126 / 502
第4章 入学試験編
第4章ー㊵
しおりを挟む
「はあ…はあ…、よしっ!」
火球により開通した新たな道に逃げ込む。
『はっ、そんなことよりパット、あいつ逃げるつもりだぞ!?』
「ッ?! しまった、私とした事が!?」
二人して唖然としているおかげですんなり入ることが出来た。向こうも慌てて追いかけようとしているが、太った方、パットと呼ばれている奴は機関銃を持ちながらこっちに向かってくるものの、流石に走っては来れなさそうだ。そりゃああんだけデカい機関銃を持ち歩いてるんだ。相当重いだろうし持ち運びには不便だろう。一体どうやって会場に運んできたのか気になる所だが、今はそれどころではない。
逃げ道と言いつつ、実際は四、五十メートルの穴を開けたに過ぎないただの袋小路だ。奴がここまで来てしまったら今度こそ蜂の巣にされるだろう。
『くそ、無駄な抵抗しやがって! 奴は俺が追いかける!!』
「待て! その中には入るな!!」
『ふえっ?!』
ロンドは自分を追跡しようとドローンを送り込もうとするが、それをパットに制止された。案外理解が早いようだな。
自分が居る場所は暗くて細い一本道。奴等が今居る場所と違い、動きが制限される。そんな中追いかけてこようものなら当然自分は撃ち落とすに決まってる。動きづらいこの道の中じゃあほぼ間違いなく撃墜出来る。つまり、不用意な追跡はこっちにとって好都合なのだ。
「ちっ、とことん小賢しい真似しやがるな、ゴミの分際で」
それにパットは気づき、舌打ちする声が聞こえた。悪いが自分の命に関わる事だ。小賢しかろうがなんだろうが最後まで醜く抗わさせてもらうぜ。
「…とはいえ、こっからどうするかだな」
しかし、状況は結局何も変わらない。あくまで時間稼ぎする為の策を強引に実行しただけだ。寧ろ自分から悪い方向に向かって行ったといっても過言ではない。
「はあ…はあ…、はっはっは、どうせ無駄な抵抗だ。お前はもう詰んでるんだ。少しばかり魔力が高いからってこの状況は打破できまい。だったら、大人しく出て来た方が身のためじゃないのか?」
『ぶへへっ。そうだそうだ! 大人しく出てくるなら命までは取らないぞー! だからとっとと出てこいよ!!』
「…」
奥の方へ向かっていると、外で二人がなにやらごちゃごちゃ言い始めている。ロンドの交渉に至っては十中八九嘘に決まっている。いくらなんでもその手に引っかかる程馬鹿ではないぞ。
「おい、出てこいゴミィ! 出てこないというなら容赦しないぞ!」
パットの方も威圧的に交渉してくるが、奴の言う事も嘘に決まっている。というか、容赦もなにもあんなので撃たれれば確実に無事ではすむまい。こういうのは無視だ無視。とにかく今は対策を練らなければ。
「…はっ、そうか。貴様がその態度というなら、今度は女の方がただでは済まなくなるぞ?」
「…」
そんななか、今度は彼女、ミオを交渉材料に出してくる。ここに居ない彼女を一体どうするつもりなんだ。
「貴様を殺して試験が終わった後、あの女を今度こそ連行して、私を怒らせた事を後悔させてやる!」
『ぶへへっ。そりゃあいいなー。どうやって後悔させてやろうか?』
「そりゃあ当然、裸にひん剥いてあんなことやこんなことを…」
『ぶへへへへっ! それは面白そうだな。想像するだけで興奮してきた!』
「…」
なるほど。エロガキが考えそうな事だ。そんなことしたら確実に捕まって監獄行きだ。貴族の名に更に泥を塗る気かよ。少しは考えて物言いやがれってんだ。
「はっはっはっはっは!」
『ぶへへへへへっ!』
こいつらのアホさ加減には付き合いきれん。それより、ここからの打開策を…
「はっはっはっはっは…」
「ぶへへへへへ…』
考えようとしているが、奴等の笑い声が耳障りで集中出来ない。
「はっはっはっはっ…」
『ぶへへへへ…』
五月蠅い。
「はっはっはっ…」
『ぶへへへ…』
五月蠅い。ああ、うるさい。
「はっはっ…」
『ぶへへ…』
うるせーんだよ。
「はっ…」
『ぶへ…』
「…クソ野郎がっ!!」
気が付けば奥歯を噛みしめ、力強く握り拳を作る自分がいた。
火球により開通した新たな道に逃げ込む。
『はっ、そんなことよりパット、あいつ逃げるつもりだぞ!?』
「ッ?! しまった、私とした事が!?」
二人して唖然としているおかげですんなり入ることが出来た。向こうも慌てて追いかけようとしているが、太った方、パットと呼ばれている奴は機関銃を持ちながらこっちに向かってくるものの、流石に走っては来れなさそうだ。そりゃああんだけデカい機関銃を持ち歩いてるんだ。相当重いだろうし持ち運びには不便だろう。一体どうやって会場に運んできたのか気になる所だが、今はそれどころではない。
逃げ道と言いつつ、実際は四、五十メートルの穴を開けたに過ぎないただの袋小路だ。奴がここまで来てしまったら今度こそ蜂の巣にされるだろう。
『くそ、無駄な抵抗しやがって! 奴は俺が追いかける!!』
「待て! その中には入るな!!」
『ふえっ?!』
ロンドは自分を追跡しようとドローンを送り込もうとするが、それをパットに制止された。案外理解が早いようだな。
自分が居る場所は暗くて細い一本道。奴等が今居る場所と違い、動きが制限される。そんな中追いかけてこようものなら当然自分は撃ち落とすに決まってる。動きづらいこの道の中じゃあほぼ間違いなく撃墜出来る。つまり、不用意な追跡はこっちにとって好都合なのだ。
「ちっ、とことん小賢しい真似しやがるな、ゴミの分際で」
それにパットは気づき、舌打ちする声が聞こえた。悪いが自分の命に関わる事だ。小賢しかろうがなんだろうが最後まで醜く抗わさせてもらうぜ。
