにしよう。それから可燃と不燃に分けよう。雪の上に広げてかまわんぞ。どうせ捨てるんだから」
「はい」
そうは言ってもこれらはユキの分身だ。かけがえのない青春の一ページだ。なので決して雑には扱えない――と、佐野は思った。
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