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第4章 入学試験編
第4章ー㊶
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不思議なことに、怒りを通り越して妙に冷静になっている自分がいる。まるで自分が自分じゃないぐらいいつも以上に考えを巡らせていた。考えろ、この危機的状況を打破する策を。そして、奴等にギャフンと言わせてやる方法を。
「…ふっ、そういうことか」
策を考えるなか、ふと一つの疑問への答えに気が付いてしまい、思わず吹き出笑いしそうになっていた。そうか、そんな単純な理由だったか。
『報告。只今、一人の脱出を確認。残りは八名となりました。受験者の皆様、引き続き試験頑張ってください』
奴等とグダグダやってるうちに、次々と合格者が出て来ていた。ここまで来たらどこか一つは頂いてやる。きっと後で二人が揉めることになるだろうが。
「…すー…」
その前に、一度大きく息を吸う。まずは一言ぶちかましてやろう。
「おまえら、ひょっとして、学園の試験落ちたんだろー?!」
「『ッ?!』」
大きく息を吸った後、大声で奴等の秘密を暴露する。奴等が魔法学園の試験を受験している理由、それはソワレル学園の試験に落ちたからだ。
貴族学校であるソワレル学園。初等部から高等部まで一貫校ではあるものの、試験やら適性検査やらはある筈だ。それに奴等は届かず落ちた。ここからはただの憶測だが、ソワレル学園がこの国唯一の学園だ。貴族である以上学園に通えないというのは名誉に関わる事なのだろう。だから奴等は魔法学園の試験を受けることになったといったところだろうか。ひょっとしたら貴族なら魔法学園から学園に編入出来るチャンスがあるのかもしれない。今のは全部憶測でしかないから確証はないが。まあ、仮にこの試験を受かったとしても、あの性格だから編入出来るかはかなり怪しいと思うけどな。
『き、きさま~、何故それを…』
「ロンド!? 貴様こそ何を言っている?! それでは自分達で認めたようなものではないか!?」
『し、しまったー!?』
「…」
どうやら自分の言った事は事実らしく、お互い墓穴を掘るような会話を繰り広げていた。今さら思ったのだがこいつら、想像以上に馬鹿だったようだ。見え見えの嘘といい墓穴を掘るような発言といい、多分こいつらは家の名誉と魔装の力で好き放題やってきたのだろう。そりゃあ試験に受かる訳ないよな。
「くっっっそーーー! ゴミの分際で二度も私達に恥をかかせようとするなど、こいつは万死に値する!」
『そ、そうだそうだ! パット、あんなゴミなんて塵のように粉々にしてしまえー!』
二人の怒りは頂点に達し、パットの足音と荒くなった鼻息がどんどん大きく聞こえてくるような気がした。もう交渉の余地はないだろうな。最初《はな》からないと思うけど。
「…ふーっ」
徐々に近づく音に緊張しながらも、一息吐いた自分は左手を構える。これが恐らく最後のチャンス。奴に撃たれる前に必ず決めよう、『あの魔法』を。
「…ふっ、そういうことか」
策を考えるなか、ふと一つの疑問への答えに気が付いてしまい、思わず吹き出笑いしそうになっていた。そうか、そんな単純な理由だったか。
『報告。只今、一人の脱出を確認。残りは八名となりました。受験者の皆様、引き続き試験頑張ってください』
奴等とグダグダやってるうちに、次々と合格者が出て来ていた。ここまで来たらどこか一つは頂いてやる。きっと後で二人が揉めることになるだろうが。
「…すー…」
その前に、一度大きく息を吸う。まずは一言ぶちかましてやろう。
「おまえら、ひょっとして、学園の試験落ちたんだろー?!」
「『ッ?!』」
大きく息を吸った後、大声で奴等の秘密を暴露する。奴等が魔法学園の試験を受験している理由、それはソワレル学園の試験に落ちたからだ。
貴族学校であるソワレル学園。初等部から高等部まで一貫校ではあるものの、試験やら適性検査やらはある筈だ。それに奴等は届かず落ちた。ここからはただの憶測だが、ソワレル学園がこの国唯一の学園だ。貴族である以上学園に通えないというのは名誉に関わる事なのだろう。だから奴等は魔法学園の試験を受けることになったといったところだろうか。ひょっとしたら貴族なら魔法学園から学園に編入出来るチャンスがあるのかもしれない。今のは全部憶測でしかないから確証はないが。まあ、仮にこの試験を受かったとしても、あの性格だから編入出来るかはかなり怪しいと思うけどな。
『き、きさま~、何故それを…』
「ロンド!? 貴様こそ何を言っている?! それでは自分達で認めたようなものではないか!?」
『し、しまったー!?』
「…」
どうやら自分の言った事は事実らしく、お互い墓穴を掘るような会話を繰り広げていた。今さら思ったのだがこいつら、想像以上に馬鹿だったようだ。見え見えの嘘といい墓穴を掘るような発言といい、多分こいつらは家の名誉と魔装の力で好き放題やってきたのだろう。そりゃあ試験に受かる訳ないよな。
「くっっっそーーー! ゴミの分際で二度も私達に恥をかかせようとするなど、こいつは万死に値する!」
『そ、そうだそうだ! パット、あんなゴミなんて塵のように粉々にしてしまえー!』
二人の怒りは頂点に達し、パットの足音と荒くなった鼻息がどんどん大きく聞こえてくるような気がした。もう交渉の余地はないだろうな。最初《はな》からないと思うけど。
「…ふーっ」
徐々に近づく音に緊張しながらも、一息吐いた自分は左手を構える。これが恐らく最後のチャンス。奴に撃たれる前に必ず決めよう、『あの魔法』を。
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