「…とはいえ、こっからどうするかだな」
しかし、状況は結局何も変わらない。あくまで時間稼ぎする為の策を強引に実行しただけだ。寧ろ自分から悪い方向に向かって行ったといっても過言ではない。
「はあ…はあ…、はっはっは、どうせ無駄な抵抗だ。お前はもう詰んでるんだ。少しばかり魔力が高いからってこの状況は打破できまい。だったら、大人しく出て来た方が身のためじゃないのか?」
『ぶへへっ。そうだそうだ! 大人しく出てくるなら命までは取らないぞー! だからとっとと出てこいよ!!』
「…」
奥の方へ向かっていると、外で二人がなにやらごちゃごちゃ言い始めている。ロンドの交渉に至っては十中八九嘘に決まっている。いくらなんでもその手に引っかかる程馬鹿ではないぞ。
「おい、出てこいゴミィ! 出てこないというなら容赦しないぞ!」
パットの方も威圧的に交渉してくるが、奴の言う事も嘘に決まっている。というか、容赦もなにもあんなので撃たれれば確実に無事ではすむまい。こういうのは無視だ無視。とにかく今は対策を練らなければ。
「…はっ、そうか。貴様がその態度というなら、今度は女の方がただでは済まなくなるぞ?」
「…」
そんななか、今度は彼女、ミオを交渉材料に出してくる。ここに居ない彼女を一体どうするつもりなんだ。
「貴様を殺して試験が終わった後、あの女を今度こそ連行して、私を怒らせた事を後悔させてやる!」
『ぶへへっ。そりゃあいいなー。どうやって後悔させてやろうか?』
「そりゃあ当然、裸にひん剥いてあんなことやこんなことを…」
『ぶへへへへっ! それは面白そうだな。想像するだけで興奮してきた!』
「…」
なるほど。エロガキが考えそうな事だ。そんなことしたら確実に捕まって監獄行きだ。貴族の名に更に泥を塗る気かよ。少しは考えて物言いやがれってんだ。
「はっはっはっはっは!」
『ぶへへへへへっ!』
こいつらのアホさ加減には付き合いきれん。それより、ここからの打開策を…
「はっはっはっはっは…」
「ぶへへへへへ…』
考えようとしているが、奴等の笑い声が耳障りで集中出来ない。
「はっはっはっはっ…」
『ぶへへへへ…』
五月蠅い。
「はっはっはっ…」
『ぶへへへ…』
五月蠅い。ああ、うるさい。
「はっはっ…」
『ぶへへ…』
うるせーんだよ。
「はっ…」
『ぶへ…』
「…クソ野郎がっ!!」
気が付けば奥歯を噛みしめ、力強く握り拳を作る自分がいた。
0
あなたにおすすめの小説
身寄りのない少女を引き取ったら有能すぎて困る(困らない)
長根 志遥
ファンタジー
命令を受けて自らを暗殺に来た、身寄りのない不思議な少女エミリスを引き取ることにした伯爵家四男のアティアス。
彼女は彼と旅に出るため魔法の練習を始めると、才能を一気に開花させる。
他人と違う容姿と、底なしの胃袋、そして絶大な魔力。メイドだった彼女は家事も万能。
超有能物件に見えて、実は時々へっぽこな彼女は、様々な事件に巻き込まれつつも彼の役に立とうと奮闘する。
そして、伯爵家領地を巡る争いの果てに、彼女は自分が何者なのかを知る――。
◆
「……って、そんなに堅苦しく書いても誰も読んでくれませんよ? アティアス様ー」
「あらすじってそういうもんだろ?」
「ダメです! ここはもっとシンプルに書かないと本編を読んでくれません!」
「じゃあ、エミーならどんな感じで書くんだ?」
「……そうですねぇ。これはアティアス様が私とイチャイチャしながら、事件を強引に力で解決していくってお話ですよ、みなさん」
「ストレートすぎだろ、それ……」
「分かりやすくていいじゃないですかー。不幸な生い立ちの私が幸せになるところを、是非是非読んでみてくださいね(はーと)」
◆HOTランキング最高2位、お気に入り1400↑ ありがとうございます!
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~
みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】
事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。
神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。
作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。
「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。
※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
異世界で目が覚めたら目の前で俺が死んでました。この世界でオリジナルの俺はとっくに死んでたみたいです
青山喜太
ファンタジー
主人公桜間トオル17歳は家族との旅行中、車の中ではなく突然なんの脈絡もなく遺跡の中で目が覚めてしまう。
混乱する桜間トオルの目の前にいたのは自分と瓜二つ、服装さえ一緒のもう一人の桜間トオルだった。
もう一人の桜間トオルは全身から出血し血を吐きながら、乞う。
「父さんと、母さん……妹をアカリを頼む……!!」
思わず、頷いた桜間トオルはもう一人の自分の最後を看取った。
その時、見知らぬ声が響く。
「私のことがわかるか? 13人の桜間トオル?」
これはただの高校生である桜間トオルが英雄たちとの戦争に巻き込まれていく物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる