9 / 11
第9話 爽やかに勝利の余韻を楽しむ二人
しおりを挟む
ひとしきり笑い終えた後、俺は放送を終了する為にドローンに話しかけた。
「ええ、というわけでですね。今回初配信でしたが、いや~中々の大盛り上がりでしたな!! 視聴者の皆さまの声援を背中で浴びながら、ダンジョン狭しと縦横無尽に駆け巡っての大活躍! 我ながら惚れぼれするような素晴らしい戦いぶりだったと思います。いやほんと、皆さんのおかげでございます。ありがとうございました!」
<貴重な体験だったよ。ここまで視聴者が参加出来る配信って他には無い強みだね>
<面白かったぜ。じゃ、帰ったらちゃんと勉強しろよ。学生の本分をないがしろにしているとロクな大人になれないぞ>
<じゃあな治郎、まっすぐ家に帰りや>
<あばよ治郎!>
<またな治郎!>
「い、いやですからね。ちゃんと配信用の名前を用意しているんですから、そんな本名を連呼されてもですね……」
<そんな事はどうでもいいんだ。次もやってくれよ、時間作ってでも見に来るから>
……。
「え……あ、はい頑張ります! ではまた次回の配信でお会いしましょうね! 次もまたフレッシュな十七歳の初々しさをお届けいたしますよぉ!! それでは、さようなら!!」
こうして、俺の初配信は終わった。
ちなみに、長谷山は最後まで状況が理解出来てなかったらしく、終始困惑していた。
「何が結局どうなってるの? 何そのドローン? 何でドローンに向かってボソボソ呟いてたの? 説明が欲しいんだけど」
「うん? ああ、長谷山か。何だお前まだ居たのか? お前の役目は終わったんだからとっとと家に帰って勉強でもやってろ。この真面目を装った不良野郎が。楽しそうに刃物を振り回す危険人物め」
「君さっきと全然態度違くないか!? それに僕は不良でもなければ危険人物でもないよ!!」
うるせぇな。お前の役目は終わったんだよ。お前との友情ごっこも終了してんだから別にいいだろ。こっちは初回配信を大成功で納めた余韻に浸ってんだよ。お前に関わってらんないっての。
きっと明日のネットニュースに大型新人現るだかなんだかで俺の配信が取り上げられるに違いない。
いや~まいっちゃうなぁ。俺が華麗にボスを倒した所を国民全員が知る事になるのかぁ。くう~たまんねぇなぁ! 明日から女とお金にモテモテの人生の始まりだぜ。
「ぐへ、ぐへへ、ぐへへへへへへへへ!」
「き、気持ち悪い……。そのいやらしい笑い方は止めた方がいいよ君。それと、僕の質問には答えて欲しいな。何がどうなってるのかさっぱり分からないんだから、教えておくれよ」
「あん? しつこい野郎だな。ようは俺が配信で大受けでお前は利用されてポイってことよ」
「何だって!? 君は個人的な動画配信で活躍する為に僕の事を散々コキ使った挙句、成功に終わったからとっとと消え失せろと言うのか!!」
「いいだろ別に。大体クラスでも男に一番嫌われてると言っても過言では無いイケ好かないモテ男の優男となんで俺が友情を感じないといけないんだよ? 俺の友達とはドローンであり、もっと言えば視聴者が投げてくれる銭だけだぜ」
「き、君という男は……! 根性が捻じ曲がってるよ! 女子のみんなから遠巻きにされていた理由が分かった気がする」
何だって!? 俺の周りに女が寄ってこない理由はこいつが女を独占してるからじゃ無かったのか!? は、初めて知った。
……い、いやそれがどうした! 今日の配信で俺の雄姿は全国区になったはず、今まではともかくこれからは無条件にモテることは間違いないんだ!
「ふ、ふん。どうとでもほざいてろ。俺の人生は今日から変わったんだ、その手伝いが出来たんだからお前って男は幸せもんだろ?」
「どの口で言ってるんだ君は……。大体君、ダンジョンの配信なんて危険な真似をするのはどうかと思う? どこかの事務所に所属出来る程の実力者だって言うならともかく、君の実力で続けられものじゃないよ。ただでさえ個人配信は難しいのに、学生の身分で手を出して良い領域を超えてると思わないかい?」
先生かよこいつは。同じ高校生のくせに偉そうに説教しやがって。
だが今の俺には余裕がある、軽い気持ちで水に流してあげようじゃないか。
「まあそう言うなよ、お前が頼むんだったらこれからも手伝ってくれたっていいんだぜ? そんな俺の寛容さに感謝して欲しいもんだな」
そんなセリフを吐きながら、俺は拳の裏で軽く奴の胸を叩く。
「きゃあっ!?」
あれ? 何か今ほんの微かにだが、柔らかかったようなそうでもなかったような?
疑問に思って奴を見ると、何故かその顔は真っ赤に染まっていた。
「え? え? 何だよお前、どうしたんだその反応は? ……えぇ、まさかお前!!?」
「うわあああん! ち、違う!! 見るなあ!!」
「ええ、というわけでですね。今回初配信でしたが、いや~中々の大盛り上がりでしたな!! 視聴者の皆さまの声援を背中で浴びながら、ダンジョン狭しと縦横無尽に駆け巡っての大活躍! 我ながら惚れぼれするような素晴らしい戦いぶりだったと思います。いやほんと、皆さんのおかげでございます。ありがとうございました!」
<貴重な体験だったよ。ここまで視聴者が参加出来る配信って他には無い強みだね>
<面白かったぜ。じゃ、帰ったらちゃんと勉強しろよ。学生の本分をないがしろにしているとロクな大人になれないぞ>
<じゃあな治郎、まっすぐ家に帰りや>
<あばよ治郎!>
<またな治郎!>
「い、いやですからね。ちゃんと配信用の名前を用意しているんですから、そんな本名を連呼されてもですね……」
<そんな事はどうでもいいんだ。次もやってくれよ、時間作ってでも見に来るから>
……。
「え……あ、はい頑張ります! ではまた次回の配信でお会いしましょうね! 次もまたフレッシュな十七歳の初々しさをお届けいたしますよぉ!! それでは、さようなら!!」
こうして、俺の初配信は終わった。
ちなみに、長谷山は最後まで状況が理解出来てなかったらしく、終始困惑していた。
「何が結局どうなってるの? 何そのドローン? 何でドローンに向かってボソボソ呟いてたの? 説明が欲しいんだけど」
「うん? ああ、長谷山か。何だお前まだ居たのか? お前の役目は終わったんだからとっとと家に帰って勉強でもやってろ。この真面目を装った不良野郎が。楽しそうに刃物を振り回す危険人物め」
「君さっきと全然態度違くないか!? それに僕は不良でもなければ危険人物でもないよ!!」
うるせぇな。お前の役目は終わったんだよ。お前との友情ごっこも終了してんだから別にいいだろ。こっちは初回配信を大成功で納めた余韻に浸ってんだよ。お前に関わってらんないっての。
きっと明日のネットニュースに大型新人現るだかなんだかで俺の配信が取り上げられるに違いない。
いや~まいっちゃうなぁ。俺が華麗にボスを倒した所を国民全員が知る事になるのかぁ。くう~たまんねぇなぁ! 明日から女とお金にモテモテの人生の始まりだぜ。
「ぐへ、ぐへへ、ぐへへへへへへへへ!」
「き、気持ち悪い……。そのいやらしい笑い方は止めた方がいいよ君。それと、僕の質問には答えて欲しいな。何がどうなってるのかさっぱり分からないんだから、教えておくれよ」
「あん? しつこい野郎だな。ようは俺が配信で大受けでお前は利用されてポイってことよ」
「何だって!? 君は個人的な動画配信で活躍する為に僕の事を散々コキ使った挙句、成功に終わったからとっとと消え失せろと言うのか!!」
「いいだろ別に。大体クラスでも男に一番嫌われてると言っても過言では無いイケ好かないモテ男の優男となんで俺が友情を感じないといけないんだよ? 俺の友達とはドローンであり、もっと言えば視聴者が投げてくれる銭だけだぜ」
「き、君という男は……! 根性が捻じ曲がってるよ! 女子のみんなから遠巻きにされていた理由が分かった気がする」
何だって!? 俺の周りに女が寄ってこない理由はこいつが女を独占してるからじゃ無かったのか!? は、初めて知った。
……い、いやそれがどうした! 今日の配信で俺の雄姿は全国区になったはず、今まではともかくこれからは無条件にモテることは間違いないんだ!
「ふ、ふん。どうとでもほざいてろ。俺の人生は今日から変わったんだ、その手伝いが出来たんだからお前って男は幸せもんだろ?」
「どの口で言ってるんだ君は……。大体君、ダンジョンの配信なんて危険な真似をするのはどうかと思う? どこかの事務所に所属出来る程の実力者だって言うならともかく、君の実力で続けられものじゃないよ。ただでさえ個人配信は難しいのに、学生の身分で手を出して良い領域を超えてると思わないかい?」
先生かよこいつは。同じ高校生のくせに偉そうに説教しやがって。
だが今の俺には余裕がある、軽い気持ちで水に流してあげようじゃないか。
「まあそう言うなよ、お前が頼むんだったらこれからも手伝ってくれたっていいんだぜ? そんな俺の寛容さに感謝して欲しいもんだな」
そんなセリフを吐きながら、俺は拳の裏で軽く奴の胸を叩く。
「きゃあっ!?」
あれ? 何か今ほんの微かにだが、柔らかかったようなそうでもなかったような?
疑問に思って奴を見ると、何故かその顔は真っ赤に染まっていた。
「え? え? 何だよお前、どうしたんだその反応は? ……えぇ、まさかお前!!?」
「うわあああん! ち、違う!! 見るなあ!!」
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説

