転生先は小説の‥…。

kei

文字の大きさ
上 下
20 / 344
第一章 攻略対象一人目 正しい第一王子の取り扱い方

クリスフォード王子 ①

しおりを挟む
俺はこの国の正妃の実子として生を受けた。

俺には弟妹がいる。皆、側妃達の子だ。

母上の子は俺だけだ。だから正妃の子として王太子となり次期国王になるもの‥‥なれると思っていた。



俺の背後には俺より優秀な弟がいる。俺の後ろから迫ってくるのだ。

そう、振りむけば奴がいる。

俺と同い年の弟。第二王子おとうとだ。



同い年の弟‥‥。

幼少時代はよく一緒に遊んだ。やんちゃもした。あの頃は純粋に楽しんでいられたのだ。

いつからか俺達は供に居られなくなったのだ。

周りが引き留める。母上が嫌がる。仲良くなることを許してはくれないのだ。

俺の楽しかった時間は呆気なく終わった。





6歳の誕生日を迎える頃、母上が伴侶の話を持ち出した。

その頃の俺では理解できない話を母上がされたのだ。

母上主催のお茶会だ。

そこには綺麗に着飾った俺と年の近い女の子たちが集められた。

女の子たちは、公・侯・伯の出だった。それ以下の身分はいなかったか。



俺とレティエルはこの時初めて顔を合わせた。

母上は最初からレティエルに決めていたようだ。俺が選んだのではない。



‥…大喜びはしたが。



あの頃のレティエルは可愛かった。

初対面であまりの可愛らしさに俺はちょっと逆上せあがって‥‥ちょっとドキドキし過ぎて酷く緊張した。

返しの挨拶も上手くできなかったのだ。ちょっと落ち込んだぞ‥…。

ダントツの美少女だぞ! 緊張しない輩などいるのか!

レティエルは初めてのお茶会にも関わらず完璧淑女の挨拶をした‥…。

同じ年とは思えないほどしっかりしていた。それは気に食わんぞ!

数日後、俺とレティエルの婚姻が決まった。

愛らしいレティエルとの婚姻は嬉しかった。

彼女からはいつも甘くて良い匂いがした。
明るくて色々なことを知っている彼女と話すのは楽しかった。

俺の世界は鮮やかな色合いで見るもの聞くもの全てが素晴らしかった。楽しかったのだ。





俺はレティエルにカッコ良いところを見せたくて剣術に励んだ。

騎士のように剣を振るえばきっとレティエルは俺に好意を寄せるだろう。

俺のカッコ良い姿を見たレティエルはどんな反応をするのかと思うと胸が弾み頑張れたのだ。



王子教育と剣の稽古で多忙だった。レティエルと会えない日が増えた。
とても悲しかった。

だが挫けず兎に角頑張った! 
母上や侍従たちにもよく褒められたものだ!

嬉しかった! 俺の努力を皆に認めてもらったと思えたからだ。




しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~

恋愛 / 完結 24h.ポイント:15,932pt お気に入り:7,701

絶対抱かれない花嫁と呪われた後宮

BL / 完結 24h.ポイント:1,017pt お気に入り:838

婿に入ってきた野心家、巻き込まれてしまったわたし達

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:11

妻と愛人と家族

現代文学 / 連載中 24h.ポイント:1,641pt お気に入り:19

離された者達

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

処理中です...