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15章 コルバートの魔女
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朝食を食べ終わり、食後のお茶を飲んでいると、廊下が騒がしくなり誰かが駆けてくる音が響いて来た。すると、廊下側の扉が開きクストがダイニングに入ってくるなり
「あの肉を出せ。」
と言ってきた。いきなり来て人の朝食を奪っておきながら何を言っているのだという目線でシェリーはクストを見るが、相手は肉のことしか頭に無いのか。
「あの今までに食べたことのない肉は何の肉だ。何処に行けば手に入る。」
「クスト、それ以上はダメよ。」
後ろから追いついて来たユーフィアに窘められているが、聞く耳を持っていないようで
「柔らかい肉だ。これだろ?ユーフィアが言っていた柔らかい肉と言うやつは。」
どうやら番であるユーフィアが以前から柔らかい肉のことを話をしていたようで、その番の為に手に入れたいのだろう。
「100グラ200000Lです。」
「ボッタクリ過ぎだ!」
「安い方です。レート冠算でするとそれくらいだそうです。それも私の仕入れ価格なので利益は入っていません。プラス10万Lほど欲しいですね。」
炎王が以前言っていたのだ。ギラン共和国の通貨である100万Gを円に換金すると1万円になったと、ギラン共和国の通貨とシーラン王国の通貨の価格はほぼ同じだ。なので間違いはないはずだ。
「利益10万はそれこそボッタクリ過ぎだ。」
「先程のステーキもそれ程の価値がある物と交換条件で渡しましたよ。」
「何!ユーフィア、何と交換した!」
しかし、シェリーはユーフィアが言葉を発する前に割り込み
「それよりも、さっさとお話をして帰ってくれませんか?」
「肉だ。肉が先だ!」
「嫌ですよ。これは私の仕事の報酬としてもらった物なのですから、なぜ、師団長さんにあげなければならないのですか?欲しいなら炎王と交渉してください。彼はそれなりに価値がある者としか交渉しませんよ。」
それを聞いたクストは唖然としている。
「もしかして、初代炎王からもらった物だったのか?ヤバッ。王から下賜された物を俺は食べてしまったのか?」
報酬としてもらった物なので、王からの下賜ではないが、炎王からもらった物で間違いはない。
「師団長さんも落ち着いたことですし、ユーフィアさん、応接室まで連れて行って待っていてください。」
「シェリーさん。本当にごめんなさい。」
そう言って、ユーフィアは落ち込むクストを連れて出ていった。本当に迷惑でしかない。だから、クストがいることに不快感を示したのだ。普段は真面目に軍事をこなしているが、番であるユーフィアのことになると、行動がおかしくなる。
だから、番持ちは面倒なのだ。
片付けは後回しにし、さっさと用件を済まして帰ってもらおうと、シェリーはとある物を取りに自分の部屋に戻ってから、応接室に向かった。
応接室に入ったシェリーが目にしたものは、網の様な物でぐるぐる巻きにされたクストがユーフィアの隣に座っており、網の様な物の先はマリアの手に握られていた。
「なんですかこれは?」
「これは奥様が作られた魔物を捕獲するための魔道具です。」
説明をしてくれたのはその魔道具の端を持っているマリアだった。しかし、それは魔道具の説明であってこの状況の説明ではない。
「師団長さんのこの状態のことです。」
「度々、当主であるナヴァル公爵がご迷惑をおかけいたしまして、申し訳ございません。ご迷惑をこれ以上おかけしない為に、この様な状態で対応させてくださいませ。もし、勝手な行動を取ろうものなら電撃が発動することになります。この様に」
そう言ってマリアは魔道具を使ってみせたが、クストが『ギャー!』と叫んでおり、余計にうるさい。
シェリーはユーフィアの向かい側に座り、その横にカイルが座る。グレイは出入り口の扉のところに控え、スーウェンとオルクスはシェリーの後ろに立った。
「まあ、いいでしょう。それでは、今回この様に早急に来られた理由をお聞きしましょう。」
シェリーは嫌味を混ぜつつ、ユーフィアに話を促す。
「本当にごめんなさい。えっと、コレが出来上がった薬で、元の状態に戻す様に出来上がったわ。」
ユーフィアはカバンから一つの小瓶を取り出した。無色透明の液体が入った小瓶だ。呪いと言う名の永遠の眠りにつく赤い液体の効力を無くす本来の意味での薬が目の前にある。
「効果の検証は?」
「それは出来ていないの。以前作った薬を元にして改良したものになるので、大丈夫なはずよ。」
効果の検証と言うのはいわゆる人体実験だ。早々できるものでは無い。それにこのメイルーンの被害者はシェリーが治療してしまったためにいないのだ。