俺が異世界帰りだと会社の後輩にバレた後の話
猫野 ジム
ファンタジー
会社員(25歳・男)は異世界帰り。現代に帰って来ても魔法が使えるままだった。
バレないようにこっそり使っていたけど、後輩の女性社員にバレてしまった。なぜなら彼女も異世界から帰って来ていて、魔法が使われたことを察知できるから。
『異世界帰り』という共通点があることが分かった二人は後輩からの誘いで仕事終わりに食事をすることに。職場以外で会うのは初めてだった。果たしてどうなるのか?
※ダンジョンやバトルは無く、現代ラブコメに少しだけファンタジー要素が入った作品です
※カクヨム・小説家になろうでも公開しています
借金背負ったので死ぬ気でダンジョン行ったら人生変わった件 やけくそで潜った最凶の迷宮で瀕死の国民的美少女を救ってみた
羽黒 楓
ファンタジー
旧題:借金背負ったので兄妹で死のうと生還不可能の最難関ダンジョンに二人で潜ったら瀕死の人気美少女配信者を助けちゃったので連れて帰るしかない件
借金一億二千万円! もう駄目だ! 二人で心中しようと配信しながらSSS級ダンジョンに潜った俺たち兄妹。そしたらその下層階で国民的人気配信者の女の子が遭難していた! 助けてあげたらどんどんとスパチャが入ってくるじゃん! ってかもはや社会現象じゃん! 俺のスキルは【マネーインジェクション】! 預金残高を消費してパワーにし、それを自分や他人に注射してパワーアップさせる能力。ほらお前ら、この子を助けたければどんどんスパチャしまくれ! その金でパワーを女の子たちに注入注入! これだけ金あれば借金返せそう、もうこうなりゃ絶対に生還するぞ! 最難関ダンジョンだけど、絶対に生きて脱出するぞ! どんな手を使ってでも!

