転生勇者が死ぬまで10000日

慶名 安

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第4章 入学試験編

第4章ー㊷

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 『報告。只今、一人の脱出を確認。残りは七名となりました。受験者の皆様、引き続き試験頑張ってください』

 「はあ…はあ…、覚悟しろよ、ゴミがっ!」

 「…」

 合格者がまた一人出ている中、パットの鼻息を荒くした声がすぐそこまで迫って来ている。落ち着け、タイミングを見誤れば失敗する可能性が高い。奴の姿を捉えた瞬間が反撃の合図だ。

 「はあ…はあ…」

 「…瞬く光耀よ」

 そう思っていた矢先、微かに奴の機関銃の銃口が入り口からチラリと見えたのを確認。すぐに詠唱を唱え始める。

 「はあ…はあ…、はっはっは、時間切れだ。今さら土下座をしようが泣き叫ぼうが貴様の死は変わらん!」

 「我らを照らす道しるべとなりて!」

 詠唱を唱え始めると同時に奴の姿ははっきりと見えていた。汗だくになりながら機関銃をこちらに向けているが、その時には既に詠唱を終え目をギュッと閉じていた。この一直線上なら外すことはあるまい。

 「死ぃねーーーーー!!!」

 「【ゆらめく炎の光球フレア・ライト】!!」

 奴が銃を撃つより早く、自分は光魔法を放った。エイシャあいつとの戦闘の時程の威力ではなく、八割ぐらいまで抑えたものの、五十メートルもある暗い穴を全て照らしてしまう規模の光線が放たれる。

 「ぐわっ?! ま、眩しい!?」

 パットは光球をモロに食らい、目を瞑りながらふらふらとしており、銃を撃つどころではなくなっていた。暗闇を見た後にあれだけの光を見てしまったのだ。一層眩しく感じたことだろう。眩しすぎて涙が出てロクに前も見れない状態になっているだろうな。

 「よし、今だっ!」

 奴がふらついている間に自分は穴から出ようと猛ダッシュ。自分もまだ光球の影響で目を開けれない状況ではあるが、魔力感知で奴の居場所は把握している。そこに向かえば抜けられるのは間違いあるまい。

 「どけーーー!!」

 「ぐはっ?!」

 穴から抜ける直前にタックルの体勢を取り、奴目掛けて走って行くと綺麗に奴の腹に自分の肘が突き刺さる。そのまま体当たりする形となり、目を開けるとパットは機関銃を手放し後ろに吹っ飛んだ。

 『パットーーーーー!?』

 パットの吹き飛ぶ姿を見てロンドの絶叫が洞窟内に木霊する。奴の動揺が姿を見ずとも声だけで理解できた。

 「はあ…はあ…、ふぅ」

 一方、自分は奴を吹き飛ばした後、乱れた呼吸を整えていた。正直ちょっとヒヤヒヤはしたが、一番厄介な相手を無力化出来たのは最高の結果だ。

 『き、きさまぁ~~~!?』

 一息吐いているなか、遠くからこちらを睨んでいるロンド。悔しそうに涙混じりに唇を噛んでいた。

 「…あとはお前だけか」

 『ヒッ?!』

 だが、自分にはどうでもいいこと。お前らをぶっ飛ばしてこの試験、必ず突破してやる!
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