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第4章 入学試験編
第4章ー⑯
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あれから約三週間の月日が経った。試験まで残り三日。学園行の馬車は隣町にある為、今日村を出立しなければならない日だった。隣町といえど一日掛かりになる。
「二人とも、忘れ物はない? ご飯多めに入れておいたけど、計画的に食べなさいよ? 一応お小遣いも多めに入れたけど、無駄遣いはダメよ?」
「わ、わかってるよ」
村の入り口まで見送りに来てくれた神父とエリカさんだが、エリカさんは逐一心配そうに何度も何度も確認を取って来る。持たされたリュックの中には二、三日分の着替えと食料しか入っていないから、そう何度も確認するものではないと思うが。というか、この光景を他の人にも見られているから恥ずかしい。
「それじゃあ、そろそろ出発するよ?」
「は、はい。お願いします」
そんなエリカさんを余所目に馬のおじさんが荷台に入るよう促され、自分とミオは荷台に乗り込んだ。おじさんナイスタイミング。
「サダメ、ミオ。精一杯頑張って来なさい」
「はい! 行ってきます!」
神父の激励の言葉と共に、馬車が発進する。段々村から離れていくのと、二人の姿が小さくなっていくにこと少し寂しさを感じた。
「ねえ、サダメ」
「ん?」
二人の姿が肉眼で確認出来なくなるぐらいの距離を移動する中、ミオが不意に話しかけてきた。
「私達、小さい頃散々な思いしたじゃない?」
「? う、うん?」
なにを言いだすのかと思ったが、急に幼少期の話をし始め、訳も分からないまま頷いてしまった。このタイミングで何故彼女は昔話をし始めたのだろうか。てっきり、試験頑張ろうとか意気込むものだと思っていたのだが。
「多分、今この瞬間も私達と同じように酷い目に遭っている子だっているかもしれない。けど、今の私達じゃどう頑張ったって助けてあげられない」
「…」
ミオの話す内容は、想像以上に重たい内容だった。たしかに。魔物の脅威は未だに存在し続けている。ということは、その脅威に怯えながら生きている子供達が居たっておかしくはないだろう。過去の自分達のように。
「今は無理かもしれないけど、学園でいっぱい勉強して、身に着けた知識と力で沢山の人を助けたい。一日でも早く」
「…ミオ」
彼女の学園に行く理由は前にも聞いたことはあったが、今の彼女の真剣な目を見ると、どれだけ本気なのかがよく伝わって来た。ぶっちゃけ、学校に行きたいだけの口実だと半ば思っていたが、この瞳は疑いようもなく本気である。
「一緒に頑張ろう! サダメが凄い勇者になって、私が最強の治癒師になる。道は違うかもしれないけど、目的は同じだと思うの。二人の夢が叶えば、きっと世界中の人を沢山助けられるよね?!」
「ッ!?」
彼女の最後の一言に、自分はハッとさせられた。そうだ。ミオの言う通り、道が違っても、目的が一緒なら大勢の人を救えるかもしれない。
一人じゃなく、二人で世界を救う。そんな発想、考えもしなかったな。ひょっとしたら彼女の野望は、勇者を目指している自分以上に高かったのかもしれない。恐れ入ったよ。
「ああ、そうだな」
「へへへっ。そう思ったらなんか楽しみになってきたね!」
「けど、最強の治癒師って、具体的にどうなるんだよ?」
「ええ? え、えーっと、多分、どんな怪我もこう、片手でひゅんって…」
「片手でひゅんってなんだよ?」
そう思いつつ、その後は暫く荷台の中で談笑し合っていた。
―転生勇者が死ぬまで、残り4115日
「二人とも、忘れ物はない? ご飯多めに入れておいたけど、計画的に食べなさいよ? 一応お小遣いも多めに入れたけど、無駄遣いはダメよ?」
「わ、わかってるよ」
村の入り口まで見送りに来てくれた神父とエリカさんだが、エリカさんは逐一心配そうに何度も何度も確認を取って来る。持たされたリュックの中には二、三日分の着替えと食料しか入っていないから、そう何度も確認するものではないと思うが。というか、この光景を他の人にも見られているから恥ずかしい。
「それじゃあ、そろそろ出発するよ?」
「は、はい。お願いします」
そんなエリカさんを余所目に馬のおじさんが荷台に入るよう促され、自分とミオは荷台に乗り込んだ。おじさんナイスタイミング。
「サダメ、ミオ。精一杯頑張って来なさい」
「はい! 行ってきます!」
神父の激励の言葉と共に、馬車が発進する。段々村から離れていくのと、二人の姿が小さくなっていくにこと少し寂しさを感じた。
「ねえ、サダメ」
「ん?」
二人の姿が肉眼で確認出来なくなるぐらいの距離を移動する中、ミオが不意に話しかけてきた。
「私達、小さい頃散々な思いしたじゃない?」
「? う、うん?」
なにを言いだすのかと思ったが、急に幼少期の話をし始め、訳も分からないまま頷いてしまった。このタイミングで何故彼女は昔話をし始めたのだろうか。てっきり、試験頑張ろうとか意気込むものだと思っていたのだが。
「多分、今この瞬間も私達と同じように酷い目に遭っている子だっているかもしれない。けど、今の私達じゃどう頑張ったって助けてあげられない」
「…」
ミオの話す内容は、想像以上に重たい内容だった。たしかに。魔物の脅威は未だに存在し続けている。ということは、その脅威に怯えながら生きている子供達が居たっておかしくはないだろう。過去の自分達のように。
「今は無理かもしれないけど、学園でいっぱい勉強して、身に着けた知識と力で沢山の人を助けたい。一日でも早く」
「…ミオ」
彼女の学園に行く理由は前にも聞いたことはあったが、今の彼女の真剣な目を見ると、どれだけ本気なのかがよく伝わって来た。ぶっちゃけ、学校に行きたいだけの口実だと半ば思っていたが、この瞳は疑いようもなく本気である。
「一緒に頑張ろう! サダメが凄い勇者になって、私が最強の治癒師になる。道は違うかもしれないけど、目的は同じだと思うの。二人の夢が叶えば、きっと世界中の人を沢山助けられるよね?!」
「ッ!?」
彼女の最後の一言に、自分はハッとさせられた。そうだ。ミオの言う通り、道が違っても、目的が一緒なら大勢の人を救えるかもしれない。
一人じゃなく、二人で世界を救う。そんな発想、考えもしなかったな。ひょっとしたら彼女の野望は、勇者を目指している自分以上に高かったのかもしれない。恐れ入ったよ。
「ああ、そうだな」
「へへへっ。そう思ったらなんか楽しみになってきたね!」
「けど、最強の治癒師って、具体的にどうなるんだよ?」
「ええ? え、えーっと、多分、どんな怪我もこう、片手でひゅんって…」
「片手でひゅんってなんだよ?」
そう思いつつ、その後は暫く荷台の中で談笑し合っていた。
―転生勇者が死ぬまで、残り4115日
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