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24章-1 魔の大陸-魔女への依頼
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まばゆい光が収まり目がなれると、何も変わらない部屋の姿が目に映る。ただ、エリーの腕を握っていたセルヴァンは床に伏し額を付け、シェリーに向けて頭を下げている。
オーウィルディアは『やっぱりシェリーちゃんの魔眼は凄いわ』と言っている。
エリーは何か化け物でも見たような目をシェリーに向けているが、腰が抜けてしまっているのか、尻もちをついていた。
そして、双子の少女はというと、二人共桜色の瞳が真っ黒に変わり果てていた。ナオフミの黒だ。
「シェリー、大丈夫?」
そう言って、カイルは床に膝を付いていたシェリーを立たす。
「問題ありません」
「魔眼の封印って普通の封印じゃないのか」
グレイが少し戸惑ったように言う。てっきり魔眼を使いにくくするための封印だと思っていたのだろう。
「完全に魔眼が解放されると、とても美しいものですね」
以前シェリーの魔眼の封印が目の前で完全に解けた時、死にかけたスーウェンだが、忘れてしまったのだろうか。
「シェリー、キラキラして綺麗だった」
オルクスは嬉しそうにシェリーに近寄って、ゴロゴロといっている。
「以前、ダンジョンで感じた魔眼の力と違うのだな」
リオンはユールクスのダンジョンのときの事を言っているのだろうが、あの時と今回とでは命令内容が全く違うので、力の感じ方は違ってくるだろう。
「三人を部屋に戻してちょうだい」
オーウィルディアは使用人に、そう命令しディスタを引っ張って自分の執務室に戻っていった。セルヴァンは床に額を付けたまま、シェリーに謝罪の言葉を口にする。
「シェリーミディア様。私が不甲斐ないばかりに、お手数をおかけいたしまして、本当に申し訳ございません。魔眼を使ってお疲れでありましょう。お昼も近い時間になってしまいましたので、昼食の用意をさせていただきます」
そう言って、セルヴァンは部屋を出ていった。そして、シェリーはカイルに抱き寄せられ、ソファに案内され座らされる。カイルの膝の上に·····。
「シェリー。さっきの事を聞いていいか?」
グレイがシェリーの隣に座って聞いてきた。
「なんの事ですか?」
「俺は、魔眼を持っていると大公から名が与えられて、封印されると聞いていたんだ。だけど、あの双子は名を与えられなかったのはなんでだ?叔父上の言い方はまるで自分たちがつけるものじゃないという感じだった」
グレイはまた教えられていることと、事実が違うことに、公子ではあるがラースではないというだけで、こんなにも教えられることが違うのかと、項垂れていた。
「それは、名を与えられるときに説明をされたのですが、名を管理する魔道具に名が示されるというものです。名が与えられなかったということは、認められなかったということです」
「それって、魔道具にってことか?」
グレイとは反対側のシェリーの隣に座ったオルクスが聞いた。まるで魔道具が意思を持っているかのように聞こえてしまう。
「そんなわけないです。ナディア様にです。本来なら、名を与えられなかった時点で、完全封印をされるのですが、大公代理がオーウィルディア様で、相手が双子であったということが、封印することができなかった要因なのでしょう」
大公の器ではないオーウィルディアと互いが互いの為に魔眼を使用してた双子。だから、封印されることはなかったと。
「ご主人様は先程、呪の文言で封印ではなく否定と言われました。それも女神の名を戴いて。そのようなことは許されるのでしょうか?」
スーウェンは女神ナディアの名を出すということは、女神ナディアの代行だと言っているようなものだ。それも否定すると強い言葉を用いたのだ。神の名を騙って強い命令をだす。それは普通は許されないことだ。
「許されますよ。ナディア様はラースの一族を子供たちと言っている程ですから。しかし、それは神言があればと条件つきです」
「それは神が能力の剥奪を認めて、それを実行できるということなのか?命を奪われるという意味もわからないのだが?」
リオンは女神ルーチェを崇めている炎国では考えられない事だと、言っているのだろう。しかし、女神ルーチェは加護を与えている人物がいるわけではなく、特殊な能力を与えているわけではない。
だから女神ルーチェが誰かに与えた能力を奪うということは、そもそも行われることはないのだ。
「リオンさん、そもそもナディア様とルーチェ様では考え方が違いますよ。ルーチェ様は自分を慕って崇め奉るのであれば、頭を撫でてあげましょうという御方です。
