転生勇者が死ぬまで10000日

慶名 安

文字の大きさ
128 / 500
第4章 入学試験編

第4章ー㊷

しおりを挟む
 『報告。只今、一人の脱出を確認。残りは七名となりました。受験者の皆様、引き続き試験頑張ってください』

 「はあ…はあ…、覚悟しろよ、ゴミがっ!」

 「…」

 合格者がまた一人出ている中、パットの鼻息を荒くした声がすぐそこまで迫って来ている。落ち着け、タイミングを見誤れば失敗する可能性が高い。奴の姿を捉えた瞬間が反撃の合図だ。

 「はあ…はあ…」

 「…瞬く光耀よ」

 そう思っていた矢先、微かに奴の機関銃の銃口が入り口からチラリと見えたのを確認。すぐに詠唱を唱え始める。

 「はあ…はあ…、はっはっは、時間切れだ。今さら土下座をしようが泣き叫ぼうが貴様の死は変わらん!」

 「我らを照らす道しるべとなりて!」

 詠唱を唱え始めると同時に奴の姿ははっきりと見えていた。汗だくになりながら機関銃をこちらに向けているが、その時には既に詠唱を終え目をギュッと閉じていた。この一直線上なら外すことはあるまい。

 「死ぃねーーーーー!!!」

 「【ゆらめく炎の光球フレア・ライト】!!」

 奴が銃を撃つより早く、自分は光魔法を放った。エイシャあいつとの戦闘の時程の威力ではなく、八割ぐらいまで抑えたものの、五十メートルもある暗い穴を全て照らしてしまう規模の光線が放たれる。

 「ぐわっ?! ま、眩しい!?」

 パットは光球をモロに食らい、目を瞑りながらふらふらとしており、銃を撃つどころではなくなっていた。暗闇を見た後にあれだけの光を見てしまったのだ。一層眩しく感じたことだろう。眩しすぎて涙が出てロクに前も見れない状態になっているだろうな。

 「よし、今だっ!」

 奴がふらついている間に自分は穴から出ようと猛ダッシュ。自分もまだ光球の影響で目を開けれない状況ではあるが、魔力感知で奴の居場所は把握している。そこに向かえば抜けられるのは間違いあるまい。

 「どけーーー!!」

 「ぐはっ?!」

 穴から抜ける直前にタックルの体勢を取り、奴目掛けて走って行くと綺麗に奴の腹に自分の肘が突き刺さる。そのまま体当たりする形となり、目を開けるとパットは機関銃を手放し後ろに吹っ飛んだ。

 『パットーーーーー!?』

 パットの吹き飛ぶ姿を見てロンドの絶叫が洞窟内に木霊する。奴の動揺が姿を見ずとも声だけで理解できた。

 「はあ…はあ…、ふぅ」

 一方、自分は奴を吹き飛ばした後、乱れた呼吸を整えていた。正直ちょっとヒヤヒヤはしたが、一番厄介な相手を無力化出来たのは最高の結果だ。

 『き、きさまぁ~~~!?』

 一息吐いているなか、遠くからこちらを睨んでいるロンド。悔しそうに涙混じりに唇を噛んでいた。

 「…あとはお前だけか」

 『ヒッ?!』

 だが、自分にはどうでもいいこと。お前らをぶっ飛ばしてこの試験、必ず突破してやる!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?

スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。 女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!? ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか! これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...