配信者ルミ、バズる~超難関ダンジョンだと知らず、初級ダンジョンだと思ってクリアしてしまいました~
てるゆーぬ(旧名:てるゆ)
ファンタジー
女主人公です(主人公は恋愛しません)。18歳。ダンジョンのある現代社会で、探索者としてデビューしたルミは、ダンジョン配信を始めることにした。近くの町に初級ダンジョンがあると聞いてやってきたが、ルミが発見したのは超難関ダンジョンだった。しかしそうとは知らずに、ルミはダンジョン攻略を開始し、ハイランクの魔物たちを相手に無双する。その様子は全て生配信でネットに流され、SNSでバズりまくり、同接とチャンネル登録数は青天井に伸び続けるのだった。

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜
サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。
父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。
そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。
彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。
その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。
「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」
そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。
これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

俺だけ展開できる聖域《ワークショップ》~ガチャで手に入れたスキルで美少女達を救う配信がバズってしまい、追放した奴らへざまあして人生大逆転~
椿紅颯
ファンタジー
鍛誠 一心(たんせい いっしん)は、生ける伝説に憧憬の念を抱く駆け出しの鍛冶師である。
探索者となり、同時期に新米探索者になったメンバーとパーティを組んで2カ月が経過したそんなある日、追放宣言を言い放たれてしまった。
このことからショックを受けてしまうも、生活するために受付嬢の幼馴染に相談すると「自らの価値を高めるためにはスキルガチャを回してみるのはどうか」、という提案を受け、更にはそのスキルが希少性のあるものであれば"配信者"として活動するのもいいのではと助言をされた。
自身の戦闘力が低いことからパーティを追放されてしまったことから、一か八かで全て実行に移す。
ガチャを回した結果、【聖域】という性能はそこそこであったが見た目は派手な方のスキルを手に入れる。
しかし、スキルの使い方は自分で模索するしかなかった。
その後、試行錯誤している時にダンジョンで少女達を助けることになるのだが……その少女達は、まさかの配信者であり芸能人であることを後々から知ることに。
まだまだ驚愕的な事実があり、なんとその少女達は自身の配信チャンネルで配信をしていた!
そして、その美少女達とパーティを組むことにも!
パーティを追放され、戦闘力もほとんどない鍛冶師がひょんなことから有名になり、間接的に元パーティメンバーをざまあしつつ躍進を繰り広げていく!
泥臭く努力もしつつ、実はチート級なスキルを是非ご覧ください!

帰還した吞兵衛勇者〜異世界から帰ってきたら日本がダンジョンだらけになっていたんだが?〜
まぐな
ファンタジー
異世界転移に巻き込まれた主人公、梶谷太一は無事に異世界の魔王討伐を成し遂げ、元の世界の日本に帰還した……はずだった。
だが、太一が戻った日本には異世界でよくみたモンスターが蔓延るダンジョンが発生。
日本には元々ダンジョンがあったかのように人々の生活に馴染んでおり、モンスターを討伐する専門組織、討伐隊ギルドなども設立されていた。
「とりあえず難しいことは置いておいて酒盛りだ!」
しかし、太一は何よりも酒のことで頭がいっぱいだった。
異世界で鍛え上げた能力を持つ太一を、人手不足に陥っている討伐隊ギルドは放っておくはずもなく……。
カクヨムにも掲載してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる