転生先は小説の‥…。

kei

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第三章 攻略対象三人目 第二王子は曲者です。取扱い注意。

王都にてー①

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義兄視点です。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「若。報告書です」


「ああ、ありがとう」


私は王都にあるタウンハウスの執務室で手渡された報告書に目を通す。



やはり、王都内でおかしな動きが見受けられます。

これは義父上にお伝えしなければいけませんね。またお仕事を増やしてしまうのは私の責任ではありません。悪しからず。



「お前はどう思うかい?」


他者の意見を聞いてみたくて私の補佐役であるエリックに話を振ってみました。

彼は私より3つ上の公爵家預かりの文官。
子供時代に私付きの侍従見習いとして義父上から与えられました。今は私の補佐役です。

彼の境遇は私と似たり寄ったりな、家庭環境は難ありで不遇な生い立ちだと聞いています。それに彼は私の養子縁組が決まる前の養子有力候補でした。ですが私に負けて養子候補から外され、配下として年下の私に仕えています。ざまあないですね。

しかしこの男に遺憾はないのでしょうか。

私ならレティの近い立ち位置に居れない時点で不満‥‥いえ憤怒ですね。
己の生を呪ったでしょうね。ああ恐ろしい。
それなら彼の心情は如何なものでしょうか。

‥‥知ったこっちゃあないです。心底どうでもいいですね。



「若、やはり偽装ではないかと。商人に扮しての諜報活動はありがちですから。問題は人数の多さでしょうか。諜報にしては動きが怪し過ぎます。まるで軍人の訓練を受けた者のようでした」

ククク。いけませんいけません。つい思考がズレてしまいましたね。

「そう思いますか。そうでしょうね。これについて義父上に報告は?」

「はい。若のご依頼でしたが事態を鑑みまして先に旦那様にお伝え致しました」

「わかった。気配りご苦労。なら私も義父上と第二王子の私見を伺いに行きましょうか。面会の申し込みを」

「若。既に旦那様とお約束済です。明日であればお時間が取れると仰っていましたので。そのように手筈は済ませております」

「‥‥‥段取りが速いですね。では第二王子に」

「畏まりました」



エリックは手筈を整えるため退出していった。

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