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ペコス・ビルとサンタさん

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この話はエドワード・ハンスの爺様がポーカーに勝って上機嫌な時に話してくれたものなんだけどね
サンタクロースがテキサスの子供たちにプレゼントを配ろうと勇んでテキサスに入ったんだけどね、何度テキサスに挑んでも巨大な竜巻に会い、何度もすっ飛ばされて挙句の果てには荒野で迷子になって危うく餓死する一歩手前までいったんだ、あの太ったからだがガリガリになるぐらいにね。するとハゲタカがご馳走にあずかろうとサンタの周りをぐるぐる回り始めた。サンタももはやこれまでと思たんだが、激しい銃声と共に一人のカウボーイが荒馬に乗ってあらわれたのさ。
皆も知ってるあの男だ。ペコス・ビルと相棒のウィドウ・メーカーさ(アメリカ合衆国の伝説のカウボーイ、相棒のウィドウ・メーカーは乗った男を皆殺しにすることからwidowmaker=未亡人つくりと呼ばれている)
「爺さん、どうしたんだい?」ペコス・ビルは鞍の上から聞いてきた。「どうもこうも・・・」とサンタはヘロヘロになりながら身の不幸話をこんこんと話した。ペコス・ビルは巻煙草を作りながら「そりゃあ災難だったな、こうして会ったのもなんかの縁だ。俺が護衛してやるよ。」と言ってきた。「気持ちは嬉しいけど相手は竜巻だよ。どうすることもできないさ」サンタは自分の無力さに泣きながら答えた。「へ、あんな糞ガキへでもねえ。Yippee-ki-yay,さ。」ペコス・ビルは笑ってたね「あの糞ガキは俺に任せな、良い子の相手はアンタに任せるぜ」話がトントン進みサンタも最後の挑戦だと覚悟してもう一度テキサスに挑んだんだ。するとすぐに巨大な竜巻が群れをなして襲い掛かってきた。サンタはトナカイ達と脅えて抱き合っていたが、ペコス・ビルは腰からガラガラヘビを抜くと大きなわっかをつくり、ひときわ大きい竜巻に放り投げた。瞬く間に竜巻に吸い込まれるペコス・ビル。しかし彼は伝説のカウボーイ。じゃじゃ馬はお手の物だった、それがたとえ竜巻でも。
「Yippee-ki-yay,!」ペコス・ビルの大きな声が稲妻のようにこだまする。サンタは指の隙間からペコス・ビルが台風にもみくちゃにされているように見えたがその逆だった。カウボーイが荒馬を乗りこなすのは馬がへたるまで何日でも背に乗り続けるのが当たり前である。ペコス・ビルは竜巻にそれをやっていたのだ。竜巻も最初は元気に動き回りこのカウボーイを振り落とそうと暴れたのだか一向にはなれずむしろイキイキしている。この奇妙なロデオは1週間続いたが先に音をあげたのは竜巻の方だった。大きかった竜巻は小さくなりへとへとで死にかけのロバみたいになっていた。それを見ていたほかの竜巻たちはこれはまずいと思ったのか蜘蛛の子を散らすように逃げようとしたするとペコス・ビルは今度は投げ縄を取り出して竜巻を全て捕まえてしまった!しかも一縄でだ!
「さあ、悪い子はこれでおしまい!あとはアンタの仕事だぜ」ペコス・ビルはサンタに目配せした。
「ああ、有難う!お若いの!メリークリスマス」
「メリークリスマス、爺さん」
こうしてサンタは、ペコス・ビルの助けでテキサスにクリスマスプレゼントを配ることが出来るようになったそうだ。


因みにこの時捕まえた竜巻は頭を冷やすためにペコス・ビルにつながれてカナダからアラスカ、ミネソタ州を回る事になって冬にだけテキサスに帰っていい事にされたんだと。それ以降テキサスにも雪が降るようになったんだそうだ。
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