「スーウェンさん、妹さんにコレを飲ませてください。」
そう言ってシェリーは後ろに立っていたスーウェンに透明な液体が入った小瓶を差し出した。
「あの肉を出せ。」
と言ってきた。いきなり来て人の朝食を奪っておきながら何を言っているのだという目線でシェリーはクストを見るが、相手は肉のことしか頭に無いのか。
「あの今までに食べたことのない肉は何の肉だ。何処に行けば手に入る。」
「クスト、それ以上はダメよ。」
後ろから追いついて来たユーフィアに窘められているが、聞く耳を持っていないようで
「柔らかい肉だ。これだろ?ユーフィアが言っていた柔らかい肉と言うやつは。」
どうやら番であるユーフィアが以前から柔らかい肉のことを話をしていたようで、その番の為に手に入れたいのだろう。
「100グラ200000Lです。」
「ボッタクリ過ぎだ!」
「安い方です。レート冠算でするとそれくらいだそうです。それも私の仕入れ価格なので利益は入っていません。プラス10万Lほど欲しいですね。」
炎王が以前言っていたのだ。ギラン共和国の通貨である100万Gを円に換金すると1万円になったと、ギラン共和国の通貨とシーラン王国の通貨の価格はほぼ同じだ。なので間違いはないはずだ。
「利益10万はそれこそボッタクリ過ぎだ。」
「先程のステーキもそれ程の価値がある物と交換条件で渡しましたよ。」
「何!ユーフィア、何と交換した!」
しかし、シェリーはユーフィアが言葉を発する前に割り込み
「それよりも、さっさとお話をして帰ってくれませんか?」
「肉だ。肉が先だ!」
「嫌ですよ。これは私の仕事の報酬としてもらった物なのですから、なぜ、師団長さんにあげなければならないのですか?欲しいなら炎王と交渉してください。彼はそれなりに価値がある者としか交渉しませんよ。」
それを聞いたクストは唖然としている。
「もしかして、初代炎王からもらった物だったのか?ヤバッ。王から下賜された物を俺は食べてしまったのか?」
報酬としてもらった物なので、王からの下賜ではないが、炎王からもらった物で間違いはない。
「師団長さんも落ち着いたことですし、ユーフィアさん、応接室まで連れて行って待っていてください。」
「シェリーさん。本当にごめんなさい。」
そう言って、ユーフィアは落ち込むクストを連れて出ていった。本当に迷惑でしかない。だから、クストがいることに不快感を示したのだ。普段は真面目に軍事をこなしているが、番であるユーフィアのことになると、行動がおかしくなる。
だから、番持ちは面倒なのだ。
片付けは後回しにし、さっさと用件を済まして帰ってもらおうと、シェリーはとある物を取りに自分の部屋に戻ってから、応接室に向かった。
応接室に入ったシェリーが目にしたものは、網の様な物でぐるぐる巻きにされたクストがユーフィアの隣に座っており、網の様な物の先はマリアの手に握られていた。
「なんですかこれは?」
「これは奥様が作られた魔物を捕獲するための魔道具です。」
説明をしてくれたのはその魔道具の端を持っているマリアだった。しかし、それは魔道具の説明であってこの状況の説明ではない。
「師団長さんのこの状態のことです。」
「度々、当主であるナヴァル公爵がご迷惑をおかけいたしまして、申し訳ございません。ご迷惑をこれ以上おかけしない為に、この様な状態で対応させてくださいませ。もし、勝手な行動を取ろうものなら電撃が発動することになります。この様に」
そう言ってマリアは魔道具を使ってみせたが、クストが『ギャー!』と叫んでおり、余計にうるさい。
シェリーはユーフィアの向かい側に座り、その横にカイルが座る。グレイは出入り口の扉のところに控え、スーウェンとオルクスはシェリーの後ろに立った。
「まあ、いいでしょう。それでは、今回この様に早急に来られた理由をお聞きしましょう。」
シェリーは嫌味を混ぜつつ、ユーフィアに話を促す。
「本当にごめんなさい。えっと、コレが出来上がった薬で、元の状態に戻す様に出来上がったわ。」
ユーフィアはカバンから一つの小瓶を取り出した。無色透明の液体が入った小瓶だ。呪いと言う名の永遠の眠りにつく赤い液体の効力を無くす本来の意味での薬が目の前にある。
「効果の検証は?」
「それは出来ていないの。以前作った薬を元にして改良したものになるので、大丈夫なはずよ。」
効果の検証と言うのはいわゆる人体実験だ。早々できるものでは無い。それにこのメイルーンの被害者はシェリーが治療してしまったためにいないのだ。
「スーウェンさん、妹さんにコレを飲ませてください。」
そう言ってシェリーは後ろに立っていたスーウェンに透明な液体が入った小瓶を差し出した。
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