ナディア様はラース様が愛したものを全て受け入れようという御方です。それに対して害があると分かれば神の鉄槌を下す。神と言うものは自分勝手な者なのですよ」
オーウィルディアは『やっぱりシェリーちゃんの魔眼は凄いわ』と言っている。
エリーは何か化け物でも見たような目をシェリーに向けているが、腰が抜けてしまっているのか、尻もちをついていた。
そして、双子の少女はというと、二人共桜色の瞳が真っ黒に変わり果てていた。ナオフミの黒だ。
「シェリー、大丈夫?」
そう言って、カイルは床に膝を付いていたシェリーを立たす。
「問題ありません」
「魔眼の封印って普通の封印じゃないのか」
グレイが少し戸惑ったように言う。てっきり魔眼を使いにくくするための封印だと思っていたのだろう。
「完全に魔眼が解放されると、とても美しいものですね」
以前シェリーの魔眼の封印が目の前で完全に解けた時、死にかけたスーウェンだが、忘れてしまったのだろうか。
「シェリー、キラキラして綺麗だった」
オルクスは嬉しそうにシェリーに近寄って、ゴロゴロといっている。
「以前、ダンジョンで感じた魔眼の力と違うのだな」
リオンはユールクスのダンジョンのときの事を言っているのだろうが、あの時と今回とでは命令内容が全く違うので、力の感じ方は違ってくるだろう。
「三人を部屋に戻してちょうだい」
オーウィルディアは使用人に、そう命令しディスタを引っ張って自分の執務室に戻っていった。セルヴァンは床に額を付けたまま、シェリーに謝罪の言葉を口にする。
「シェリーミディア様。私が不甲斐ないばかりに、お手数をおかけいたしまして、本当に申し訳ございません。魔眼を使ってお疲れでありましょう。お昼も近い時間になってしまいましたので、昼食の用意をさせていただきます」
そう言って、セルヴァンは部屋を出ていった。そして、シェリーはカイルに抱き寄せられ、ソファに案内され座らされる。カイルの膝の上に·····。
「シェリー。さっきの事を聞いていいか?」
グレイがシェリーの隣に座って聞いてきた。
「なんの事ですか?」
「俺は、魔眼を持っていると大公から名が与えられて、封印されると聞いていたんだ。だけど、あの双子は名を与えられなかったのはなんでだ?叔父上の言い方はまるで自分たちがつけるものじゃないという感じだった」
グレイはまた教えられていることと、事実が違うことに、公子ではあるがラースではないというだけで、こんなにも教えられることが違うのかと、項垂れていた。
「それは、名を与えられるときに説明をされたのですが、名を管理する魔道具に名が示されるというものです。名が与えられなかったということは、認められなかったということです」
「それって、魔道具にってことか?」
グレイとは反対側のシェリーの隣に座ったオルクスが聞いた。まるで魔道具が意思を持っているかのように聞こえてしまう。
「そんなわけないです。ナディア様にです。本来なら、名を与えられなかった時点で、完全封印をされるのですが、大公代理がオーウィルディア様で、相手が双子であったということが、封印することができなかった要因なのでしょう」
大公の器ではないオーウィルディアと互いが互いの為に魔眼を使用してた双子。だから、封印されることはなかったと。
「ご主人様は先程、呪の文言で封印ではなく否定と言われました。それも女神の名を戴いて。そのようなことは許されるのでしょうか?」
スーウェンは女神ナディアの名を出すということは、女神ナディアの代行だと言っているようなものだ。それも否定すると強い言葉を用いたのだ。神の名を騙って強い命令をだす。それは普通は許されないことだ。
「許されますよ。ナディア様はラースの一族を子供たちと言っている程ですから。しかし、それは神言があればと条件つきです」
「それは神が能力の剥奪を認めて、それを実行できるということなのか?命を奪われるという意味もわからないのだが?」
リオンは女神ルーチェを崇めている炎国では考えられない事だと、言っているのだろう。しかし、女神ルーチェは加護を与えている人物がいるわけではなく、特殊な能力を与えているわけではない。
だから女神ルーチェが誰かに与えた能力を奪うということは、そもそも行われることはないのだ。
「リオンさん、そもそもナディア様とルーチェ様では考え方が違いますよ。ルーチェ様は自分を慕って崇め奉るのであれば、頭を撫でてあげましょうという御方です。
ナディア様はラース様が愛したものを全て受け入れようという御方です。それに対して害があると分かれば神の鉄槌を下す。神と言うものは自分勝手な者なのですよ」
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