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第2章 脱出編
第2章ー⑧
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「…」
「…」
昨日のようにサダメを膝枕しながら治癒魔法を掛けていた。しかし、昨日とは違ってかなり気まずい雰囲気終始無言が続いていた。サダメはあれから人形みたいにピクリとも動かないし、ラエルはあの発言をしたあと反対側で一人眠りについた。他の子達はさっきのケンカで泣いたりブルブル震えている。なんだか皆、近くに居るのにバラバラになったような気がしてものすごく寂しい。
このままでいいのだろうか。みんながみんな距離を置いて、その上でサダメが居なくなってしまったらどうなってしまうの。
今、皆の心が闇に落ちようとしている。ダメだ、このままじゃよくない事が起きる…と思う。それほどまでに空気が淀んていた。
やっぱりここは私がなんとかしなければ。そのためにはまず、サダメを元気づけなけないと。
「ねえ、サダメ?」
「…」
サダメに話しかけてみるが、当然返事はない。目は閉じてはいないし、寝てはいないと思うが。やはり今の彼にはもう話す気力も残っていない。それなら、私がなんとか話を繋げないと。とはいえ、どんな言葉を掛けてあげればいいのかまるでわからない。
最早死にかけも同然のサダメに適当な励ましなんて無意味だろうし、そもそもなんでサダメがここまでメンタルをズタボロにされているのかわからないkらアドバイスのしようもない。そうなると、一体どうしたら…
「私、この村が大好きなの」
と考えているなか、無意識に出たのは私の自分語り。これも父さんが言っていたことだが、「相手の事がわからない時は、自分の事を知ってもらえるようにすればいい。そうすれば、向こうの方から自分のためになにか行動してくれたりする場合もある」という話を思い出した。向こう側だって相手の事をよく知らない。だからどういう話をすればいいのかわからないから言葉に詰まってしまう。その結果、自分も相手がなにを考えているのかわからなくなるんだと。
そういうときは自分の話を聞かせてあげるのがいいらしい。そうすれば相手も自分がどういう人間なのか理解し、話しやすくなるという。
サダメは話す気力がないようだけど、私の話を聞いたらひょっとしてなにか応えてくれるんじゃないかと思った。だから私は、そのまま話を続けた。
「お父さんとお母さんが大好き。優しいし物知りで色々教えてくれたの。二人は私にとって最高の親。村の人もみんなあったかくて好き。いつも賑やかで毎晩お祭りみたいに騒いでたっけ。時々おじさん達が酔っぱらった勢いでケンカしてるのはちょっと怖かったけど。ドレーカ名物のじゃがいもも好き。分厚くしたポテトも美味しいけど、バター入れて一緒に食べるやつもすっごい美味しかったなー。まあ、バターは高級品だからたまーにしか食べられなかったけど」
思うまま話しているけれど、自分語りというよりほぼ村語りになっていた。それだけ私にとってこの村は大切な場所。私の楽しかった思い出は全部この村にある。未だにあの時の記憶は鮮明に覚えてるほどに。
「でも、あの頃の村にはもう戻れない。お父さんもお母さんも居なくなって、村の人たちもたくさん死んじゃった。私たちと同い年の子も何人か殺されちゃったしね」
けど、あの時の大好きな村はもうここには存在しない。どこに行ってもありはしない。それが現実。アイツらが来てからは辛い思い出しかない。サダメがこうなっちゃうのもなんとなくわかるし、致し方ないとも思う。
「それでも、私は生きたいと思うよ。だって、死んじゃったら楽しかった思い出とかも忘れちゃうかもしれないもん。それに、生きていたらきっとまた、楽しい思い出が作れるかもしれないし。ここに居る皆と一緒に。もちろん、サダメともたくさん楽しい思い出作りたいな」
しかし、どれだけ辛くても生きたいと思うのは私の心からの本音。不安なこととかたくさんあるし、弱音を吐きたくなるような日もある。昨日の私がそうだったし。
こんな絶望的な状況でも、私は生きたいと思う。皆との思いでを忘れたくないし、今居る皆とこれからたくさん思い出を残したい。それが私が生きたいと思う理由。
「だからサダメも生きていて欲しいな。サダメが死んじゃったら私、ものすごく悲しいし」
「…」
私のエゴなのかもしれないけど、サダメにも生きて欲しい。サダメは相変わらず無反応だし、どう思っているのか全然わかんないけど。
「さて、私の話はこれでおしまい。今日は一緒に寝よっ」
「…」
話を切り上げると同時に治癒魔法を終えた私は、サダメと同じ毛布のなかで眠りについた。背中合わせとはいえ、サダメとこんなに近しい距離で寝るのは初めてで少しドキドキしちゃったけど、これもいい思い出の一つになった気がする。そう思いながら私はゆっくりと目を閉じた。目を閉じながら、明日起きたらサダメがいつものように元気になってくれればいいなと願う。そういう妄想をしていたら今夜はぐっすり眠れた。
―転生勇者が死ぬまで、残り7803日
「…」
昨日のようにサダメを膝枕しながら治癒魔法を掛けていた。しかし、昨日とは違ってかなり気まずい雰囲気終始無言が続いていた。サダメはあれから人形みたいにピクリとも動かないし、ラエルはあの発言をしたあと反対側で一人眠りについた。他の子達はさっきのケンカで泣いたりブルブル震えている。なんだか皆、近くに居るのにバラバラになったような気がしてものすごく寂しい。
このままでいいのだろうか。みんながみんな距離を置いて、その上でサダメが居なくなってしまったらどうなってしまうの。
今、皆の心が闇に落ちようとしている。ダメだ、このままじゃよくない事が起きる…と思う。それほどまでに空気が淀んていた。
やっぱりここは私がなんとかしなければ。そのためにはまず、サダメを元気づけなけないと。
「ねえ、サダメ?」
「…」
サダメに話しかけてみるが、当然返事はない。目は閉じてはいないし、寝てはいないと思うが。やはり今の彼にはもう話す気力も残っていない。それなら、私がなんとか話を繋げないと。とはいえ、どんな言葉を掛けてあげればいいのかまるでわからない。
最早死にかけも同然のサダメに適当な励ましなんて無意味だろうし、そもそもなんでサダメがここまでメンタルをズタボロにされているのかわからないkらアドバイスのしようもない。そうなると、一体どうしたら…
「私、この村が大好きなの」
と考えているなか、無意識に出たのは私の自分語り。これも父さんが言っていたことだが、「相手の事がわからない時は、自分の事を知ってもらえるようにすればいい。そうすれば、向こうの方から自分のためになにか行動してくれたりする場合もある」という話を思い出した。向こう側だって相手の事をよく知らない。だからどういう話をすればいいのかわからないから言葉に詰まってしまう。その結果、自分も相手がなにを考えているのかわからなくなるんだと。
そういうときは自分の話を聞かせてあげるのがいいらしい。そうすれば相手も自分がどういう人間なのか理解し、話しやすくなるという。
サダメは話す気力がないようだけど、私の話を聞いたらひょっとしてなにか応えてくれるんじゃないかと思った。だから私は、そのまま話を続けた。
「お父さんとお母さんが大好き。優しいし物知りで色々教えてくれたの。二人は私にとって最高の親。村の人もみんなあったかくて好き。いつも賑やかで毎晩お祭りみたいに騒いでたっけ。時々おじさん達が酔っぱらった勢いでケンカしてるのはちょっと怖かったけど。ドレーカ名物のじゃがいもも好き。分厚くしたポテトも美味しいけど、バター入れて一緒に食べるやつもすっごい美味しかったなー。まあ、バターは高級品だからたまーにしか食べられなかったけど」
思うまま話しているけれど、自分語りというよりほぼ村語りになっていた。それだけ私にとってこの村は大切な場所。私の楽しかった思い出は全部この村にある。未だにあの時の記憶は鮮明に覚えてるほどに。
「でも、あの頃の村にはもう戻れない。お父さんもお母さんも居なくなって、村の人たちもたくさん死んじゃった。私たちと同い年の子も何人か殺されちゃったしね」
けど、あの時の大好きな村はもうここには存在しない。どこに行ってもありはしない。それが現実。アイツらが来てからは辛い思い出しかない。サダメがこうなっちゃうのもなんとなくわかるし、致し方ないとも思う。
「それでも、私は生きたいと思うよ。だって、死んじゃったら楽しかった思い出とかも忘れちゃうかもしれないもん。それに、生きていたらきっとまた、楽しい思い出が作れるかもしれないし。ここに居る皆と一緒に。もちろん、サダメともたくさん楽しい思い出作りたいな」
しかし、どれだけ辛くても生きたいと思うのは私の心からの本音。不安なこととかたくさんあるし、弱音を吐きたくなるような日もある。昨日の私がそうだったし。
こんな絶望的な状況でも、私は生きたいと思う。皆との思いでを忘れたくないし、今居る皆とこれからたくさん思い出を残したい。それが私が生きたいと思う理由。
「だからサダメも生きていて欲しいな。サダメが死んじゃったら私、ものすごく悲しいし」
「…」
私のエゴなのかもしれないけど、サダメにも生きて欲しい。サダメは相変わらず無反応だし、どう思っているのか全然わかんないけど。
「さて、私の話はこれでおしまい。今日は一緒に寝よっ」
「…」
話を切り上げると同時に治癒魔法を終えた私は、サダメと同じ毛布のなかで眠りについた。背中合わせとはいえ、サダメとこんなに近しい距離で寝るのは初めてで少しドキドキしちゃったけど、これもいい思い出の一つになった気がする。そう思いながら私はゆっくりと目を閉じた。目を閉じながら、明日起きたらサダメがいつものように元気になってくれればいいなと願う。そういう妄想をしていたら今夜はぐっすり眠れた。
―転生勇者が死ぬまで、残り7803日
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